物語は終わらない
目映い光が収まり、視界が開ける。
「…あれ?」
さっきと違う。建物がある。それも沢山。
「…まさか、また失敗したのか?」
クルミが振り返る。
「いえ、していませんよ」
「でも、さっきと全然違う場所だぞ」
クルミが微笑みながら言う。
「ここは神様の町。通称〈神町〉です」
「ほぉ、これが噂に聞く神町か」
ペンタンは感嘆の息を漏らしながら言った。
「ペンタン、知ってるのか?」
ペンタンが関東平野の胸を張る。
うん、これについては確実に触れない方が吉だな。
「私を誰だと思っている」
スマン、関東平野だ。
「私のい」
「お前には言ってねぇよ」
「最後まで言わせて下さいよ」
クルミが頬を膨らませる。
「それで、どうしてここに来たんだ?」
クルミは少し不服そうな顔をしながら言う。
「それはもちろん、ここで暮らすからですよ」
は?
「ちょっと待て」
魔王は倒したぞ。まあ、正確には仲間にしたんだが。
「ええ、言いたい事は分かります。帰りたい、とかそ
んな所でしょう?」
「ああ」
「残念ながら無理です」
「は?」
「どうすれば良いのか分かりませんので」
「……」
(いい加減にしろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!)
ふざけんな!!!!だから何で分かんねぇんだよ!!
何回俺を怒らせば気が済むんだよ!!!!この、神様
モドキがぁぁぁぁぁ!!!!!!
「どうした神道。そんな世界が滅んだのを目の当たり
にした様な顔をしとって」
「…はは、少なくとも俺の普通の日常は粉々に砕けて
消失したよ…」
「何を馬鹿な事を言っておるのだ」
いや、結構ガチな話なんですけど。
ペンタンはクルミの隣に並ぶと高らかに言い放った。
「美少女二人とラブラブ生活の方が、よっぽどマシ
じゃろ!!」
「……」
まあ、そうだな。ただし、性格がまともならばな。
「っ!!流石魔王様、いえ天使様!!そんな説得の仕
方があったなんて!!」
「ふふんっ、もっと褒め称えいっ!!」
ペンタンは鼻をフンッと鳴らす。
「いよっ、天上のロリ魔王!!」
「…それ、褒めてなくね?」
あと、天界だからって天下を天上に直す必要なくね?
俺の声が聞こえないのか、二人はこの調子で暫く盛り上がり続けるのであった。




