17「描写って難しい」
「さあやってまいりました第一回描写力コンテスト」
あと少しでお前の挨拶もぷつ切りだったのに!!
「ある意味そうですよ」
まあいいか。
「前回の話の続きをしましょうか」
描写云々の話だったな。
前回も言ったが、俺は情景描写は書くのも読むのも苦手だ。
「しかし、ほとんどの小説は物語なのですから情景描写は必要かと」
まあ、確かに書籍化目指すなら情景描写も必要かあ。
「なので情景描写を書けるようになってください」
でもなあ。
「何ですか?」
前までは四角形の簡単な部屋の描写しかしなかったじゃん。
「はい」
今度はアダム以外の人たちがいる世界を描写する必要があるわけじゃん。
「はい」
難しすぎるよお!
「確かにそうですねえ」
政治、経済、軍事とか世の中の様々な描写をしないといけないわけだ。
「まあ、それを上手く描写出来る人が書籍化作家になれるわけですからねえ」
で、どうするよ?
「では続きを」
まじでか。
「まあ、あまり堅苦しいことは考えず好きに書いてみてはどうでしょうか?」
分かったよ。そうしてみるよ。
それじゃあ続けるぞ。
――アダム視点。
私は見知らぬ街を彷徨い続けた。
商店街、図書館、学校。
様々な場所に行き、様々な人々に声をかけてきた。
しかし、イブの情報は全然入手出来なかった。
「ん?」
ふと、私はとある建物の看板が気になった。
「ここなら、何か知ってる人がいるだろうか?」
私はその建物の中に入っていった。
ふぅ。一旦区切るぜえ。
「短く区切りすぎじゃありません?」
これ以上。どう長くしろと。
「もう少し描写を加えてみるべきかと」
それより先に進みたいんだろ?
「それも結構ですが、その前にさっきの話は詳しい描写が必要かもしれませんよ」
そうだな。じゃあ今の描写をもう少し付け加えて、もう一回やってみるわ。
「お願いします」
付け加えたところは””で表示するから見比べてみてくれ。
――アダム視点。
私は見知らぬ街を彷徨い続けた。
商店街、図書館、学校。
様々な場所に行き、様々な人々に声をかけてきた。
”商いをする人、学生の人、旅をしている人、様々だ。”
しかし、イブの居場所の情報は全然入手出来なかった。
「ん?」
ふと、私はとある建物の看板が気になった。
”その建物は他の建物と比べると、結構豪華そうに見えた。”
”他の建物もそうだが、この街の建物は屋根が三角形になっていることが多い。”
”私の四角形の家とは大違いだ。”
「ここなら、何か知ってる人がいるだろうか?」
私はその建物の中に入っていった。
どうだ?
「うーん。描写が増えたのはいいのですが」
何だ? 遠慮せず言ってみろ。
「余計な部分もあるかと」
どこにある?
「例えば、”ふと、私はとある建物の看板が気になった。”の後なんですが」
それがどうした?
「”他の建物もそうだが、この街の建物は屋根が三角形になっていることが多い。””私の家とは大違いだ。”の部分は必要ないかと」
どうして?
「その後に主人公アダムは建物に入るわけですが、その前の描写が多すぎて、どの建物を指してるのかこんがらがっちゃいます」
なるほど、確かにそうだな。
自分で読んでて分からなくなる。
「でしょう」
しかし、その描写を取ると、文字数が少なくなって、薄っぺらい内容にしかならなくなるぞ。
「前後を入れ替えるってのはどうでしょう?」
入れ替える?
「はい、先ほどの描写をどこか別のところでしてみるわけです」
オーケー、やってみるわ。
――アダム視点。
私は見知らぬ街を彷徨い続けた。
商店街、図書館、学校。
様々な場所に行き、様々な人々に声をかけてきた。
商いをする人、学生の人、旅をしている人、様々だ。
しかし、イブの居場所の情報は全然入手出来なかった。
しばらく建物を見て思ったんだが、この街の建物は屋根が三角形になっていることが多い。
私の四角形の家とは大違いだ。
「ん?」
ふと、私はとある建物の看板が気になった。
その建物は他の建物と比べると、結構豪華そうに見えた。
「ここなら、何か知ってる人がいるだろうか?」
私はその建物の中に入っていった。
これならどうよ。
「結構見栄えは良くなったんじゃないでしょうか?」
だろう!
ちょっと文章を変えたが、同じ文章を別のところで描写してみたわけだ。
「これなら混乱はないかもしれませんね」
これで、俺の高い文章力がさらに高くなったな。
「いや、これぐらいは描写出来て当たり前かと」
まあでも俺の描写力は
「そもそも私個人の感想なので、他の読者様にはその描写も違和感だらけかもしれませんよ」
もうこれ以上、直しようがないんだが……。
「まあいいでしょう。続けてみては?」
オーケー。
――アダム視点。
私はとある建物の中に入っていった。
その建物は”ギルド”と看板が掲げてあった建物だ。
建物の中には、屈強そうな人物ばかりで溢れかえっていた。
ちょっと怖いが、私は勇気を出してイブの居場所を聞き出した。
「ちょっとあんさん」
すると、一人の人物が私に話しかけてきた。
「わしゃ、情報屋でねえ」
そ




