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婚約破棄

今作の主人公はオフェーリアという20才の【魔法族】です。

魔法族とはエルフの上位種であり、とても長命なのです。

そしてそんな種族での20才とは赤子も同然……

オフェーリアはどんな非常識で周りをかき回すのでしょうか?

「オフェーリア、やはりおまえとは結婚出来ない。婚約は破棄させてもらう」


 突然やってきた婚約者が悪びれもせず、高らかに宣言したのを、オフェーリアは冷静に見つめていた。


「……理由をお聞きしても?」


「私は【真に愛するもの】を手に入れたのだ。

 辛気臭い見た目のおまえなどと違って、愛らしい可憐な娘だ。

 いくら父上の命令とはいえ、おまえのような下賎な血筋の女とは違い、素晴らしい女性なのだ。

 それ故、おまえは今すぐこの館から出て行け!」


「婚約破棄、承りました。

 そして支度が整い次第、この館からお暇させていただきます」


 オフェーリアは完璧な所作でカーテシーをすると、背筋を伸ばした美しい姿勢で歩み始める。

 控えていた侍女が扉を開けるともう何も言わずに立ち去っていく。


「ああ、やっと愛しいひとを迎えられる……」


 感極まったように呟いた彼は、このサクラメント侯爵家の嫡男トーマス。

 そして今この時、彼のとった行動のせいで、サクラメント侯爵家は没落へと歩み始めた。




 この世界は【剣と魔法】の存在する世界であり、討伐対象である魔獣も存在するのだが、少し特徴がある。

 それは【魔法】を司るのは【魔法族】と言われる人々と、その血を受け継ぐものたちだけで、本来一般の人間(王侯貴族を含む)は魔法を使うことが出来ない。

 昨今、自らが魔法族の特殊性を取り込もうと王侯貴族の間で魔法族との婚姻を推奨していたが、そもそも長寿な彼らは圧倒的に数が少ない。

 彼らは独自の、全世界に渡るネットワークですべての魔法族を管理しているのだが、この20年以内に生まれた子供は1人しかいないという状況であった。



 そのたったひとりの、妙齢の魔法族【オフェーリア・デラメンテラ=ハプレイシス】

 元々本意でなかった今回の縁組だったので、今オフェーリアは嬉々として身の回りのものをインベントリに放り込んでいた。

 身体に纏わりつく、装飾過多のドレスも脱いで、シンプルだが上質なワンピースに着替え、靴もフラットシューズに変えた。


「よし、今まで与えられた物たちには罪はないからね、ドレスも装飾品もその他色々も、ぜーんぶもらっちゃう。

 ではでは、さらばじゃ〜」


 オフェーリアの姿が僅かに光ったと思えば、次の瞬間その姿が消え、残されたのはがらんとした部屋だけだった。



ファンタジーもの3作目です。

前作、前々作からお読みいただいている方々、またご新規の皆様、これからもよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 新連載ありがとうございます。 影姫がいない、寂しいとうだうだしていてマイページで見つけて嬉しいです。今回はまたジェラルディンとはずいぶん違って活発な主人公ですね。また寝る前の楽しみが増えま…
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