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THE BAND CRAFT  作者: ですの
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初心者バンドマンにありがちな事 【自己紹介でやたらとばす】

※2017/02/10

一部内容を本文から後書きに移しました。

それに加えて本文に修正をしました。


※2017/01/15

タイトルと本文の修正をしました。

入学式から二日後。

礼二はこの日の放課後に、遂に初めて軽音部の部室に訪れることになった。


「集まってくれて、なんかすんません」


ブースで一人座っていた例の先輩が、今回もただ一人で部室に居た。

やる気のなさそうな声で集まった新入生達に挨拶をする。


先輩は気怠そうなオーラを全身から発している。

ミディアムロングに近いくらい髪の毛が伸びていて、目元がよく見えなかった。


「あの、他に先輩っていないんすか?」


礼二が挨拶を返さずいきなり質問をする。

先輩は快く答えてくれた。


「二年生も三年生も居るけど、色々あってもう部室には来ないんよ」


「へぇ、そうなんすね……」


新入生は礼二を合わせてたった3人だった。

3人はパイプ椅子に座らされた。


「じゃあ、なんか皆気まずそうだし、とりあえず自己紹介から行ってみっかね。まず一番左の君から」


「あっ、えっと、荒川岳史です。あの、一年生です……」


最初に自己紹介をしたこの少年は、身体は細く、パーマのかかったぼさぼさの髪の毛と黒縁で太めの

フレームの眼鏡を装着している。

それは典型的、というよりもステレオタイプなオタクの外見に近かった。


(いいぞ、こいつら程度になら勝てる……! この部活でナンバーワンになるのはそんなに難しくなさそうだな)


礼二は岳史の外見を見て謎の優越感に浸っていた。

そんな礼二も傍から見れば立派な根暗なのだが本人は気づいていない。


岳史はそれ以上何も話そうとはしなかった。

その為先輩が話を振り始めた。


「そんじゃ、えっとあだ名とかは? 皆からなんて呼ばれてた?」


「あ、荒川です……」


「あっ、あだ名とか無いパターンね……。分かるわ、そういう事もあるんだよな。それじゃ、好きな音楽グループとかアーティストは?」


「……ビースティボーイズです」


それを聞いた先輩が噴き出す。

礼二の隣に座っていたもう一人の新入生も笑いを堪えようとしていた。

岳史もしてやったりな表情をしていた。笑わせようとしてワザとそう言ったらしい。


(えっ、何これ。ビースティボーイズってのはそんなに面白いのか……?)


礼二はビースティボーイズを知らなかった。

ビースティボーイズとは、アメリカの人気ヒップホップグループである。


「い、いやね。まあいいんだけど。ヒップホップか……。まぁビースティはセーフではあるか。ありがとう荒川君。それじゃ次は真ん中の君、よろしく」


「はい! 僕は南一中から来ました、細田晴臣です!! ハルオって呼んでください!! 好きなアーティストはアジカンです! よろしくお願いします!!」


晴臣は一気に自己紹介を終えて、満足気な表情で席に着く。

その姿を見た礼二は、彼が高校生とはとても思えなかった。

2メートル近い身長に明らかな肥満体型でとても存在感があった。


「おぉ、元気だね。よろしく。じゃ最後に右の君どうぞ」


礼二がゆっくりと立ち上がり、自己紹介を始めた。


「東二中から来ました、沖山礼二です。好きなバンド? 音楽? そんなものは無いです。俺が、俺自身がこれから生み出していく予定なので。あ、ちなみに俺は"カラス"って、昔は呼ばれてましたけど」


先輩は苦笑いで礼二の自己紹介を受け流して、3人に向かって話を始めた。


「それじゃ、今のところこの三人がうちの部の新入部員ってことになるから。多分この三人でまずはバンドを組んでもらう事になるね」


「えっ」


三人の新入部員がほぼ同時に言葉を発した後、それとなくお互いの顔を視ようとしては目を逸らす。

この三人はいずれも人見知りの気が在った。


(い、いきなり知らない奴とバンドなんて、出来るのかよ……!?)


礼二は不安を覚えていた。


そして、礼二のバンドマンとしての第一歩は、この小さな部室から始まることになる。

参考までに。

話の中に出てきた音楽グループの曲とか後書きに張っていきますのでもし興味があれば暇なときとかにどうぞ。


アーティスト名:Beastie Boys

曲名:Sabotage

https://www.youtube.com/watch?v=z5rRZdiu1UE


アーティスト名:ASIAN KUNG-FU GENERATION

曲名:或る街の群青

https://www.youtube.com/watch?v=e1sZVdw4RcI



バンドマンにありがちな事 その1

【自己紹介でやたらとばす】

バンドマンに限らず、全ての事柄で重要なのが第一印象です。

妙なキャラ付けを初動で意識してもいずれボロが出ます。

特にバンドを組むとなった時などは、これから一緒に活動をしていく相手を判断する重要なポイントとなるので普通の自己紹介を心がけた方が無難です。

礼二の自己紹介は論外です。

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