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THE BAND CRAFT  作者: ですの
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初心者バンドマンにありがちな事 【ボーカル持て余しがち】

※2017/02/10

一部内容を本文から後書きに移しました。

それに加えて本文に修正をしました。

先輩の指導で3人は各々楽器に触れてみる。

礼二はボーカル専門を希望したのでマイクスタンドの立て方やマイクをミキサーに接続する方法を学んでいた。


先輩がエレキギターを2本持ってきた。

その内一本を岳史に渡す。


「よしじゃあとりあえずギターの岳史君、弾いてみよっか。岳史君は右利きであってるよね?」


「えっ右利きですけど、いきなり弾くんですか……」


「まず俺の真似してギターを構えてみて」


そう言うと先輩がギターをさっと構えた。

それを見て岳史もギターを見よう見まねで構えてみる。


「こ、こんな感じですか」


「あー惜しい。向きが逆だわ。ギターは左手側に細長い方が来るように構えるんだよ。細長いのがネックっていう部分で、そこがピアノの鍵盤みたいな部分なんだわ」


「もう無理、もう難しいですギター辞めます……」


岳史は早くも諦めかけつつも正しい向きにギターを構え直す。


「そんじゃ次に、俺の左手よーく見て、同じところに指を置いてみて。そしたらこのピックってやつを右手に持って弦を弾いてみて」


マイク弄りに飽きた礼二とドラムセットを眺めて満足した晴臣が、二人の様子を興味津々で眺め始めた。

岳史は3人の視線に緊張しながらも、先輩の左手の形を真似て指をネックの指版に置いていく。


そして岳史は、強張った表情で右手を思い切り弦に振り下ろした。

ビヨーンともグオーンともとれる不思議な音が彼のギターから発せられる。


「おぉ……!!」


3人はその音を聞き感嘆した。


「今のはEコード。こんな感じで、ギターは指を正しい位置に置くと和音が鳴るようになってる。さっきのは音がちょい汚かったけど、それは岳史君の指がしっかり弦を押さえられてなかったからなんよ。あと右手のストロークも力み過ぎ。でも練習するとすげえ綺麗な音が鳴るようになるからね。でもまぁ初めてにしちゃかなり良い感じよ」


「こ、コード……? ストロー……? 先輩はどの国出身なんです……?」


岳史は混乱しつつも、ギターには興味を示し始めていた。

その様子を見ていた晴臣のテンションは鰻登りに上昇していく。


「おおおおお!! 凄いや荒川君! もうギタリスト、君はそう、もうギタリストなんだなぁ……。そうだ、セッション! もうセッション出来る!! 僕ドラム叩く! 荒川君ギター弾く!! セッション!!」


そう言うと晴臣はドラムセットに戻り、スティックを構えてギラギラした目つきで岳史に合図を送った。


「じゃあ俺がベース弾くよ。岳史君はさっきのEコードだけ適当な感じに弾いててみて。俺がベースで合わせるから。ハルオ君はドラムセット触れるの初めてじゃないの?」


「初めてです!! でも、バスドラムとスネアドラムで子気味の良いビートを叩き鳴らす程度の事ならできます!!」


それを聞いて先輩は笑いながらベースを用意する。

ギターとベースをアンプに繋いで、準備が整ったことを先輩が晴臣に伝える。

晴臣は簡単なドラムパターンを叩き始める。


それに合わせて岳史がEコードを鳴らすと、先輩がベースを合わせていく。


「おおおお!! おおおおおおお!!」


「わぁ……。すごいです、これがバンド……」


先輩、晴臣、岳史の3人が簡単ではあるがセッションに成功する。

そしてその様子を礼二はじっと見ていた。


(これはやべぇ……。ボーカル、マジでセッションでやる事ねえ!!)


「適当に歌っちゃいなよ礼二君!」


先輩が礼二に声を掛ける。

礼二はそれを聞いて何故か主役登場のような雰囲気を醸し出しながらマイクスタンドの前に立ち、歌いだそうとした。

が、何も思いつかず、結局礼二はぎこちなくリズムに乗って身体を揺らしつつ時折掛け声を入れるだけに終始した。


この体験を通じて礼二は決心した。


「……先輩、ボーカル専門はもう辞めて俺も楽器やります」


「恐らくそう言うだろうと何となく俺は思っていたよ、礼二君」


バンドマンにありがちな事 その3

【ボーカル持て余しがち】

ボーカル専門と聞くと何となく簡単なイメージが湧きますが、実際にはかなり技術と知識を要求されるパートだったりします。

音の重なりから自分の声を抜けさせる方法や歌い方そのものも勉強が必要になってくるんですね。

特にセッションをやる流れになった際に、アドリブで歌を合わせるのはかなりの高難度です。

その為、気楽な感じのボーカル専門パートが居るバンドでよく見られるのが、セッション中はボーカルだけタバコを吸いに外に出ていったり、セッション中のバンドを動画撮影してそれをSNSに上げたりといった光景です。

一方持て余されないような、しっかり知識や技術を磨いたボーカルのかっこよさは全パート中随一なのは間違いないです。

もしボーカル専門をやりたいと思うのであれば、しっかり勉強と練習をすることによって一番モテる存在になるとここ数十年言われています。


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