18「ラッド・バットラー」
「さあやってまいりました第一回描写力コンテスト」
一からここまで読んだ読者は慣れてるのかもな。
「お使いのPCは正常です。私たちが強引に区切ってるだけですから」
私たちじゃなくて、私、だろ。
「ですね。アダム様のせいですよね」
結局俺が悪いんかーい。
「さあ、読者の皆様のためにもさっきの続きを」
分かってんよ。
――アダム視点。
私はとある建物の中に入っていった。
その建物は”ギルド”と看板が掲げてあった建物だ。
建物の中には、屈強そうな人物ばかりで溢れかえっていた。
ちょっと怖いが、私は勇気を出してイブの居場所を聞き出した。
「ちょっとあんさん」
すると、一人の人物が私に話しかけてきた。
「わしゃ、情報屋でねえ」
その男は緑色のローブを被っており、いかにも怪しいいでだちをしていた。
あまり関わりたくないが、こいつ以外、頼りになりそうな人はどこにもいない。
「イブを探してるんですが」
「それだけじゃ分からんぞよ。わしに出来る限りの情報を提供してみせい」
私は隅々まで詳しく語った。
四角形の変な家に住んでいたこと。
外には壁が設けられていて、リンゴの木があること。
他にも、この剣を取った瞬間、急にこちらの世界にいたことなど。
私の知りうる限りのありとあらゆる情報をその人に話した。
「なるほどな」
「どうですか。見つかりそうですか?」
「そうだなあ。まあ大体のことが分かった」
「それじゃあイブは、ん?」
情報屋と名乗る男は右手を差し出してきた。
「何ですか?」
「わしが無料で情報を教えると思うのかね」
こいつ!
「10G、100G、1000G、10000G、お金が高いほど質がいい情報を提供するよ」
私はお金を持っていないことを素直にこの情報屋に告げた。
「それじゃあ、教えることが出来ないねえ」
「そこを何とか!」
「そうじゃなあ。お主、結構いい格好をしているのう」
情報屋が急に私の容姿に関して話してきた。
「お主の服装やその剣、どれか一つでも1万Gくらいの価値はある」
「ってことは」
「察しがいいのう。わしに身につけてるものどれか一つ譲ってくれ」
私は今の自分に必要のないもの。
いや、これのせいで私はこんな目にあってるのだ。
私は剣を情報屋に手渡した。
「では、お主に有益な情報を授けよう」
やった。これでイブにまた会える。
「ラッド・バットラー」
急に情報屋が誰かの名前を呼んだ。
情報屋は話を続ける。
「そやつなら何か知ってるやもしれん」
え?
私はもっと有益な情報が得られると思っていた。
イブの居場所とか、私の住んでる家とか。
それが何だ?
ラッド・バットラー。そんな情報だけで一体どうすればいいんだよ!
「そう怒るな。本来ならばこれだけの情報しか教える気はなかったが、1万G相当のものをもらっているのだ。出来る限りのことを尽くそう」
そういうと情報屋は何か石みたいなものを懐から取り出した。
「何ですか? それは?」
「そんなことも知らんのか。これは”テレパシーストーン”といって遠くの者とやり取りをする道具じゃ」
情報屋はその石を額に当て、しばらくじっとしていた。
その後、その石を懐に戻し、私にこう話しかけてきた。
「良かったのう、幸いあの方もお主に興味を示してくださっているようだ」
私に興味?
まあ、そんなことはどうでもいい。
今はイブの情報が必要だ。
「それで、イブはどこにいるか知りませんか?」
「それは分からぬ」
何だと!?
「だからそう怒るな。数万の冒険者のTOP100に入る。あのラッド様が自らこちらに向かいに来てくださっているのだ。それだけでも有難いと思え、それだけじゃない」
情報屋は話を続けてきた。
「お主をしばらくここに留めてくれとも仰っているのだ。よほどお主のことを気にかけてるようじゃのう」
ラッド・バットラー。一体何者だ?
私を気にかけている?
何か目的でもあるんだろうか?
「しかし、お主はわしみたいな情報屋に出会えて幸運だのう。TOP100の冒険者とやり取りが出来る情報屋もそうはいないて」
情報屋のおっさんは私にそのことを自慢してきた。
とりあえず、ラッド・バットラー。彼に出会えれば何か分かるかもしれない。
私は淡い期待を抱きながら、彼の到着を待った。
ふう。
「描写お疲れ様です」
疲れるよってか、なかなか思ったような描写が出来ないな。
「そんなもんだと思いますよ。思うような描写を出来る小説家もそこまで多いわけではないと思いますし」
だな。俺だけじゃないよな。
「それにしても、アダムといいイブといいリンゴといいあの箱といい。展開が聖書に似ていますね」
まあ、聖書を参考にしてはいるが、オリジナルではあるよ。
「ですねえ」
さて、続きの描写だが。
「ラッド・バッドラーの到着を待つんでしたっけ?」
まあ、そうなんだけどもよ。
「何か問題が?」
その後の展開をどうしようか考え中。
「またですか。プロット練ったほうがいいんじゃないですか?」
えええ! めんどくせえ。
そろそろ2000文字だ。
「皆様、さようなら」




