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16「なろうあるある」

「さあやってまりました第一回描写力コンテスト」


 やってまいりました!


「前回の貴方の焦らしっぷりは異常でしたね」


 いや、大事な話はどうしても先延ばしたくてな。


「今回こそはその大事な話を描写するんですね!?」


 ああ、もちろん。


「お願いしますよお」


 分かってるよ。


「その前に」


 何?


「ついにこの小説が3万文字突破しました!!」


 ……そう。


「あまり嬉しくなさそうですね」


 だって10万文字まで後、7万文字もあるんだろう!


「そうですね。私との無駄な会話を含めて、やっと3万文字ですからね」


 無駄な会話言うなし。


「まあいいでしょう。それじゃあ描写のほう、続けてください」


 ほい。





 ――アダム視点。


「お願いやめて!」


 イブが私を止めようとする。

 しかし、私の好奇心が箱を開けるようにと私に命令する。

 ”この箱、開けるべからず”

 開けるべからずという言葉を目にすると開けたくなる。

 それが人間の心情というものだろう。


 私は箱の中を開けた。


「ん? 何だ? これは」


 中には鞘に収められた剣が入っていた。


「やめて! アダム!!」


 イブのそんな叫び声はお構いなしに、私は剣を手に取った。

 その瞬間。


 辺り一面が真っ白に包まれた。

 何だ?


「開けたな」


 その声が聞こえた瞬間、私は意識を失った。





「次、行きましょう」


 せっかちだなあ。もう少し語ろうぜ。


「読者としては私たちの会話はどうでもいいところ!」


 なろうあるあるう!


「どうしたんですか急に?」


 いいだろ。この”小説家になろう”でありがちなことを一つだけ思いついた。


「何ですか?」


 皆、最新話を読む傾向にある。


「ほうほう」


 分かるだろ。


「確かにアクセス解析の話別を見れば、その傾向にありますね」


 何でなのかね?


「私としては二つほど推測がありますね」


 ほうほう、聞かせろ。


「まずは速読の人が多いこと」


 根拠は?


「貴方もあるんじゃないですか? なろうTOPで”このタイトル見たことがある”ってことが」


 ああ、あるな。


「速読の人は適当に話を読み、面白くなければそこで切ります」


 それで?


「なので、また同じタイトルを見かけても”この小説は面白くないから見ない”という判断になるわけです」


 それがどうして最新話が多い理由になるんだよ。


「中には”面白くなってるかな?”と最新話を見る人もいるわけです」


 それが最新話を読む人が多い理由か?


「かと思います」


 で、もう一つの推測というのは。


「一応、一つ目の推測と似た部分があるかもしれませんが」


 いいよ。聞かせろよ。


「この小説が面白いかどうか、最新話で判断する人が多いってところでしょうか」


 なるほど、確かに俺も一から読む面倒なことをするより最新話を見て判断するかもしれん。


「そもそも貴方は”読む”ことすらしてないと思いますが……」


 うるせえな。何だ? 読まない人が小説書いちゃいけないんですか?


「そういうわけではありませんが」


 さあ、皆! 俺の小説を読め!


「読者の皆様、ここで切ってくれて構いませんよ」


 お前、神と読者。どっちの味方だ?


「読者です」


 ……即答だな。


「それより続きを描写しましょう。気にしてる読者の方々も少なからずいますから」


 その言葉に少しだけ救われた気がするよ……。





 ――アダム視点。


「ここは……どこだ?」


 気が付くと、私はどこかの街中にいた。 

 大勢の人が行き交う。

 他の人を見かけるのはイブとアダブ以外初めてだ。


 それよりもイブだ。

 

「あのう、すいません」


 私は街中を行き交う人々にイブの居場所を聞き出した。

 しかし、人々は私を無視するどころか


「うっせえな邪魔だ。どけよ」


 と突き放したりする者もいた。

 急に虚しさが込み上げてきた。


 私は孤独になってしまった。

 最愛のイブはどこにいるんだろう?

 ああ、イブ、私の愛しき人よ。


 こうなるなら箱を開けなければ良かった。


 私は虚しさを感じると共に恨みの気持ちを抱き始めていた。

 その対象は誰か?

 神だ。


 神が私とイブを突き放したのだ。

 神め。この恨み。絶対に忘れない。





 俺、恨まれちゃってるんですけど。


「良かったですね。話が進んで」


 良くねえよ。恨まれちゃってるんだぞ。


「描写したのは貴方ですよ」


 ぐぬう。


「それより先へ進みましょう。続きが気になります」


 気になるか。


「ええ、今アダムは孤独です。神を恨んだあと、これからどう行動するか見ものです」


 俺が困ってるのは恨まれたことだけじゃない。


「何ですか?」


 今、アダムは見知らぬ街にいるわけだ。


「そうですね」


 つまり、その街の様子を描写しなければいけないわけだ。


「それがどうかしましたか」


 簡単に言ってくれるね。今まで俺は簡単な描写しかしてこなかったわけだ。特に情景描写。


「ですねえ」


 情景描写が苦手な俺はどうすればいい。


「勉強してください」


 だから簡単に言うなって、勉強しただけで情景描写が上手く出来れば苦労はしねえよ。

 それに俺は、情景描写は書くだけじゃなく、読むのも苦手だ。

 俺は人の内面。心理描写とかを読みたいわけだしな。

 おっとそろそろ2000文字だ。


「ですね。皆さん。また次」


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