ギャグパート終
「できましたよ」
「わーいっ」
朝食を作り終えたクルミは俺達に声を掛けてきた。
「さ、神道君もここに座ってください」
クルミが自分の隣の席を指差す。どちらかと言えばペンタンの隣が良かった。しかし、先程の事を思い出し大人しくそれに従う事にする。
「いただきます」
「…いただきます」
「いただきますわーいっ」
普通に言えよ。何だよそれ。どこの芸人だよ。
クルミが作ったという朝食は、白米に焼き魚、味噌汁といった日本人フルコースである。見た目は整っていて美味そうに見える。
「神道君、あ〜ん」
クルミは箸で魚をほぐした後にそれを俺へと向けてくる。
「自分で食えるから」
「あ〜ん」
「いや、だから…」
「あーん」
クルミの声のトーンが一段下がった。どうやら大人しく従うしかないらしい。俺は仕方なくそれを口にする。
「これで全て終わったな」
ペンタンがいきなり訳の分からない事を言い出した。
「七時半まであと二十秒ですね」
クルミまで言い出すので俺はたまらず聞く。
「何の話だ?」
クルミはニッコリと微笑んで答える。
「神道君が光の勇者になるための準備が終わったのです」
は?
「どういう事だ?」
ますます訳が分からない。
その時、俺の周囲が眩しく光り始めた。
「え、何これ」
しかし俺は至って平常心だ。何故なら昨日の出来事の方が俺にとっては衝撃的な事だったからだ。
やがて光が収まるとクルミが謝って来た。
「昨日は変な事をしちゃってごめんなさい。でもあれをしないと光の勇者にはなれなかったの」
これが素の口調らしい。
「これだよ」
ペンタンまで口調を偽っていたとは。
ペンタンが俺に一冊の本を渡してきた。題名は『貴方の好きな人を勇者にする方法辞典』である。変わった本だ。
「それの百三十ページに光の勇者について書かれているわ。見てみて」
クルミにそう促されたので大人しく従う。そこにはこんな事が書かれていた。
光の勇者編
1.まずは貴方の好きな人に告白!!
2.別の勇者と一戦交えさせる!!
3.貴方の好きな人に自分が光の勇者であると信じさせる!!
4.貴方と貴方の好きな人とその他ニ人と一夜を共に過ごす!!
5.貴方以外の人が貴方の好きな人に口づけする!!
6.女は怖いと思い込ませる!!
7.朝まで隣で一緒のベットで寝る!!
8.貴方の作った朝食を食べさせる!!
9.貴方の好きな人にあ〜んする!!
10.翌日の七時半になるまで一緒にいる!!
特別条件
1.貴方の好きな人を常に興奮させておく事!!
2.口調は変える事!!
3.翌日の七時半までに貴方の好きな人の精神を疲れさせておく事!!
最後に
恥ずかしがってじゃ前に進めない!! 自分を捨てて貴方の好きな人を勇者に変えろ!!
「……」
うん、凄い本だ。考えた人は天才だ。尊敬するわ。
「…神道君。そういう事だから…今までの事は忘れて。私、恥ずかしくて死んじゃうから」
そう言うとクルミは真っ赤にした顔を手で覆い隠す。
「…はぁ」
何も言えねぇ…
「しんどぉ、よろしくね」
ペンタンは昨日までとは違い幼い口調で俺に言う。
「…お前っていくつ?」
ペンタンは手のひらを開く。
「ごさいっ!!」
「はは、何それ」
めっちゃ可愛いんですけど。
「まあ、そう言う事だからこれからよろしくね」
クルミはまだ若干顔を赤く染めながらいってきた。
こうして俺は勇者となり、此処から新たな人生がスタートした。
これにてギャグパートは終了です!!
次回からは異世界×学園生活×冒険の、割と普通な感じで書いていきたいと思います!!




