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『元傭兵団一行』

 時は一日ほど前に遡る。


 元傭兵団一行は、結界内でゆっくりと休息できたことで体力を回復させていた。

 目覚めたものから順に簡単なスープを作り、食事をし、出発の準備を始めた。

 中にはもう一泊しようと言う者もいたが、リーダーが一蹴し、出発が決まったのだ。

 彼らは吹雪の中、見えぬ先……17階層への階段を目指して結界から足を踏み出した。

 のだが……



 昨日よりは視界が多少マシ、といった中、リーダーを先頭として居心地の良い結界から出て行った一行の、その最後尾になる若手の2人。

 そのうちの1人は昨夜、マティアスが結界を張った時に至近距離からその様子を観察していた。

 なのでその逆、結界の出入り口に置かれた石に触れると、その石はいとも簡単に持ち上げる事ができた。そして同時に結界が消える。


「やったぞ!

 早くあとの石を拾え!」


 あっという間に雪に埋れていく石を拾い、そしてもうその姿が吹雪の中に消えつつある一行を追う。

 この事がどのような結果を齎らすのか想像も出来ずに。




 リーダーがその咎に気づいたのは、その日の雪中行が終了した時だった。


「なぜそれを持っているんだ!

 お前、盗んできたのか?!」


 怒髪天を衝くとはこのような事だったのだろう。

 その怒気だけで立っていられない、件の2人は地面に転がり、ベテランの手で捕縛された。

 皆の目の前で結界は作動している。

 本来ならすぐに返還するべきで、使用するなど有り得ないのだが、リーダーはその魅力に負けた。

 彼は昨夜と同じように結界の中で夜営することにしたのだ。


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