39「丁度いいところで区切れないルール」
「さあやってまいりました第一回描写力コンテスト」
その挨拶、耳にタコが出来るぐらい聞いてるぞ。
「ルールですので」
ルールは破るためにある。
「前もその言葉を聞いたような」
大事なことだから二回言ってやった。
さて、前回は治安の悪い街でアダム一行が一人の男性を救い終えた後の話だったな。
次へ進めるわけだが……。
「どうしました?」
イベントが思いつかん。
ということで約束の地に着いたところから始めてもいいか?
「おおっとアダム選手! イベントすっ飛ばしとはまた大胆で危険な!!」
いやあ、間間でどういった話を作ればいいのか分からん。
まあ安心していいぞ。約束の地に着いたからといって終わるわけじゃないから。
「この小説の最終目標は30万文字ですもんね」
というわけだ。
まあどういう展開になるかはこれから描写するから見ててくれ。
「読者の皆様、期待せず見守ってやってください」
期待せずって何だよ。
まあいい。続けるぞ。
――アダム視点。
あれからどれくらいの月日が経っただろう。
いろんな街を巡り歩いた。
治安の悪いスラム街から貴族が住んでるだろう豪華な街まで、様々な街を私は見てきた。
まるで、旅行者の気分だ。
イブに会いたいと思うことすら忘れるぐらいだ。
いや、もうそろそろイブに会いたいな。
さすがにここまでたくさんの街を見てると、新しい街でも飽きてくる。
そろそろ約束の地に着く頃だとラッドが行っていた。
そこに行けばイブに会えるのだろうか?
ラッドが本に書かれていると言ってたもんだから、半信半疑ながらも付いて来てはいるが。
「ここだよ」
どうやら着いたらしい。
約束の地。
砂漠のような何も無いところに、ポツンと縦と横の長さが5メートル。高さ20センチほどの台があった。
その台の上には、また台があって、そこには二つの丸い窪みがあった。
「やっと着いたね」
「ですねえ」
「早速本題に入ろうか」
「本題?」
「ああ、君はここで死ななければならない」
え? 私はそのラッドの発言を聞いて衝撃を受けた。
きゅうけーい。
「ええええええ!?」
何だよ?
「まだたった500文字しか書いてませんよ」
いいだろ別に。
「この会話で文字数を稼ぐ魂胆が丸見えです」
いや、終わりとしても丁度良いと思ったからここで区切ったんだよ。
「早く続きを描写してください。期待されてないとはいえ、読者の皆様も見てくれてるでしょうし」
分かったよお。続けるよお。
――アダム視点。
「君はここで死ななければならない」
ラッドのその言葉を私は受け入れられずにいた。
私が死ぬ?
誰がそんな言葉を信じるというのだろう。
「なぜですか?」
私は当たり前の疑問符をラッドに投げかける。
「本に書かれているからだよ」
本。
神を殺すために書かれているラッドにしか読めない本。
しかし、それは神を殺すためであって、私を殺す本ではないはずだ。
「納得出来ません。私が死ぬなんて」
「安心して、僕が神になったら君を生き返らせるから」
そういうとラッドは剣を取り出した。
まずい! 殺される!!
「選べ、人間」
逃げてる間、ふとホープの言葉を思い出した。
ホープは言っていた。
ラッドに殺される未来か。イブと出会える未来かと。
ホープの言ってることは本当だった。
私は選んでしまったのだ。
ラッドに殺される未来を。
私はひたすら、砂漠の中を逃げ続けていた。
しかし、素人の私と数万の冒険者の中で45位のラッド。
身体能力は一目瞭然だった。
「うわあああああああ!!」
死ぬのか。私は……こんなところで。
イブ。
誰でもいい。助けてくれ。
死ぬのは嫌だ。イブに会えないのは嫌だあああ!!
「な!?」
後ろからラッドの驚きの声が発せられた。振り返ってみる。
そこには
「こやつを死なせるわけにはいかん」
黒いローブ。
その見た目ですぐ分かる。
ホープだ。
「どうやってここまで!?」
「我は神の下僕。であるならば、どこへだって現れることが出来る」
ラッドの問いに当然のように答えるホープ。
「クッ! まあいい。僕の邪魔をするというのなら誰だって排除する」
そう言うとラッドはホープに斬りかかった。
ホープもビーム状の剣を握り、それに対処する。
さすが神の下僕といったところか。
結果はコロシアムの時とほぼ一緒だった。
「か、勝てない!」
ついにラッドは剣を弾かれ、プライドもズタズタにされたのだろう。その場で跪いてしまった。
「神を殺すはずの僕がこんなところで」
「なぜ、神を殺す?」
「決まっている。幸福な世界を作るためだ」
「愚かな回答だな」
「何!?」
ラッドは半ばキレ気味になった。
睨むようにホープを見つめる。
「幸福な世界を作ることのどこが愚かなんだ!」
「それを愚かだとは言っていない」
「じゃあ」
「神を殺すことが愚かだと言ってるのだ」
「でも……神を殺さなければこの世界は!」
「貴様は本気で神を殺せばこの世界は幸福になると思っているのか?」
「決まっている。僕が神になれば」
「世界を幸福に出来る……と?」
「そうだ」
「愚かなり」
ラッドとホープの




