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そして、彼女に鎖で繋がれ異世界を旅をする! ?  作者: 村山真悟
第四章 多重世界は魂の連なり
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其の14 覚悟と旅立ち

更新が滞ってしまい本当にすいません(o_ _)o


そのため、少しあらすじを書きます。


~~常闇の神器を取り込むことには不安を覚えていた浩介はサツキとの会話により覚悟を決める。


そんな中で突如、部屋に乱入してきたフェンリルにもふリストのニルの狂喜化が発現する。


そして痴女エルズは永久の契約によりセレスを操りエルフ界へと帰って行った。


得る不快で意識を取り戻したセレスは意味も分からずにとりあえず主である浩介の元へと舞い戻ることにしたのだった~~


これが、とりあえずの浩介達のあらすじです。


ではお楽しみください(o_ _)o


「ただいま、もどり……ました?」


 浩介達の元へと舞い戻ったセレスは目の前の状況について行けずに茫然と立ち尽くした。


 それ以前に当たり前のようにエルフ界に居た自分の記憶もあやふやであったのも起因していたのかもしれない。


 なぜ、あの場所(エルフ界)にいたのか?


 理由は何となくだが把握できている。


 エルズの仕業であるのだろうと容易に想像できるし、何より部下達(四大精霊)の目が優しかった。


 セレスが問いかけようとすると部下達は静かに首を横に振り、優しい眼差しを向けてくるのだ。


 特にサラなどは涙まで浮かべていた。


 そんな姿にやるせない気持ちに包まれながらガックリと肩を落とし主の元に戻ってきてみたら…今のような状態である。


 愕然とするのは仕方ないことなのかもしれない。


 敢えて触れない、触れてはいけない、世の中に知らない方が幸せであることもあるのだ。


 そう自分に言い聞かせてみたのだが……流石の彼女でさえ、目の前で起きている状況を理解するのは難しかった。


 血走った瞳で、この世界(フェンリルの世界)の皇女であるフェンリルを抱きしめながら恍惚の表情を浮かべるニルの姿に唖然とするしかない。


「……なにが、一体?」


「ははっ……お帰り」


 セレスの表情に苦笑いを浮かべながら浩介は彼女を軽く手を上げて出迎える。


 彼の正面に座るサツキも微妙な表情を浮かべており、ニアに至ってはニルからかなり離れた位置で死んだ魚の目で彼らを見つめていた。


 ふと、雅が居ないことに気付いたセレスは周囲を見渡す。【八咫烏の太刀】として最上位の大精霊である彼女を蔑ろにするわけにもいかないからだ。


 ただ、セレスの瞳に映った大精霊様の姿は威厳もへったくれも無いものだった。


「雅様は……あぁ」


 太刀の姿でガタガタと震えながら浩介の背後に隠れるようにしている姿に残念さを隠すこともせずセレスはガックリと肩を落としながら溜息を漏らす。


「お帰りなさい」


 唯一まとも…ただし、その瞳は完全に死んでいるニアがセレスに近付いてきてお辞儀をする。


 その姿に何故だかホッとする。


 まとも(・・・)だと思える人が居る、それだけで安堵してしまうセレスも大概であった。



 それだけ規格外の者達ばかりだと認識してしまった自分に何故か罪悪感に包まれるセレスだった。


 けれど、ニアから今の現状を知ることが出来ると思い、セレスは項垂れたまま彼女に近づいていき周囲に気付かれぬように小声で話しかける。


「…どういう?」


 ただ、彼女の答えは簡潔なものだった。


「見ての通りです…」


 思わず心の中で「…でしょうね」と呟き、指輪を填めていたため意識を共有する羽目になった浩介から乾いた笑いを聞く事になったセレスだった。


「あぁ…やっぱり」


 聞いた自分がバカらしく思えたセレスは額に手を当て溜息を付きながら項垂れる。


〔まぁ、そういうこと……あと、ご苦労さん〕


 浩介の労いの言葉にセレスは一瞬何のことか分からずキョトンとするが、直ぐにエルズ絡みであることに気付いた彼女はどんよりと落ち込んでしまう。


〔やはりですか……〕


 力無くペタリと床に座り込んだ彼女にニアは哀れむような瞳を浮かべ、ポンッと肩を優しく叩いた。


「大丈夫……仕方ないですよ」


 その言葉にハッとして顔を上げたセレスの救いを求める瞳に対してニアはそれを直視できずに思わず視線を逸らしてしまうのだった。


「はぅ…」


 更にどんよりと落ち込むセレスを横目にいたたまれなくなった浩介は苦笑いしながら周囲を見渡す。


「まぁ、なんだ…全員そろったから、そろそろ先のことでも考えないか?」


 その問いに賛同を示すように皆が頷いた。


「そうじゃのぅ、あと神器が残っておる世界は二つあるのじゃ。一つは意思造り、もう一つは……ふむ」


 サツキが口元に手を当て少し考え込むような仕草を見せた。その姿に浩介は違和感を覚え、訝しげな表情で彼女に視線を向ける。


「うんっ?どうかしたのか?」


 浩介の問いにサツキはしばし沈黙した。


 少し動揺しているのが見て取れたからだ。


「…いや、彼奴の血脈の力を不意に思い出してな…なぜ忘れていたのか…ふむ、上手くいけば或いは可能性があるやもしれぬな」


 サツキの思考に一つの可能性が浮かび上がった。


 あの世界の理の力を今までなぜ思い出すことが出来なかったのだろうかと脳裏に疑問が浮かぶ。


 その疑問が意識の片隅で引っ掛かってはいたが…サツキはその可能性の大きさに対してそれは些細な事柄のように感じた。


 なにせ、その力を使えば現状で抱えている多くの問題を解決できる可能性を秘めているからだ。


 だが、しかし……どうしても気になってしまう。


 なぜ、彼女の理の力だけ(・・)を忘れていたのか?


「少し気になるのじゃが…ただ、我の考えが正しければ彼奴の世界に行くのが最良かもしれぬ…なにせ、意思造りの皇子の世界は少し胡散臭さがある故にな」


 サツキの言葉には浩介も同感する事が出来た。


 何故か?と問われても何となくとしか言いようがなかったが浩介の意識がそう訴えてくるような気がしたのだ。


 それは、もしかすれば浩介のうちに潜むグレ記憶が関与していたのかもしれない。


 けれど、先程まで感じていた不安が再度フツフツと沸き上がってくるのを感じながらも浩介は意思造りの世界とは別のもう一つの世界に興味を持ってしまい思わずサツキに問いかけた。


「どんな世界なんだ?」


 その質問にサツキはふむっと小さく頷くと浩介を見て意味ありげに微かに口元を緩ませる。


「まぁ、行けば分かるじゃろ」


 何とも意味深な言葉だった。


 そんな発言をされれば気になってしまうものだ。


 けれどサツキはそれ以上説明をする気は無いらしく、浩介は想像を働かせるだけしか出来なかった。


「うーん、気になるな。今まで行った世界が世界だからな……碌でもないことは確かなんだが…グレ記憶で確認するのも何だか盗み見るようで納得いかないしな」


 彼の「今まで行った世界が碌でもない」それは世界を統治する彼女(フェンリル)に対してかなり失礼な発言であった。


 その言葉に狂喜化したニルに頬擦りされ続けて、げんなりとしていたフェンリルの獣耳がピクリと動いた。


「お主の従者(ニル)よりマシじゃ……」


 その訴えに浩介は苦笑いする。


 確かにそうかもしれない。


 否定することも彼女の状況を鑑みれば頷くことしか浩介には出来ないし、必然的に苦笑いしか思い浮かぶ術がなかった。


 けれど…浩介は徐に仲間達を見渡す。


 このメンバーで危険なことに巻き込まれたとしても乗り切れる自信がある。というよりも、乗り切れない方が難しいそう思わせる何かが彼女らにはあるのだ。


 けれど、それは正しい判断だとも言える。


 なにせ今、この場にいる者達の素性を鑑みれば通常の者達は否応なしに服従せざる負えないからだ。


 一つの世界を統治するフェンリルを始め、業罪の皇女、精霊界の皇女、五護衆のリア、敷いては帝の意志を継ぐ者まで存在する、これは多重世界の権力の半数以上と言っても過言でもない。


 更に言うなら過剰戦力でもある。


 この者達に反旗を翻すなど自殺に等しいのだ。


 一人一人の力を知る浩介が苦笑いを浮かべるのも仕方が無いことだと言えるだろう。


 そんな中で意外な人物が言葉を紡ぎ出した。


「彼女の世界に行くつもりでしたら先ずはバルクナールに赴くことをお薦めします。あそこには屯所もありますから他世界へと向かう際は声をかけておくとスムーズに行くと思いますよ」


 頬擦りしていたニルがその表情とは裏腹に至極まっとうな発言をする姿に周囲は若干、苦笑いを浮かべた。


 瞳は血走り「はぁはぁ」と変質者の如く荒い息づかいを放ちながら彼女(フェンリル)の極上モフモフに顔を埋めながらの言葉である。


 頬を引き攣らせてしまうのは当然のことだろう。


「じゃあ、先ずはバルクナールに行くとするか」


 目的地は決まった。


 あとは……常闇の世界の神器を取り込むだけ。


 浩介は視線をテーブルに向けた。


 何の変哲も無い木箱に見える神器(それ)からは得体の知れない雰囲気が漂っている。


 まるで浩介を取り込もうと虎視眈々と狙っているようにも感じられた。最初に触れたグレンデルの時とは明らかに違う感じがするのだ。


 浩介は微かに身震いする。


 サツキのお蔭で不安は軽減されてはいるが、やはり別の人格を取り込むことには慎重に為らざる終えない。


「……ふぅ」


 覚悟を決めるため大きく深呼吸する。


「無理は…するでないぞ」


 その姿に不安を感じたサツキが声をかけると浩介は彼女を見つめながら僅かに微笑を浮かべた。


「まっ、これも俺の運命なんだろ」


 その言葉にサツキも微かに笑みを浮かべた。


 先程までの追い詰められていた表情とは違い、どこか覚悟を決めた表情に見えたためだ。


 〔皐月よ、お主の思い人も覚悟を決めたようじゃぞ……妾達も自らの行く末を決めねばならぬな〕


 意識の奥深くで感じる皐月に声をかけながら自分達の進むべき道に想いを馳せるのだった。


「…じゃあ、後は宜しく」


 サツキに声をかけると彼女は小さく頷いて見せてくれた。


 その姿を見て浩介はもう一度、深呼吸すると覚悟を決めたかのように神器を見つめ、それに……触れた。


 その瞬間、景色がグニャリと歪み平衡感覚が保てなくなり浩介は吐き気と頭痛に襲われた。いま、自分が立っているのかすら分からず、その痛みに思わず奥歯を噛み締める。


「ぐっ……」


 微かな呻き声を上げた浩介の意識は神器に引き込まれるように失なわれていき周囲の景色は奇妙に湾曲し闇に飲まれていく。


「だぁーいぃじょーーぶかぁえぇぇーー?」


 サツキの声が間延びして聞こえた。


 彼女に応えようとするが声が出せない。


 奇妙な感覚だった。


 意識と肉体が乖離するような違和感を味わいながら浩介は深い闇へと誘われるように堕ちていくのだった。


            *


 神器に触れた浩介に周囲にいた者達は一瞬、何が起きたのか理解することが出来なかった。


 神器から淡い光が立ち上り、浩介の身体を包み込んでいったからだ。それにいち早く反応できたのはサツキだけだった。


 取り込まれる……その姿に彼女はそう、悟った。


「大丈夫かぇ!?」


 思わず身を乗り出しサツキは浩介に詰め寄る。


 だが彼の視点は彼女を見ておらず、どこか遠くを見つめながら微かに頷くのみであった。


「神器に飲み込まれ始めている!?……まずいのぅ、こやつの自我が崩壊しかけておる……何か手はないか…」


 口元に手を当て思案下に呟くサツキの姿に周囲の者達の不安も否応なしに駆り立てられていく。


 あの狂喜化したニルでさえ、フェンリルのモフモフ毛皮に頬擦りしていた手を止めて茫然と浩介を見つめといる。


 そんな緊迫した雰囲気の中で青ざめた表情で駆け寄ってくる者が居た……セレスである。


「主様!聞こえますか?……聞こえてない?」


 セレスが指輪を通して語りかけるも、その反応は芳しくなく彼女は不安げに眉間に皺を寄せる。


 それも仕方の無いことではあった。


 主従契約を結んだ者同士は指輪を介し、どのような環境であろうとも意思疎通することは容易なはずだった。


 けれど出来ない…セレスの意識に不安が過ぎる。


 例え、望まぬ主従契約とはいえ契約は契約であり精霊において契約とは何物にも代えられない重要なモノであり、それらが絶たれるのは当事者達の離別を意味するからだ。


 それは即ち死を意味する。


「浩介様はどうなされたのですか?」


 ニルの瞳に宿っていた狂喜が普段の理知的な瞳に戻る。


 その表情の変化に千載一遇のチャンスとばかりにフェンリルは手足をばたつかせニルから脱出を試みるが……駄目であった。


 彼女を掴むその両腕はガッチリとフェンリルを捕縛している。


「……はぁ、無理なのじゃ、逃げられないのじゃ、妾は一生この両腕から逃げられないのじゃ……うん?あぁ、あれは彼奴が常闇の神器を取り込んでいるのじゃろ?心配ないと思うぞ」


 浩介の今の状況に周囲の者達は不安そうに彼を見つめ声をかけているがフェンリルは逃げ出すことが叶わず項垂れた状態でニルの問いに溜息交じりに応えた。


「それはどう言う事ですの?」


 繋がりを絶たれ一抹の不安を感じていたセレスがフェンリルの何気ない一言に詰め寄ってくる。


 その険しい形相に恐怖を覚えたフェンリルの毛が総毛立つのを感じながら彼女は思った。


〔まともな奴はおらんのかぇ………〕


 自分のことを棚に上げ心の中でぼやく。


「フェンリル様、どう言う事ですの?」


 更に詰め寄り、セレスは項垂れているフェンリルの両頬をグイッと持ち上げ視線を合わせる。


「顔が近いのじゃ!?」


 ジタバタと両手を振り払おうとするが彼女の華奢な細腕のどこにこんな力があるのかと疑問に思えるほど強固であり振りほどくことが出来ない。


 そのせいでフェンリルは身動き一つ取れない我が身を嘆きながら前足を浩介に向けた。


「肉体は残っておるじゃろ?それは神器に認められた証であるし、何より常闇の神器に納められておる帝の魂は無碍なことはせぬよ……多分じゃがな」


 言葉尻が小さくなるのは多少は不安な要素があるからだった。なにせ、常闇の神器に納められている人格が彼女(・・)であることを思い出したからだ。


「…多分って?」


 眉間に皺を寄せたセレスからフェンリルは思わず視線を逸らす。けれど、鬼気迫るセレスがフェンリルの言葉を聞き逃すはずなど無く、更に両手で彼女の頬を押さえ込み無理やり向き直らせた。


 ガツンッ。


 イヤな音がフェンリルから聞こえた。


 セレスがフェンリルの両頬を力任せに押さえつけたのだ。その華奢な両手から微かに淡い光が漏れているのは無意識に力を解放している証だった。


 幼女の姿とはいえセレスも皇女である。


 無意識とはいえ皇女の持つ力で頬を押さえつけられれば常人ならば原形を留めず砕け散っても不思議ではない。


 されど、そこはフェンリルである。


 彼女もまた多重世界を担う皇女で在るため……。


「痛い!痛いのじゃ!?お主は鬼か!頬が砕けるじゃろうが!全く、その細腕のどこにそんな力があるのじゃ……」


 それだけで済んでしまうのだ。


「だったら説明してくださいます?」


 涙目のフェンリルの訴えにもセレスは耳を貸さない。彼女にとってそれどころではないのだ。


 セレスにとっては自らの命も掛かっているのだ。


 必死になるというものである。


「…はぁ、仕方ないのぅ。よいか?常闇の神器に納められておる魂の欠片はな………」


 面倒臭そうに説明を始めるフェンリルだった。


 


呼んでいただき有り難うございます<(_ _)>


見捨てずにいて下さった方には感謝に堪えません

(T^T)


筆の遅い作者ではありますが今後とも見捨てずにいてくださると幸いです


では、失礼いたします(o_ _)o

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