勇者〈無自覚〉×魔王〈ロリ〉×神〈ポンコツ〉
「どうやら、勝負ありのようですね」
クルミが上機嫌にペンタンに確認する。
「うぅむ…どうやらその様じゃな…」
「……」
「どうしたんですか?そんな呆けた顔をして」
クルミが俺の顔を覗き込んでくる。
「…なあ、クルミ……」
「はい、何でしょう」
「…何が起こったんだ…?」
俺がそう聞くと、クルミは誇らしげな顔をして胸を張る。
「神道君は〈光の勇者〉なのですっ!!」
そして高らかにそう言い放った。
…へぇ。光の勇者ねぇ…うん。
「何だそれ」
ただの勇者じゃねぇのかよ。
「言っていませんでしたけど、勇者といっても色々な
勇者がこの世界には存在するのです」
「…因みにどれくらい?」
「ざっと、一万人ですっ!!」
「……」
ゴメン、全く理解できん。
何だ、勇者って一人しかいないんじゃなかったのか?
俺のこの考えは古いのか?…つーか、
「だったらソイツらに頼めよぉぉぉぉぉぉ!!!!」
俺を巻き込む必要ねぇじゃん!!!!ただの被害者じゃねぇか!!!!
「いえ、そう言う訳にはいかないのです」
は? 何で?
「なぜなら、この世界にいる光の勇者はあなたしか存
在しないのです」
「どうしてだ?」
「さあ、なぜでしょう?」
「……」
(調べとけやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!)
何で知らねぇんだよ!!!!!アンタ神様なんだろ!!!!神は何でも知っているんじゃなかった
のかよ!!!!!
「因みに、私は〈闇の勇者〉じゃ」
(魔王じゃねぇのかよぉぉぉぉぉぉ!!!!!!)
「闇には光が有効だからのぉ。それでお主が選ばれた
訳じゃな」
「はい、その通りです」
クルミがニッコリ微笑む。
「……は、はは」
何で笑ってんだろ、俺。
「さて、それじゃあ天界へ戻りましょうか」
「あ、ちょっと良いかの」
「はい、何でしょう?」
ペンタンは少し俯きながらモジモジとする。
「…私も付いて行っていいか?」
「ダメです」
即答かよ。
「…どうしてじゃ?」
ペンタンが目をウルウルとさせながら、クルミに尋ねる。
「私には神道君が居ますので」
俺を理由にしないでくれ。
「神道……」
ペンタンが目を更にウルウルさせながら俺を見てくる。見た目がロリっぽいせいか、罪悪感が凄い…
てか、コイツ何歳なんだ?
「神道君の方を見ないで下さい、迷惑です」
俺はお前の存在が迷惑だよ…
「うぅ…どうしても……だめ…?」
「「ッ!!!!!」」
ペンタンがさっきまでの口調とは違い、まるで小さな女の子の様におねだりして来た。
やばい、何だよコイツ…
(めっちゃ可愛い…)
思わずクルミの方を見る。
その顔は「〜〜〜っ!!!!」といった感じの物だった。もっと分かりやすく言えば、目がハートになっていた。
要するに、落ちていた。
「いえ、そんなことはありませんよっ!!ぜひ、私の
所へ来てくださいっ!!!さあ、早く!!!」
「お、おう、そうか?」
クルミの余りの変わり様に、ペンタンは少しタジタジとなる。
「…ありがと」
そしてこのエンジェルスマイル。
誰だよ、魔王とか言い始めたヤツ。天使の間違いだろ、コレ。
「ふわぁぁぁ…てんしぃぃぃ…」
おい、大丈夫かお前。キャラが早くも変わってきてんぞ。
「これから宜しく頼む。クルミ、神道」
「ああ、こちらこそ宜しく」
あ、反射的に応えちゃったけど俺、元の世界に帰る気満々だから。まだ、最終回諦めてねぇから。
「はぁぁいぃぃ……」
クルミが腑抜け過ぎた声で返事をする。
「いい加減戻って来いよ」
俺はクルミの頭を軽く叩く。
「っは!!!」
どうやら無事に生還したらしい。
「コホン…それでは行きましょうか」
クルミはまた、よく分からないけど可愛いポーズをとりながら唱える。
「天使入荷っ!!!」
目映い光が俺達を包み込む中、俺とペンタンは思う。
((何言ってんの、コイツ…))




