6「アダムとイブ」
「さてやってまいりました第一回描写力コンテスト」
きっと読者はいいとこだったのにぶつ切りやがって、と切れてるだろうなあ。
「まあルールですので」
それじゃあ先ほどの続きから。
――アダム視点。
まただ。またあの感覚だ。
下の階に何かがある。そういった胸騒ぎがあった。
僕は早速二階から下へと下りていった。
そこには一人の女性が突っ立っていた。
「こんにちは」
僕は女性に声をかけてみた。
女性も「こんにちは」と返事を返してくれた。
しかし、この空間といい、あの声といい気になることが多すぎる。
この女性なら何か知ってるのかもしれない。
まずは
「貴方のお名前は?」
と聞いてみた。この女性の情報も知る必要があるだろう。
「それが、私にも分からないんです」
ということはこの女性は何も知らない確率が高い。
一応、もう少し情報が欲しいから聞いてみよう。
「貴方はどこからここへ来たんですか?」
「それも私には分かりません」
やはりこの女性も私と同じ、突然この空間に追いやられた人間というわけだ。
すると女性が言葉を発した。
「私の名前はイブです」
女性が知らないはずの自分の名前を答えた。
どういうことだろうか?
もしかして、あの声の持ち主がこの女性に名前を教えてくれたのだろうか。
どうだ。この描写力。わざわざ俺が語らなくてもアダムという人物が俺がやったことについて語ってくれている。
「まあ、悪くはないんじゃないでしょうか。私には分かりませんが」
さて、次はどう進めるかなんだよなあ。
「そこが作者の腕の見せ所ですね」
とりあえず二人のやり取りを描写してみるか。
――アダム視点。
「私はアダムといいます。そういえば先ほど知らないはずの自分の名前を答えてましたが、何か声がしたんですか?」
「その通りです。その声の持ち主が私の名前はイブだと教えてくれました」
なるほど。やはりあの声が関係していたか。
しかし、見た感じこの女性はこの部屋やあの声についての情報を知っている様子はない。
一応聞いてみるか。
「私は何も知りません。それどころか突然この空間に立たされて驚いているのです」
やはり知らない。
しかし、私には一つだけ分かることがある。
あの声の持ち主が何かしら、私たちにアクションを起こしているということだ。
偶然でこんな出来事が起きるはずがない。
一体あの声の持ち主は何者なんだ。
私に何をさせたい。
そういった疑問が私の頭の中を駆け巡っていった。
何かアダムの思考がするどくなったな。
「一応、これ、神である貴方が描写してるんですがね」
ちょっと物語っぽくなって面白くなってきたじゃないの。
「それはそうですが、まだまだ盛り上がっていませんよ」
盛り上がってるじゃん。俺の意図は一体なんなのか? とか読者の期待をそそるような内容じゃん。
「ここから”アダム”という人物がどう行動するかが問題ですね」
ってか、描写だるい。後800文字も書かんといけんの?。しかも10万文字まであと9万文字近くも必要なんだぞ。
「そんな甘えた考えじゃ書籍化目指せませんよ。それにこんな描写で文字数を稼ぐなんて御法度です」
分かったよ。続けるよ。
さて、これで二人が出会ったわけだが、俺の意図としてはこの二人に子供作って子孫繁栄して欲しい。
ってことはあれしかないか。
――アダム視点。
私とイブと名乗る女性はしばらく、沈黙の時を過ごしていた。
何を喋っていいか。分からない。
とりあえずここに書いてあるうさぎの絵について話をしてみるか?
この女性にもある程度情報を提供するべきだろう。
そう思った途端。
私たちの目の前にコップが2個現れた。
急に現れたのだ。あの声の持ち主の仕業かもしれない。
コップの中には水が入っていた。
丁度いい。喉が渇いてたんだ。
「わあ。水だ。私、喉が乾いていたんですよねえ」
私たちは有り難く水を頂いた。
美味しかった。
喉が渇いた時の水は美味しいな。
あれ? 急に目の前の女性が愛おしく見えてきた。
「一応、聞きましょう。何をしたんですか?」
媚薬入りの水を差し出しました。
「さすが、神、やることが違う」
これで二人はああやってこうやって子供を作るわけだ。
それより、何か文句ありげだな。言いたいことがあるなら言えよ。
「いや、読者としての立場としては、二人の自然な流れを見たかったはずです。それが神が急にどうこうって事を進めちゃ面白味に欠けませんか?」
…………確かに。
「まあ、これからの展開に期待ですね」
さて、描写を続けてみるか。
――アダム視点。
ふう。
私たちは愛し合った。
この感情は私だけが抱いていたと思っていたが、イブも抱いていたみたいだった。
「私たちって結ばれる運命なんですね」
もしかして私がやるべきことってこれのことなんだろうか?
これもあの声の持ち主の意図に含まれてるんじゃないだろうか?
そう思いながら私たちは眠りについた。
さて、あと少しで2000文字だ。
「ここまで見てくれた読者の皆さん。ありがとうございました」
次もよろしくたの
間違って完結設定にしてしまいました。
次から気をつけます。