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そして、彼女に鎖で繋がれ異世界を旅をする! ?  作者: 村山真悟
第四章 多重世界は魂の連なり
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其の7 旅立ちと新たな世界

今回の章は同時進行で進めていくつもりです


浩介達、エレボス達、そして、二人の皇族


頑張っていきます(^_^;


では、お楽しみください


「準備はよろしいですか?」


 落ち着いた声でエレボスは彼女に声をかける。


 その手には皐月から手渡された鎖が握られており淡い光沢を放っていた。


「ええ、大丈夫よ」


 覚悟など既に出来ている。


 あの世界に戻らなければならない。


 あの人に会うために…美弦は両手を胸元に添えながら愛しい人を思い描く。


 漸く逢えるのだという想いが美弦の心を昂揚させ、それと同時にミユルの心が揺れ動く。


 不思議な感覚であった。


「……彼女や猊下も」


 皐月や帝の姿を思い出す。


 幾つもの人格を持つ二人の感情が今なら分かる気がした。それは複雑なものであった。


「どうかされましたか?」


 独り言を呟く彼女にエレボスが声をかける。


「いいえ、何でも無いわ…行きましょう」


 顔を上げ心配かけまいと微笑を浮かべる。


「そうですか…では、私の手にお触れください。次元の裂け目は非常に混沌としておりますから…」


 エレボスが鎖に力を込めると淡い光は輝きを増し、徐々に広がりを見せ空間を歪ませていく。


 捩れた空間に裂け目が生まれる。


「…では、参りましょう」


 彼女が小さく頷くのを確認し二人は次元の裂け目へと歩みを進めていく。


 二人の姿が室内から消えると裂け目は徐々に光を失い誰も居なくなった室内に静寂さが戻る。


 時を越え、次元を越えて美弦は生まれた世界へと戻っていく。それが多重世界に何をもたらすのかそれはまだ、誰にも知らない事であった。


          *


 奇妙な感覚であった。


 流れ込んでくる他者の記憶が美弦の心に問いかけてくるような錯覚を覚えさせる。


「気持ち悪いわね…この感覚」


 口元に手を当てながら必死に耐える美弦に対して振り返って気遣う余裕は今のエレボスにはなかった。


 意識を集中していなければ幾多もの記憶に押しつぶされ次元の裂け目で漂うことになるからだ。


「気遣う余裕がなく申し訳ありません」


 振り返ることなく謝罪するエレボスに美弦は吐き気に耐えながら首を振る。


「大丈夫、まだ耐えられるわ」


 それは弱々しい口調ではあったが虚勢ではなく事実として耐えられそうだったからだ。


 あの時の痛みと苦しみを思えばこの程度の苦痛はないに等しいと思える程度であった。


 帝を守るために何も出来なかったあの悔しさを思い出し美弦は歯を食いしばる。


「もうじき見えてまいります。もうしばらく、ご辛抱ください……うんっ?あれは…」


 エレボスは微かな違和感を感じた。


 最初に感じたものと何かが違うのだ。


 出口であるはずの次元の裂け目が視界に入り、その違和感が確信に変わる。


「時間軸がズレている……何故?」


 微かに感じた違和感の正体、それは異なる時間軸に引き寄せられているためだと気付いたエレボスは回避を試みる。


 だが、皐月から渡された鎖はそれを拒むように光沢が増していきエレボスの力を削いでいく。


「逆らえませんな…」


 鎖の一部とはいえ皇族の持つ血脈の力の象徴であるそれは五護衆ですらない彼には所詮は抗えるはずがなかった。


「きっと意味があるのでしょう…私達は世界の輪廻に従うしかないわ…このまま、行きましょう」


 美弦の心の中で何かが告げていた。


 その感覚を彼女は信じることにしたのだ。


「分かりました」


 エレボスは短く答えると引き寄せられていく時空の裂け目へと視線を向けその身を鎖に委ねた。


 徐々に近付いていく裂け目と転移酔いによる気分の悪さを堪えながらエレボスは嫌な予感を噛み締めていた。何かが噛み合っていないような気がするのだ。


 それが何なのかまでは分からない。


 ただ、戦場で敵中にいる様な緊張感が彼の身体を支配し始めていた。その感覚に心が躍るのが分かった。


〔この感覚…懐かしいな〕


 エレボスの口元に自然と笑みが浮かぶ。


 ただ、その表情を背後にいる美弦に見られなかたのは幸いと言えるかもしれない。


 その表情は普段の温和な執事のそれではなく死と隣り合わせになることで生まれる狂気に満ちたモノであったからだ。


「どうかしたの?」


 エレボスの抑えきれない気配に美弦が尋ねる。


「いえ、何でもありませんよ」


 振り返ることなく答えながらエレボスは思わず苦笑してしまう。久しく忘れていた感覚を抑えきれない自分の未熟さにまだまだだと自嘲する。


〔私はこれを求めていたのかもしれんな〕


 帝の勅命を得てからエレボスは騎士としての矜持がフツフツと沸き上がってきていた。


 それは時として危うい感情でもある。


 けれど、抑えきれないことも事実である。


 この時空の裂け目の先に何があるのか不安はもちろんあったが好奇心が勝った。


「では、お覚悟はよろしいですか?」


 最終確認である。


 美弦は当たり前だと言わんばかりに頷くと目の前に迫った裂け目を見据える。


 戸惑いも不安も感じられないその姿にエレボスは微かに口元に笑みを浮かべ頷き返す。


「では、まいりましょう」


 そして、エレボスと美弦は鎖に導かれるまま時空の裂け目へと飛び込んでいくのだった。


読んでいただき有り難う御座います


(o_ _)o


ブクマ、評価いただけると励みになります


どうかよろしくお願いいたします


では失礼します


(o_ _)o

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