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鍛冶師の仮面を被った魔王  作者: 苗村つめは
第一章
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EX. 5 お正月なり

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

「最近EX(エクストラ)ばっかりで飽きがでてきてるけど、お正月だよ、レインくん!明けましておめでとう」


 そろそろ恒例になりつつあるが、扉を勢いよく開け放ったアンナが朝からレインの部屋で言い放った。


 普段は勝手に人の布団に潜り込んでいるくせに、イベントごとがあるときにはしっかりと自室で準備を終えているらしい。


 アンナの金髪がよく映える、細やかな意匠が施された白い浴衣を着ていた。

 それに見惚れつつも顔には出さずジト目で、


「残念、俺がお前に教えたお正月は一月一日……まだ数日先の話だぞ」

「え?だって今日は碧の3月、初日だよ?レインくんが言ってる暦だと一月一日でしょう」


 ちなみに碧とは冬にあたる季節である。


「まあそうなんだが、俺が言ってる月ってのは一ヶ月30日か31日で二月だけ28日の、一年は365日。一ヶ月28日の暦だと、時期がずれるんだよ」


 しかも今までのずれた分を計算に入れると、数日どころじゃすまない。


 ぺらぺらと語るレインにアンナは首を傾げ、


「ハロウィンで大騒ぎしたし、今更じゃない?」


 確かにその通りである。



 ◆◆◆◆◆



「で、今回は何をすればいい。どうせまた厄介なことをしようって話なんだろ?」

「失礼な、レインくんは一体私をなんだと思ってるの?」

「珍獣」

「むう……」


 隣を歩くアンナを揶揄うレインは濃紺の甚兵衛に着替えている。


 寝巻きのレインにアンナが差し出したもので、「なんなんだ」とレインが問うても「いいからいいから」と答えは得られず、流されるままに着たのだ。


 尚、着かたが分からずしげしげと甚兵衛を眺めるレインに、アンナが「私が着替えさせてあげるよ?」と顔を真っ赤にして妄言を吐き、ぺいっと捨てられたという逸話もある。


「はぁ、珍獣というよりは性獣か……」

「不名誉!」



 ◆◆◆◆◆



「……で?なにをするんだ。散歩?」


 憤るアンナを落ち着かせたレインは若干むすっとした顔のアンナに同じ質問を繰り返す。


 いちいち最後に軽口が入るのは、もはや魂レベルで癖になっているので校正しようがない。

 ……まあ、魔法やらなんやらがある異世界なら校正できるのかもしれないが…………


「なんで着物着て散歩するの……」

「正月だから」

「違う、違うよ!レインくんを連れてきたのは、その……初詣?とかいうイベントをクリアするためだよ!」


 クリスマスは諸事情によりイベントをこなせず、その分アンナは張り切っているようだ。


「作者がクリスマスが12/25日だってことを完全に忘れていたせいでな……」

「『いゔ』ならともかく、26日だと思ってたんだから救いようがないよね」


 と、いうわけであるごめんなさいイベントの回収だけはどうにかできそうとか言っておいてこの始末です多分バレンタインイベントもできません予めご了承ください!


「まあそれはいい。アンナのバレンタインとかどうせ薬草チョコレートだし」

「レインくんにそんなものあげないよ!?ちゃんと美味しいの作るから!」

「お、おう……ありがとな。ところで、どこに初詣に行くんだ?この村に神社なんてなかったと思うんだが……」


 端的に言って、この世界の神は伝承の原本によるとクソだ。


 故にレインは神を毛嫌いしており、そして三年の付き合いであるアンナもレインほどではないにしろ神には苦手意識を持っている。


 だから自分は神社など探そうともしなかったので知らないのだろう。

 そしてなんだかんだで年の近い友だちと交友もあるアンナなら、神が苦手でも神社の場所くらいは知っているのかも知れない。


 そう思っていたのだが。


「ん?おとーさんのところだよ?昨日買い出し行くときに会って、そのときに「暇だったらこい」って」

「あ、そう……」


 何と無く話の展開は読めた、とレインは嘆息した。



 ◆◆◆◆◆



 そして案の定である。


「迦楼羅神社……」

「カルラって読むのこれ」


 懐かしき親父の家の前には、赤く塗られた鳥居。

 その奥にある親父の家だったものは、和風の厳かな雰囲気の建物『迦楼羅神社』となっていた。


 ちなみにこの神社の名前の由来は、そのままカルラ一族だから、そして「カルラ」と打ったら「迦楼羅(これ)」が変換の候補に上がったからである。


「ようこそ……祈ってくか?一年の平穏を」

「もう本編は波乱万丈のフラグ建てまくったし手遅れだ」

「何やってるのおとーさん……」

「私はおとーさんではない。そう、私はーー」


 そこで一度言葉を切り、神官か何かの衣装を纏った熊は。


 ドンッ!と美しいジ◯ジョ立ちを決めた。

 そして言い放つ。


「迦楼羅神だッ!」

「帰ります」

「もう遅い、脱出不可n……」

「はい、アウトー」



 ◆◆◆◆◆



「と、とりあえず、そこの娘はどうやらイベントをこよなく愛しているようだ……」

「違う、イベントがアンナを愛してるんだよ」

「私が欲しい愛は、いつだって一つ。ね、レインくん!」

「腕を掴むな、離せ性獣め」


 三者三様思い思いにツッコミ不在のネタを飛ばすはここ、迦楼羅神社。

 なりきり迦楼羅神の親父は、必死に神を演じ続けているようで、普段のツッコミは皆無。


 故にカオスだった。



「聞けやおら、ここは神社だ、はよ願い事言え」

「そんな雑な神はいねえ」

「そもそもなんの神様?」


 鍛冶師の代名詞とも言える迦楼羅(カルラ)なのだから、鍛冶の神様なのではなかろうか。

 実際、そんな扱いであるし……


 と、レインが勝手に予測していると。


「フラグの神」

「……は?」


 ちなみに、本物の迦楼羅は食吐悲苦鳥と呼ばれる仏教の守護神だとか。

 レイン自身あまり詳しくはないが、少なくともフラグの神ではないのは確かだ。


「フラグって、どんなフラグでも建てれるの……?」

「おいこら親父、うちの純真なアンナが騙されただろうが」

「親父ではない、迦楼羅神だ……その通り。私はたとえどんなフラグだろうと建てることのできる特級フラグ建築士……建築神だ」


 だから、と親父……迦楼羅神は少し口元を緩め、


「願いを言うといい。普段頑張っているお前たちにご褒美だ」


 珍しく気遣いのできる親父。

 レインとアンナは顔を見合わせ小さく笑うと、


「「じゃ、遠慮なく!」」











「植物のように平穏な……」

「レインくんの……もにょもにょ」


「台無しだ、馬鹿野郎」


趣味ぶちまけてすみませんw

ちなみに私の一番好きなキャラクターは爪の伸びる時期は気持ちが抑えきれなくなる人です。

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