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そして、彼女に鎖で繋がれ異世界を旅をする! ?  作者: 村山真悟
第四章 多重世界は魂の連なり
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其の39 ミユルの行方

少し短めです


では、お楽しみください

(o_ _)o


 フェンリル達と別れ屋敷へと向かうエレボスと美弦は互いに思考に更けているのか会話することなくただ歩き続けていた。


 正面には既に屋敷も見えており、二人に気付いた女中達が玄関で彼らを待ち侘びている姿も見える。


「もうすぐ屋敷に着きます」


 エレボスが口を開くが美弦からの返答がない。


 チラリと後ろを歩く彼女に視線を向けると何やら思考を廻らせているのがその表情で分かった。


「どうかされましたか?」


 何を考えているのかは見当は付いてはいるのだがエレボスは敢えて尋ねることにより彼女の考えを知ろうとしていた。


「…ねぇ、なぜフェンリルがこの世界に来ているのだと思う?貴方の説明だとこのバルクナールは中立だと言っていたけど…別世界の皇女がお忍びで来るには不自然すぎると思うのだけど?」


 思考の断片を言葉にしながら美弦は自問自答のような会話をエレボスに投げかけてきた。


「…ふむ、そうですね。私もフェンリル様のお姿を見たときは少々、不安を抱きました。なにせ、あの御方が自らの世界から別の世界に赴くなど先の争いでも記憶に御座いません」


 思考が脳裏を廻り思わず立ち止まりそうになりながらもエレボスは意識して歩みを進めていた。


「先ずは屋敷に赴いてから考えるのが最善の策に思われます。彼女達も屋敷から出てきたようですから何らかの事情があるのかもしれません」


 その言葉に美弦は俯いていた顔を上げ目前に迫った屋敷を見つめる。


 あの屋敷に答えがある。


 何となくだが確信にも似た予感があった。


「そういえば……」


 屋敷で思い出した美弦は玄関で待つ女中達を見つめ、ある重要なことに気付いた。


 その表情にエレボスも軽く頷く。


彼女(ミユル)は…いないようですね」


 屋敷の周囲の気配からは彼女のらしき存在は見当たらずエレボスは眉間に微かな皺を寄せる。


「本邸に戻っているのやもしれませんね。屋敷に着きましたら所在を確認してみましょう」


 ミユルの力ならば本邸と屋敷を往復するのはさほど苦になるものでもない。


「お願いします」


 美弦はエレボスに彼女の所在を任せることに決め目前に迫った屋敷へと一歩ずつ近付いていく。


 屋敷に近付きながらエレボスはこの世界に三人もの別世界の皇族が存在することに少なからずの危機感を覚えずにはいられなかった。


 異常だとしか言いようのない今の状況にこの世界が変革していることを実感させられるのだ。


 一抹の不安とは裏腹に心の片隅ではどこか楽しみにしている自分自身に苦笑しながらエレボスは屋敷の前に辿り着く。


 屋敷の玄関扉を挟んで左右に分かれ出迎える女中達を見つめ、視線だけで周囲の気配を探るがやはり彼女の気配はなかった。


 本来であるならば筆頭女中である彼女が出迎えるのが常であるのだが……と、エレボスは白く染まった口髭を撫でながら思案する姿に女中達の表情に微かな動揺の色が垣間見える。


「あ、あのエレボス様…」


 彼女らの中で年長者の女中がおずおずと思案に耽るエレボスに声をかけてくる。


「あぁ、はい。なんでしょう?」


 例え部下であっても彼の所作はぶれることなく、声をかけてきた女中に丁寧な対応を行う。


「こ、これをミユル様より預かっております」


 女中が一枚の白い封筒を手渡してくる。


「…ふむ、彼女からですか」


 封筒にはエレボスの名が書かれており、裏返すと中心の世界の鑞印でしっかりと密封されていた。


「…それは?」


「彼女からのようで御座いますね」


 何か考え込むように封筒を見つめていたエレボスは徐に封を切り中身を取り出し静かに読み進める。


 美弦に見せて良い物かを交錯するためだ。


「なんて書いてあるの?」


 真剣な眼差しで一枚の手紙を読むエレボスの姿に美弦は自分の肉体を所有する彼女の言葉が気になって仕方ない。


「……ふぅ、読まれますか?」


 小さく溜息をつき微苦笑の表情でエレボスは不安げな表情を浮かべている美弦に手紙を手渡す。


 手渡された手紙は半分に折られており、それを開くのを美弦は少し躊躇してしまう。


 何と書かれているのか、自分が読んで良い内容なのか、不安が意識に渦巻いていく。


 けれど、読まなければ先に進めない気がするのも事実であり覚悟を決めるように小さく唾を飲み込み瞳を閉じる。


 美弦はは少し躊躇したのだ。


 ガサッ。


 折られている手紙を勢いよく広げると、おそるおそる閉じていた瞳を開き手紙の内容を見た。


 けれど、彼女が見たものは予想外の内容であり


「…………えっ?」


 美弦は思わず呆けてしまう。


 その姿は内容を先に読んだエレボスの予想通りであり、彼は苦笑の色を浮かべるしかなかった。


「……なによ、これ?」


 短い文面を何度も読み直す。


「…彼女の方が一枚、上手のようですね」


 瞳を見開き手紙を握る手をワナワナと震わせながら美弦は我慢の限界を迎え………。


「あのバカ、ふざけるなぁ~!」


 屋敷中に響き渡る叫び声を放つのであった。


 そして、彼女が叫ぶきっかけとなったミユルの手紙の内容はと言うと……。


『エレボス様、この度はお手紙にて失礼いたします。貴方様が連れてこられた御方にお伝えください………。


 この身体、物凄く相性が良いみたい


 気に入ったからもうちょっとだけ借りるねぇ~


          では、探さないでください』


 …………であった。

読んでいただきありがとうございます

(o_ _)o


なかなか毎日更新とはいきませんができうる限り早く更新が出来るよう頑張っていきます


では、失礼いたします

<(_ _)>

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