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38「僕が神になったら」

「さあやってまいりました第一回描写力コンテスト」


 前回は船の問題からだったな。


「では描写続けてください」


 あいよ。





 ――アダム視点。


 まずい! どんどん船の中に水が入っていき、沈没寸前まで陥ってしまった。

 乗客達の中にはすでに船に内蔵されているボートを準備し始めてるのもいた。


 もうダメだ。この船は沈む。

 諦めて、私もボートに乗ることにしよう。

 そう思った矢先。


 船の中に入ってる瞬く間に氷へと変わっていった。

 一体何が起こったんだ。


「ただでさえ、気分が悪いのに。こんな目に合うとは」


 そこにはラッドがいた。

 もしや。


「この氷、全て貴方が?」

「まあ、氷程度の魔術なら僕も使えるさ」


 ラッドは氷魔術を使い、船の中に入ってる水を全て凍りづけにし、船に入ってくる水を防いだのだった。

 さすが45位の冒険者。魔術も魔術の規模もでかすぎる。


「貴方方は救世主です。本当に助かりました」


 さっきの雷魔術師の御方とラッドは周りの乗客達から持ち上げられていた。


「いえいえ、俺は当然のことをしたまでです」

「礼には及びません。それよりトイレに行ってもいいですか?」


 相変わらず船酔いが酷いラッド。

 とりあえず、船の問題が無事に片付いて良かった。





「あのう」


 何かね?


「船の中に入ってる凍りづけになった水のことなんですが」


 それがどうした?


「船の中の水を凍りづけにしただけで、船の沈没は収まるんでしょうか?」


 それは俺にも分からん。


「へ?」


 調べるのも面倒だし、俺の中のイメージでは水が凍りづけになったことにより、船の中に入る水がなくなり、沈没が防がれているといった形になったわけだ。


「なるほど。しかし、イメージだけで描写するとは……」


 仕方ねえだろ。そもそも船に穴が空いた時の対処法なんて、調べても出てこねえだろうし、この方法が一番適切だと思ったんだよ。


「まあいいでしょう。次へ進んでください」





 ――アダム視点。


 次の国ヴェルカへとたどり着いた。

 ここはヴェルカ国のインリア区に入るところらしい。


 それにしても何だこの街は……。

 建物も所々、崩壊してる部分もあるし、辺には乞食みたいな出てだちの人ばかりがいた。

 そこを歩いている中、とある場面に出くわした。


「オラオラ!」

「やめてくれ! ゲホッ!」


 一人の男性が複数の輩に殴る蹴るの暴行を受けている場面だ。

 ダメだ。これは見過ごせない。

 あまりにも見てられないので私は声を


「おい! 君たち」


 かける前にラッドが言葉を発した。


「何だよ? 坊ちゃん」

「俺たちに何かようか?」


 威嚇するような態度で言葉を返す輩たち。


「暴力はいけないよ」

「ああん? 威勢のいいこって」

「裕福そうな服装だな。金目のもんとか持ってんの?」


 さっきまで暴力を振るっていた男性から輩たちの視線はラッドに集中することになった。


「まあ、これぐらいで勘弁してやってよ」


 そう言うとラッドは懐から100万Gは入ってるだろう袋を輩たちに見せびらかした。


「な!?」

「まじでお金持ちとは」

「この男性を見逃してくれるんならあげるよ」


 どうやら交渉成立のようだ。

 輩たちはお金を受け取ると、どこかへと去っていった。


「君、大丈夫?」

「有難うございます! 貴方は救世主だ」


 ラッドが救世主と呼ばれるのはこれで二回目だ。


「ここは危ないから、離れたほうがいいかもね」

「残念ながら私はここの住人なのです。貧乏なので、ここから抜け出せずにいます」

「そうか、だったら」


 ラッドはまた大金が入ってそうな袋を取り出し、男性に手渡した。


「いいんですか?」

「これで、いいところに住めるね。そこで幸せに生きるんだよ」

「何から何まで、本当に有難うございます!」


 男性はラッドの行為に感激したのか、涙まで流していた。


「それじゃあ僕たちは用事があるのでそろそろ行くね」

「本当に有難う御座いました!!」


 男性の言葉を背に、私たちはこの治安の悪い街を歩く。


「僕が神になったらね」


 ラッドはしばらく間を置いた後、こう言い放った。


「この街もなくなるだろうね」


 その言葉を発するラッドの表情はとても悲しみに満ち溢れていた。





 ふう。


「描写お疲れ様です」


 出来ればこの会話なしで2000文字行ってみたいな。


「ですねえ」


 あと300文字。どんな文字で埋めようか。


「適当にあらすじでも」


 オーけー。


 無事、船の問題を片付けたアダム一行。

 とある治安の悪い街で起こった問題も片付ける。

 ラッドは自分が神になったらこの街もなくなると高々に宣言する。

 その表情から神である俺を本気で殺そうとする様子が見て取れる。

 果たして、ラッドは俺を殺すことは出来るのか。

 出来ないだろうけどお。


「酷い、あらすじですね」


 ああ、自分でも書いてて酷いと思った。

 俺に勝てないとかネタバレじゃん。


「それ以前に高々に宣言してないですし、さっきの表情は悲しいってだけで貴方を殺そうとする様子じゃなかったでしょ」


 まあいいだろ。多少盛ったって。


「その態度は読者に嫌われますねって、すでに嫌われてるでしょうけども」


 この兎焼いたろか

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