初心者バンドマンにありがちな事 【パート選びに拘る】
※2017/02/10
一部内容を本文から後書きに移しました。
それに加えて本文に修正をしました。
※2017/01/15
タイトルと本文の修正をしました。
「じゃあ、早速だけど、みんな楽器とかは何か出来る?」
先輩の質問に3人が答える。
「リコーダーを少々……」
「俺はこう見えて昔ピアノを習っていたんです。ハルオ君は何か出来んの?」
「僕? んふふ。僕はねぇ、カホン!!」
先輩が晴臣の回答に唸っていた。
それに合わせてうんうんと頷きを連発し、分かってる側の人間を演じる礼二はカホンが何か全く知らない。
岳史が先輩へ向かって素直に質問をした。
「カホンって何ですか?」
「カホンってのは、こう四角い箱上のパーカッション用の楽器だね。持ち運びとかが簡単だから、路上ライブとかやる時にはもっぱらドラムセット代わりに使われてたりするんよ。凄いじゃんハルオ君」
「まぁ兄貴のカホンを借りて遊んでただけなんですけどね!!」
「それも良い経験だよ。3人ともありがとう。しかし軽音楽部に居る以上は、例えばエレキギターやベースなんかを弾けるようになりたいよね。まぁ安心してよ、うちは初心者大歓迎だからしっかりその辺り教えてあげる。さて、そんな軽音楽をやる上での基本構成はギター若しくはギタボ、ベース、ドラム、たまに鍵盤ってのがスタンダードな訳だけど、3人はこの中でやりたいのとかある?」
「ハルオはドラムでしょ。カホンも出来るしその体型は完全にドラム特化って感じだし」
出会ってまだ数分の礼二からの失礼な発言に、晴臣は怒ることなく自分の意思を伝えた。
「僕ね、ギターやりたいです!! ギターやる!! でもドラムが居ないならとりあえずドラムやる!!」
「あ、じゃあ僕とりあえずギターやってみようかな……」
晴臣と岳史がやりたいパートを選択した。
「じゃあ俺とりあえずボーカルで」
礼二は軽音楽部に入ると決めた時点でボーカルを担当しようと既に考えていた。
とりあえずとは言うものの礼二だけは完全に本気である。
(ボーカルはバンドの顔みたいなもんだろうし目立つだろう。それに楽器の練習なんて面倒だからな)
礼二はそう考えていた。
先輩が笑いながら3人のパートをメモする。
「まぁ直ぐに決めろとは言わないよ。やっていくうちに他の楽器に興味が出たりするもんだし。とりあえずで決めてて全然オッケーだから。それじゃ、ドラムセットとギターとマイク準備するからちょっと待っててね」
こうして3人は各々が軽音楽で用いられる楽器に触れることになった。
バンドマンにありがちな事 その2
【パート選びに拘る】
まずは様々なパートを見て体験してから、自分のやりたいものを見つける事が大切だとよく言われてます。
なので、とりあえずで決めてしまっても良かったりします。
礼二のようなパートの選択方法も有りです。
有りなんですが、拘りすぎてそれ以外に興味を示さないという事のないように気をつけた方が良いです。
また、興味の無い(無くなった)パートの練習ほど辛くつまらないものはないです。
自分のやりたいパートを見つけると練習も楽しくなり、バンドの楽しさの表層に触れることが出来ると個人的に思ってます。
多分、まずは楽器に触れてみる事が大切だったりするんです。