バンドマンにありがちな事 【楽器の置き場所に苦心する】
※2017/02/10
一部内容を本文から後書きに移しました。
それに加えて本文に修正をしました。
礼二は自分の高校までは自転車で登校している。
この日、礼二は昨日購入したベースの入ったソフトケースを肩に担いでいた。
坂道に差し掛かると、礼二の脚に普段よりもキツめの負荷がかかってきた。
必死になってペダルを漕ぎ、坂道を登り終える頃にはすっかり汗だくになっていた。
学校に到着すると礼二はベースを颯爽と肩に担ぎ、少しかっこつけながら教室へと向かう。
教室の扉を開け、自分の席に着く。
そして気づくのだった。
「ベース、置き場所が無い……」
隣の席の女生徒が非常に迷惑そうな視線を礼二に送る。
礼二は黙って席を立ち、ベースを教室の後方にあるロッカーの方に立てかけようとする。
が、そこは生徒が荷物の出し入れを頻繁に行う場所であり、当然邪魔になってしまった。
「あっ、あっ、俺、一体どうしたら……」
そこに晴臣が登校してきた。
礼二の姿を見つけると大音量で挨拶をしてくる。
「礼二君!! おはよう!! ベース持ってきたんだね!!」
「やっ、やめっ、目立っちゃうだろ……!」
高校生活が始まって一週間と一日。
この時点で礼二はまだ部活の仲間以外に友人はいない。
晴臣の爆音挨拶によって二人にクラスメイトの視線が集中していた。
「ちょっ、あの、これ、部室に置いてくる」
クラスメイト達の視線から逃げるように礼二は教室を出ていった。
部室に辿り着き、中に入ろうとするが施錠されていた。
その為、礼二はベースを肩に担いだまま職員室に向かう。
「……ていうかうちの軽音楽部の顧問ってどの先生だ?」
ここに来て初めて礼二は、まだ部活の顧問に会ってすらいない事に気付く。
そのまま職員室に向かって教員達を訪ねれば良いものを、コミュニケーション分野を著しく苦手と位置付けていた礼二にそんな選択肢は思いつかなかった。
礼二は結局ベースを抱えて教室に戻った。
隣の席の女生徒、そして後ろの席の多数の生徒達からの冷たい視線に怯えつつ一日を過ごすことになった。
バンドマンにありがちな事 その6
【楽器の置き場所に苦心する】
働きながらバンドをやっている方や学生の方はかなりこの経験をしていると思います。
特に大きめの楽器を持ち運ばないといけない時はひたすらその置き場所を探すことになります。
その為には周りの理解を得る事も大切なので、怖がらずに周りの人に聞いてみるのが一番良いです。
たまに当たり前のような顔で楽器を適当な場所に置いている人がいますが、結構迷惑な行為なので注意が必要です。