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9「生き返り」

「さあやってまいりました第一回描写力コンテスト」


 2000文字丁度ってムズイ!


「文句を言わず描写を続けましょう。まずは前回のあらすじから」


 前回はイブが猫がいないことに気づき、それを聞かれたアダムが自分がやったことがバレないように俺のせいにしたって話だったな。


「まあ、だいたい合ってますね」


 しかし、アダムめ、俺のせいにするとは、罰当たりなやつだ。


「描写したのは貴方ですが」


 うるせいやい。

 さて、その続きを描写するかあ。

 多分、面白い展開になってくるはず。





 ――アダム視点。


「ウッ。ウッ」


 イブは泣いていた。

 それほどあの猫が好きだったっていうことなのか。

 私がいくら慰めても泣き止んでくれない。

 笑わそうとしても笑ってくれないし。新たに興味を惹かせる道具もない。


 どうしよう。

 こんなことになるぐらいなら猫を殺さなければ良かった。

 私は一時の感情で取り返しのつかないことをしてしまった。

 愛する人を悲しませるようなことをしてしまったのだ。


 ある方法を思いついた。

 もうこれ以外には方法がない。


 夜。イブは寝静まったのを見計らって、私は外へ出た。

 そして、猫の死体を埋めたところを掘り返す。


 猫はいつもどおりそこに横たわっていた。

 そして、私は神にお願いした。「どうか、この猫を生き返らせてください」と。





 どや。


「少しだけいい描写ですねえ」


 いや、とてもいい描写だろ。


「それは読者が決めることですから」


 まあいい。こいつも反省して俺に助けを求めて来たというわけだから。

 こいつの願いを叶えてやろう。


 それより気になることがあるんだが。


「何でしょうか?」


 こう、コロコロ視点を変えてもいいのか?


「私には少し分かりかねますが、読者の皆様が理解出来ればいいのではないでしょうか?」


 まあ、そうだなあ。


「それにコロコロ視点が変わるのは貴方様の描写力不足かと」


 余計なお世話だい。

 まあ、俺の書く小説はだいたい一話1000文字以下で終わってしまうからな。


 最初書いた小説は一話目は2万文字、しかも連載中で25万文字もあったのにどうしてこうなった。


「やはり、貴方の描写不足」


 もういい。分かってる。

 思うんだけどさ。


「何ですか?」


 やっぱ人によって書くジャンルって得意不得意ある気がするんだよねえ。


「それはありえますね」


 最初の小説は俺の得意分野だから25万文字もいったってことで、今は想像力が欠けてるのも原因で文章力も落ちてるのも仕方がないのかもしれない。


「さあ、そう言い訳をせず、描写を続けましょう。読者は私たちの無駄な会話を求めずストーリーを待ち望んでいます」


 読者読者うるせえな。

 いいだろ。こういう議論を設けたって。


「その無駄な会話で文字数を稼ぐのは御法度です」


 無駄ではないと思うんだが。

 分かったよ。続けるよ。

 とりあえず、次に進めるためにはこいつ(俺が作った世界のアダム)の願いを聞き届けてやることだな。





 ――アダム視点。


 私が猫の前で祈りを捧げてる中、声が聞こえてきた。


「その猫を生き返らせたいんだな」


 ああ、神様。はい、その通りで御座います。


「とりあえず、あんま生き物を殺すんじゃねえぞ、一応俺が作ってるんだからな」


 すいません。


「それじゃ、お前の願いに応じて猫を生き返らせてやろう」


 神がそう言い放った途端。猫が光だした。

 私はしばらく猫を見続けた。

 すると猫の目が薄らと開いた。

 奇跡としかいいようがない。

 猫が生き返ってたのだ。


 ああ、神よ。私の願いを聞き届けてくれたことに感謝します。

 そして、それと同時にもう二度と生き物を殺さないと誓います。





 どや。


「ドヤ顔するほどの描写ではない気がしますが」


 なんでや。猫を生き返らせるいい話やろ。


「そもそも貴方は~たが多すぎます」


 ~たって何だ?


「過去形が多いのです。読者の皆様は現在進行形の物語を読みたいと思っているのです。そこを直すべきかと」


 ああ、それな。それ指摘されてちょっとは悩んではいたが、俺としては違和感が無いからそのままにしてる。


「いいんですか? それで」


 自分で違和感があると思えないものをどうやって直せって言うんだ。それに、例えば~たを使わず~るにしたりしたところで~るばかりだと、それでも違和感があるだろ。


「確かにその通りなのかもしれませんが……」


 とりあえず俺は書きたいものを書くというスタンスで行く。もし仮に直せそうなところがあるなら直すさ。


「そうですね。では描写を続けてください」





 ――アダム視点。


 さて、猫は無事生き返ってくれたが、私を恐れてるのか、私に近寄ろうとしない。

 無理もない。私は一度、この猫を殺してしまったのだから。


 とりあえず、この猫はしばらく外にいることだろう。


 私は寝室に戻りそのまま眠りについた。





 さて、一区切りついて、終わらせたところだが、どうこの描写力?


「少し思うんですが、短すぎませんか?」


 短い?


「もう少し話を続けるとか、いい方法はあったはずですが」


 いいじゃん、もうすぐ2000文字だぞ。


「分かりました。終わります

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