37「船の問題」
「さあやってまいりました第一回描写力コンテスト」
うーむ。
「お悩みのようですね」
とりあえず前回の矛盾を避けるための設定を用意しておいた。
「その設定とは?」
”神の殺し方”という本があるだろう。
「はい」
あれ、適当に作っただけだから。
「…………は?」
いや、そういう設定でいこうかなと。
「これはブクマが減っても仕方がない」
まあいいや。この小説の目的は30万文字書く事にあるし、評価は敢えてなしの方向で。
物語、次、進めるぞ。
――アダム視点。
「何とか撒くことができましたね」
「そうだね」
私たちはボカル草原の上でふうと溜息をついた。
「これから向かいたい場所があるんだけどいいかな?」
「どこです?」
「アルーカ王国といって、ここから結構離れてる場所にあるんだ」
「ワープストーンで行けないんですか?」
「ワープストーンは行ったことある場所しか行けないからね。僕は行ったことあるけど君は行ったことないでしょ?」
「それはそうですね」
「だから徒歩になるね」
私は気が遠くなりそうになりながらも目的地がある場所へと向かった。
しかし、ラッドはそこへ行って何をしようというのだろうか?
疑問には思ったが、私はそれを口にするのはやめた。
さて、これからの展開なんだが。
「どうします?」
あっさりアルーカ王国へ着いても面白くないから、道中で何かイベントを起こしたい。
「ですねえ」
しかし、どんなイベントがいいか分からないし、どんな描写がいいのか分からない。
「それを描写できないと!!」
分かってんよ。
続けるか。
――アダム視点。
私たちは次の国ヴェルカへ向かうために船に乗った。
「おえええええええ」
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だおええええ」
全然、大丈夫に見えないんですが。
どうやらラッドは船に弱いらしい。
これほどの冒険者が船ごときに酔うとは、珍しいこともあるものだ。
ラッドはしばらくすると「ちょっとトイレ」と言って、そのままトイレに閉じこもってしまった。
折角、スライム色の綺麗な海が見れるというのに勿体無い。
まあいいか。
「ラッドの意外な一面。そして頭の中がスライムなアダム」
面白い描写だろ?
「ギャグとしては20点ってところでしょうか?」
お前20点って言葉好きだな。適当に言ってるようにしか見えん。
「まあ続けましょう。無駄話も何ですし」
あいよ。
――アダム視点。
船に揺れること一時間。私たちはヴェルカへと辿り着くのを楽しみに待っていた。
ラッドは相変わらずトイレの中だが。
「ん!? 何だ!?」
急に船が大きく揺れ動いた。強風が吹いてるわけでもない。
なのに嵐にあったかのように大きく揺れた。
「あれは!?」
周りの乗客達が悲鳴を上げる。私もその先を見てみる。
本当に何だ? あれは? と言いたくなる光景だった。
赤い何かが船に張り付いている。
その赤いのが段々姿を現すようになった。
「タコ!?」
そのタコはあまりにもでかかった。そして、タコは船の上にまで登ってきた。
まずい! ラッドを呼ばなければ。
「ラッド! ラッド!!」
「おええええええ」
ダメだ。ラッドは船に酔っていてまともに戦える状況じゃない。
こんなことなら飛行機に乗れば良かった。
あっそのルートじゃアルーカ王国へは辿り着けないんだったっけ。
ってそんなこと考えてる場合じゃない。
乗客達の悲鳴が聞こえてくる。
次の瞬間。
轟音が鳴り響いた。
しばらくすると轟音が止み、船が揺れだすのも治まった。
何が起こったのだろう。
デカイタコがいた場所へ戻ってみる。
「皆さん、安心してください。俺が雷魔術で倒しておきましたので」
一人の男性が声高らかにそう言い放った。
とても身なりがいい。優しさが溢れ、尚且つ威厳がある表情をしている。
「おおっ! こんなところにこんな冒険者がいるとは、貴方は救世主だ」
船の乗客達は次々と彼を褒めたたえた。
その雷魔術師はいえいえと言い放ち、船の中へと消えていった。
こうして船の一件は方が着いた……わけではなかった。
まだ船は揺れ動いていた。
しかも、今度はデカイタコから来る揺れではなくて、船そのものが沈没しそうな揺れだった。
「おい! さっきのタコのせいで船に穴が空いてるぞ!」
乗客の一人がそう言い放つ。
これはまずい。
「誰か船の穴を修復できるやつはいないのか!?」
乗客達はパニックに陥った。
とりあえず、人手が必要だったみたいなので私も船の穴を塞ぐべく、船の穴が空いてる箇所へと向かった。
うわあ、これは……。
デカイタコのせいなのか所々に穴が空いており、そこから海の水が入り出している。
一人は船の穴を抑えようとし、一人はバケツで水を外へ出そうとしている。
しかし、焼け石に水。こんなことで事態が解決するわけがない。
次回予告。
デカイタコに襲われた船。何とかタコは処理出来たが、別の問題が発生する。
このままでは船が沈んでしまう。果たしてアダムはその問題をどう片付けるのか。
それじゃラビット、終わりの挨拶よろしく。
「皆さん、また次もよろしくおねが




