其の35 フェンリルの女騎士
サブタイトルにある女騎士はリアの部下の
一人となっております
いずれ、名前も出る予定です
トラブルメーカーの予感……
少し短めです(o_ _)o
では、お楽しみ下さい
扉を開いた先には見覚えのある紋章を襟首に付けた女騎士が直立不動で立っていた。
「何か用ですか?」
相手が緊張しているのが手に取るように分かった浩介は和ませるように柔らかな口調で対応した。
「はっ!フェンリル殿下よりの言付けであります」
かなり緊張しているようだった。
顔は強張り表情は青ざめている。
その原因は分かっていた。
間違いなく皐月の所為である。
この世界の皇女であるフェンリルにあれだけの啖呵を切ったのだ。主を護衛する彼女ら騎士達にとって恐怖以外の何物でもない。
そんな、彼女の視線が心なしか室内をキョロキョロと見渡している。誰を捜しているのかは直ぐに分かった。
「安心して下さい。彼女は外出してます」
浩介の言葉に明らかにホッとした様子で胸を撫で下ろしていた。心なしか緊張も和らいでいる。
〔…どんだけなんだよ〕
その姿に浩介は頭を抱えそうになりながら心の中で溜息交じりに呟く。
「それでご用件は?」
身内以外に対して常識人のニルが用件を尋ねる。もちろん胸元には涙目のミアを抱きしめている。
……が。
「ひぃ!?」
ニルを見て女騎士の顔が強張った。
「どうされましたか?」
部屋から後退る騎士にニルは首を傾げる。
ただ、浩介は騎士の人が何に怯えたのか予想が付いた。ニルとミア、エルフと獣人の二人……フェンリルとリア。
浩介は額に手を当て深々とため息をつく。
「大丈夫、この人も無害ですから……」
その声に我を取り戻し敬礼する。
「はっ!?取り乱しました。申し訳ありません」
彼女の耳が少し紅くなっていた。
「いえ、気持ちは分かりますから」
浩介の言葉に騎士は苦笑いを浮かべる。
彼女も浩介の苦労を察したのだ。
「それで、ご用件は?」
「はっ、つい先程になりますが常闇からの停戦案を掲示され二、三日中に使者の者が参りますので皐月お嬢様と浩介様にも是非、参加をお願いしたいとのことであります」
その説明に室内の空気が固まった。
顔に笑顔を貼り付けたまま浩介は内心の動揺を悟られないようにしながらチラリと周囲を見渡す。
〔バレたのか?〕
浩介の心の声に雅は首を振って否定する。
〔大丈夫じゃろ、まぁ妾達が関与したから向こうも焦ったのじゃろうて。それに、抗戦しようにも彼奴がおらぬでな〕
雅の説明にホッと胸を撫で下ろしながら女騎士を見つめる。その表情には若干の不信感が見られた。
「みなさん、どこか緊張しているようですが?どうか、されましたでしょうか?」
流石は騎士で在ると言わざる得ない。
彼女は浩介達の微妙な空気を敏感に感じ取り、丁寧な口調ではあるが疑心を抱いているのが手に取るように判る。
…気がした。
だが、それは浩介達の心情に過ぎない。
なぜなら、彼女の方が焦っていたからだ。
自分が発した言葉で場の空気が変わったのだから焦るのは当然の事と言えるだろう。
しかも、その相手は自らの主ですら脅すことの出来る存在の仲間であり上司の旧知の友でもある。
不敬を働けば何が起きるか予想しがたい。
彼女の額から一筋の汗が流れる。
〔…やばいかも〕
それに、すでに失態を演じている。
エルフと獣人の組み合わせはこの世界では色々な意味で恐怖の対象である。
そのため彼女は我を忘れた。
〔やばい、やばい、やばい、やばい…〕
心の中で焦りまくる彼女と。
〔どうしようか…疑ってるよな〕
判断に迷う浩介。
だが、表面上はお互い笑顔である。
微妙な空気が流れる。
その空気を破ったのは雅であった。
「それはいいとして妾の外出許可は出ないのかぇ?もう、暇で暇で仕方がないのじゃ!」
ソファから顔を覗かせ女騎士に尋ねる。
「も、申し訳ありません。そればかりは私の判断では即答、致しかねます。ですが、ご要望があればお伝えしますが?」
焦った様子でひたすら雅に謝罪する彼女の姿に浩介は「あれっ?」と首を傾げおかしいと感じた。
考えすぎなのかと思い彼女を観察する。
〔…うん、なんだろ?大丈夫な気がする…〕
冷や汗を流しながら先程までの騎士の威厳など微塵も感じられないぐらい雅に平謝りしているその姿に先程までの不安が馬鹿馬鹿しく感じてしまう。
「わ、わたけし…」
とうとう噛んでしまった。
彼女の顔が真っ赤にになっていく。
その姿に浩介は安堵した。
他の面々も彼女の姿に何故かホッコリとしながらも笑うことも出来ずに終始、苦笑いである。
「あのぅ…」
あまりの焦り具合にニルが助け船を出そうと彼女に近付いていくのだが……。
「ひ、ひゃあ~!?リア団長、堪忍ですぅ~」
ニルの姿に慌てて飛び去り……浩介でも惚れ惚れするぐらいの綺麗な土下座を披露するのだった。
その姿に全員の心の叫びが重なり合った。
〔〔〔…リア、何をしたんだぁ!?〕〕〕〕
怯える彼女が不憫で仕方がない。
浩介の目線に申し訳なさそうに彼女から離れミアを抱きしめる。
「ミア、私は嫌われてしまいました」
ションボリとするニルの姿にミアは涙目で突き放すようにボソリと呟いた。
「……どうでもいいにゃ」
束縛され尻尾や獣耳をペタンと下げながら項垂れるミアの姿が浩介には妙に哀愁を漂わせているように見えて思わず視線を逸らすのだった。
浩介一行は今日も平和だった。
読んでいただきありがとう御座います
ブクマ、評価いただけますとうれしいです
(*´ω`*)
名前はまだ出ていませんが、この女騎士は
結構いいキャラしてます
そのうち、閑話で描ければなぁ~と思って
おります
では失礼、致します
(o_ _)o




