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詩集「七夜詩篇」

やさしい雨に

作者: 詩月 七夜

何もない休日の午後


私はあたたかい飲み物を手に


窓辺にもたれて一人で過ごす


外はひさしぶりの雨


山も木も 人もお地蔵さんも 等しく濡れて


世界は白く雨の色に包まれる




この季節に降る雨は


古い時計のように静かで穏やかだ


葉や軒から滴る水滴が


重ねた時間を懐かしむ秒針のように


音のないリズムを刻む


こずえには小さな鳥


大気に満ちた水の中で目を閉じ


ゆるやかな流れに憩う魚のように


束の間のまどろみに身を任せている


雲は重たげなその身を億劫そうに動かし


風は今日という日を休日にした


その中で雨だけが


時間を刻みながら世界に向けて語っている


それは安らかな眠りにも似た「やさしい物語」


拍手もないが遮る者もいない




雨が語る物語はまだ終わらない


だから私は耳だけを世界に預けて


祈るようにそっと目を閉じた

本作は「春の詩企画」参加作品です。

企画の概要については下記URLをご覧ください。

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1423845/blogkey/2230859/(志茂塚ゆり活動報告)

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― 新着の感想 ―
[良い点] あぁ…良いですねぇ春雨…心地よい気温に気持ちをくすぐられながら外を感じるんですね… >> 山も木も 人もお地蔵さんも 等しく濡れて 世界は白く雨の色に包まれる ーーーー ここでお地蔵さん…
[良い点] 企画ご参加ありがとうございます。 表題のとおり、とても優しい詩ですね。 春の雨は穏やかで繊細で、少しだけ憂鬱でもあり、まさにこの詩に書かれているとおり優しく感じられます。 雨に慰められてい…
[一言] 静かで落ち着いた良い詩ですね。 シトシト音もなく降っている雨のはずなのに、たまに、葉っぱから大きな滴が落ちたような音も聞こえました。 最近は春先の雨でもガッツリ降ってくれるので、こういう場…
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