ポンコツ神 クルミ
目映い光が収まると、目の前には商人や村人達で賑わう村が…あるのではなく、何もない野原が広がっていた。
「あ、あれ?おかしいな?」
クルミが困惑を顔に浮かべる。
…もう、帰りたいんだけど。勇者とか魔王とかドラゴンとかどうでもいいんだけど。
「…失敗したのか…?」
「……いいえ」
「嘘つけぇぇぇぇ!!!!!絶対に失敗だろ!!!!
この状況で成功とかどんだけ使い勝手わりぃんだ
よ、さっき挙げた右手は何なんだったんだよ!!」
「ああ、アレは何というか、そうした方が気分が盛り
上がるかと思って」
「ふざけんじゃねぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
「いえ、これでも私は…」
「それ、さっき聞いたわ、何だ、またツッコミ入れろ
って事か?!?!?!」
「……」
「何か言えよぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
もう、ヤダ。ホント、帰りたい。どうして俺みたいな普通で凡人な俺が、勇者になんなくちゃいけねぇんだよ、おかしいだろ…?
(…そうだ、何で俺なんだ…?)
すっかり忘れてた。これ聞いとかないと…いや、聞いても不安が膨らむだけかもしれん。…でもなぁ……
「…ところで」
「はい、何でしょう」
あ、絶対反省とかしてねぇよ、コイツ。すげぇ軽い感じだったもん。ニコニコしてるし。
「……」
「どうしましたか?」
「何で俺なんだ」
「え?」
「何で俺みたいな普通で凡人なヤツが、勇者なんかに
選ばれたんだ…?」
「…聞きますか?」
クルミは割と真面目な顔で聞いてきた。
…あれ?何か、思ってた反応と違うんだけど。てっきり「ああ、それは神道君が抽選の結果、選ばれたから
ですよー」とかっていう感じだと思ってた。
(…今更だけど、もしかして、この話ってじ)
「神道君は、神によって選ばれたんですよ」
あ、出来れば最後まで言わせて貰いたいんだけど。
実は、って言おうとしたのに実はの「じ」しか言えなかったんだけど。
…まあいいだろ。そんなことより…神に選ばれた?
「なあ、何で俺なんだ?勇者にすべきなヤツなんて、
もっと他に居たと思うんだけど…」
「そ、それはあり得ませんっ!!」
「お、おう…」
いきなり大きな声を出さないでください。すげぇドキッとするから。
「何故なら神道君を選んだ神は…」
「…神は…?」
「私だからです」
「あ、お前って神様だったの」
(って、そうじゃねぇぇぇぇ!!!!)
ちげぇだろ、今はそこツッコむ場面じゃねぇだろ、いや、確かにすげぇ気になるけど、今はそ
「はい。あれ?言ってませんでしたっけ?」
「悪いんだが、ちょっと黙っててくれ。もう、不安で
不安で…」
「大丈夫ですよ。神道君ならこの世界を救う事なんて
楽勝ですから」
「そうじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
おい、ふざけんなよ、なんでよりにもよってコイツなんだよ、てか俺さっきから「ふざけんなよ」とかしか
思ってない…ってそうじゃねぇぇぇぇぇ!!!!
…落ち着け、落ち着きなさい、神道。いけません、このような邪神に心を乱されては。あなたはスーパークールビューティーなのです、さあ、深呼吸をしましょう。息を吸って…吐いて…吸って…吐いて…
(…俺の頭も大概おかしいな)
てか、スーパークールビューティーってなんだよ。何で一人でノリツッコミやってんだよ、すげぇ虚しいじゃん、それ。
「…まあいい」
もう、理由なんてどうでもいい。
「そんなことより、じゃあ結局村はどこにあるんだ」
「…それがですね、ここから結構離れた所にあるんで
す」
「…どれくらい、てか、此処どこなの?」
肝心な事を聞いてなかった。
…マジでどこなの?さっきからすげぇ嫌な予感しかしてねぇんだけど。
クルミは笑って困った顔を誤魔化しながら言った。
「魔王城です」
「ふんっ!!!!」
「がはっ!!!!」
俺は左手でクルミの腹に拳を入れた。
「な、なにするんですか」
クルミが目をウルウルさせ、腹を抱えながら聞いてきた。
俺は大きく息を吸う。
「このポンコツがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」




