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そして、彼女に鎖で繋がれ異世界を旅をする! ?  作者: 村山真悟
第二章 異世界の統治者達
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其の5 名付け親は従者

毎回、こんな時間ばかりに投稿してスイマセン。


しかも、なかなか話が進まずスイマセン。


まだ、移動途中です。


一体、何時になったらリアの主が登場するのか…書いてる本人が一番わかっていません。


見捨てず気長にお待ち下さい。


 遠ざかっていく景色を見つめながら浩介は狭くなった馬車内の重苦しい空気にため息が漏れる。


 屋敷を出てから仲間が一人増えた。


 というのは語弊があるのかもしれない。


 元々の人数は変わってはいないのだから。


 変わったのは太刀が擬人化したぐらいだ。


 しかも、主である浩介から一番離れた場所で震えながらブツブツと虚ろな瞳で呟いている。


「主殿は妾を鬼に売った……信じられん、妾は神剣とまで言われた由緒正しき太刀のはず……なのに売られた、あの鬼に……なぜじゃ?妾は何を間違った?」


 ゴンッ!


「誰が鬼よ、誰が。」


 皐月が鎖で叩きながら八咫烏を睨みつける。


〔いや、どう考えてもアンタだろ?〕


 浩介とリアの視線が皐月を見つめ心の声が重なる。 


 浩介は顔中を腫れさせ、八咫烏は頭に大きなたんこぶを痛そうに撫でながら、リアに至っては皐月にゲシゲシと踏まれている。


 踏まれている割には「あぁん、もっとぉ~」などと艶やかな声をあげ至上の笑みを浮かべて喜んでいる。


 まさしく痴女の鏡である。


「なんだかねぇ、痴女に情緒不安定、短気に元引きこもり、このメンバーかなり異質だな……まともなのは従者の人だけか」


 周囲に聞こえないぐらいの声で呟きながら従者と室内を繋ぐ小窓から従者の姿をのぞき見る。


 つばの広い帽子を深めに被り、口元はほこり対策で鼻先までスカーフを巻いていて表情は読み取れない。


 ただ、胸元の豊かな膨らみで女性だと判断できる。


 しかも、かなり美人だと浩介の直感が告げていた。


「あの~?きつくないですか?」


 小窓を少し開け浩介は従者に声をかける。


 かなりの速度で走っている馬車の風圧がもろに従者の身体に当たり少し前屈みになりながら慣れた手つきで手綱を操っていた。


「……っ!?」


 従者が驚いたように振り返ると微かに目元が見えた。


 緑色の大きな瞳と目が合い浩介は少しどぎまぎする。


 その様子を見つめながら従者は微かに首を横に振る。


「そっすか、余り無理はしないで下さいね」


 浩介の言葉に大きな瞳を細めて小さく頷くと従者は再び前を向き手綱を握り直し速度を上げる。


「…ふぅ」


 小窓を閉めソファに深く座り直すと小さくため息をついた。


「どったの?」


 床に這いつくばり頬を染め皐月の折檻を嬉々として受け入れながら浩介の態度に声をかける。


「うんっ?あぁ、リアが痴女の鏡だなぁ~と思っただけだよ。それより八咫烏?だっけ?」


 未だ現実逃避をしながらブツブツと虚ろな瞳で呟く八咫烏に浩介は頭を掻きながら声をかけた。


「はっ!?妾は何をしていたのじゃ?何故、頭が割れるように痛いのじゃ?うんっ?妾は……うんっ?思い出せん」


 どうやら、今までの記憶は全てすっ飛んでしまっているらしく八咫烏は首を傾げながら不思議そうに浩介を見つめる。


 八咫烏の言葉に浩介は自分がやらかしたことが有耶無耶になっていることをいいことになかったことにしようと心に決めた。


「さっき、馬車の振動で頭を打ったからじゃないのか?」


 心配そうなフリをしながら優しく頭を撫でる浩介に皐月は思わず唖然とし、リアはジト目で浩介を見つめる。


「…あんた、サイテー」


 冷たい皐月の視線が浩介の背中を突き刺す。


「同感…でも、そんな浩介も良い!ゾクゾクする」


 リアのぶれない痴女ぶりに浩介は思わず苦笑した。


 酷い主を持ってしまった八咫烏に誰しもが同情しそうなものだが、その場にいるのが痴女と短気な娘では期待は出来ない。


 そんな二人を無視して浩介は八咫烏に尋ねた。


「八咫烏って何だか言いにくいな。名前とかないのか?」


 キョトンとした表情を浮かべた八咫烏は浩介をジィーっと見つめると少し考え込むように俯いた。


「そのようなこと初めて言われたのぅ。ふむ、名前か、そうじゃのぅ……我が主殿である浩介が決めると良い。ただ何故か、擬人化してからの記憶が曖昧なのが少し気になるところじゃが……」


 皐月に殴られた部分に触れながら首を傾げる八咫烏に三者三様の表情を浮かべたが最終的には苦笑いするしかなかった。


「う~ん、難しいなぁ。名前かぁ……」


 考えながら八咫烏の容姿を盗み見る。


 見た目は二十代前半ぐらいで確実に美人の部類に入る容姿の彼女だが精神年齢が極端に低いように浩介には感じられた。


「アダルトなロリ……うんっ?アダロリ!?……いってぇ!」


 皐月の鎖が容赦なく浩介の後頭部を直撃した。


「この腐れ変態、もう少し真面目に考えてあげなさい!」


 激怒する皐月に踏まれるリアも哀しげな瞳で同意する。


「うん、それはさすがにあんまりだわぁ」


 まさかのリアからもだめ出しを喰らい、少なからずのショックを受けながら浩介は彼女に合った名前を模索する。


「…太刀、黒い鞘、烏、艶やかな着物……う~ん、難しいなぁ。」


「主殿、妾は別にアダロリでも構わぬぞ?」


 意味が分かっていないのか八咫烏は健気にも浩介の思いついたふざけた名前を受け入れようとするが皐月とリアは必死に止める。


「いやいや、それはないわぁ~」


 二人して首を横に振る。


「…(みやび)は如何でしょう?」


 小窓を少し開け従者のか細い声が聞こえる。


 その声の主に三人の視線が一斉に集まる。


「わぁ!それいいかも!」


 瞳を輝かせながら従者の提案した名前に興奮する余り皐月はリアをゲシゲシ蹴りつける。  


「うん、八咫烏にピッタリじゃなぁい…皐月、もっとぉ~」


 更に折檻を求めるリアに浩介は「う~ん」と考え込む。


「そうか…俺としてはアダ……ごめんなさい。従者さんのネーミングセンスが抜群に良いと思います」


 皐月の視線に本能が危険を察し手のひらを返す。


 そして、新たな?仲間になった八咫烏の名前が【雅】となり本人も嬉しそうに何度も「妾の名は雅、妾の名は雅」と呟く。


 その様子を従者は瞳を細め満足そうに見つめると静かに小窓を閉め本来の業務へと意識を集中させるのだった。


 ただ、従者は小さく「アダロリはあんまりよねぇ…」と呟きながら浩介のネーミングセンスに呆れ返っていた。


読んで戴きありがとう御座います。


読んで下さる皆さんのおかげで何とか書き続けていけそうです。


ありがとう御座います。

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