14「エロスで釣れるか?」
「さてやってまいりました第一回描写力コンテスト」
俺の挨拶が途切れるのはお約束なんだな。
「ここまで来て、私の挨拶は一度も途切れておりません。これもひとえに読者の皆様のおかげかと」
いや、そこは読者関係ねえだろ。
「さて、確か前回は戦いをどう描くかで話が終わってましたね」
思うんだけどさ。
「はい」
一応”一から作る”ってタイトルだし、なるべくその方向で進みたい。
「それで?」
それで戦いを自然に生み出すってのはどうだろう?
「自然に戦いを生むのはいいかもしれませんが、そこまでの描写がどれだけ出来るかが作者の見せ所ですね」
まあ、そうなるわな。
さて、無事アダブが生まれたわけだが、今後どう描写しようかなあ。
一応続きを描写してみるか。
――アダム視点。
「アダブ。パパでチュよ」
「もう貴方ったら」
アダブが生まれて私たち家庭は随分賑やかになった。
アダブは無邪気に笑うかと思えば、叫び声を上げるかのように泣き出し。
私たちを忙しく動かすのだった。
夜。
ようやく、アダブが寝静まった頃。
私はイブにこう言い放った。
「二人目の子供、欲しくない?」
「…………」
正直、すまんかったと思う。
「エロで読者を釣る気だったんですね」
まあ一応、神としては子孫繁栄してもらいたいわけだし。
こう描写するしかないんじゃないかと。
「まあエロスで人気を集めるのも一つのやり方ではありますからね」
だな。
人は戦いだけじゃなくて、エロスも求めてる。
「ですが、あまり過剰な描写はやめてくださいね。18禁で消されちゃいますから」
そこら辺はまあ気をつけるさ。
さて、一応進めるが、二人は愛し合ってるからもちろん2回目もヤってるという方向で話を進めるよ。
「はい」
――アダム視点。
朝。
気持ちの良い朝だ。
昨日の夜はイブと愛し合っていたからなあ。
私はホント、幸せものだ。
イブという美しい女性と結ばれ。
元気な赤ちゃんに恵まれ。
毎日、美味しいリンゴを齧れる。
そんな私に幸せをくれた神に感謝せざる負えない。
さて、幸せといっても、いつもそういうわけではない。
時には喧嘩もしたりした。
家事や赤ん坊の世話のことで揉めることがしょっちゅうだ。
でも幸せなんだ。
「貴方! アダブが泣き出したの。おむつ交換して」
「こっちも洗濯で手が離せないんだ。何とかしろよ」
「もう、いつもアダブの世話を私に押し付けて! お風呂の最中なのに!」
やっぱり不幸だ。
まあ、平凡な描写だわな。
「ですねえ」
書いてて思うんだが、面白味に欠ける。
「やはり、戦いなどの何かしらの盛り上がりが欲しいですね」
だなあ。
一応、日常生活は送れてるとして、そうだな。
もう少し、話を広げるか。
「どのようにして広げるんですか」
今、描写してみるから見とけ。
――アダム視点。
私はいつもどおりの日常を過ごしていた。
単なる日常、しかし、私にとっては幸せな日常だ。
さて、今日の洗濯は私の担当だな。
めんどくさいけどやるか。
「おい」
突然、声がした。
その声は!
「神だ」
やはり貴方様でしたか!
「突然だが、外に出て、家の右後ろに回ってみろ」
なぜですか?
「行けば分かる」
私は神に言われた通り、家の外に出て、右後ろに向かってみた。
何があるというのだろう。
外にはリンゴの木と壁があるだけ。
「な!?」
思わぬ光景が私の目に映った。
壁に大きな穴が空いているのである。
いつの日だったかイブと外を探検してみたが穴なんて空いてなかったはず。
これも神の御技だというのだろうか?
しかし、これは朗報だ。
帰ってイブに知らせないと!
どうだ?
「話を広げるってそういう意味なんですね」
これで、少し世界が広がるわけだろ。
「そうですね。今まで壁に閉じ込められた生活から脱出出来るわけですから、読者としてはこれからが楽しみになるかと思います」
さて、続きを描写してみよう。
――アダム視点。
「なんですって!?」
イブも驚きを隠せないようだ。
「丁度いいことにベビーカーも用意されてるんだよ。アダブと三人で行こう!」
私たちは早速身支度をし、外へ出た。
壁に大きな穴が空いている。
その先に何が待っているのか私たちは楽しみで仕方なかった。
壁の先は暗い。洞窟みたいだ。なのでライトで照らした。
私たちは壁の奥へと進む。
どれくらいの時が経っただろう。
ずっと同じ道が続いてて、最終地が見えない。
「ねえ、そろそろ戻ったほうがいいんじゃない?」
「もう少しの辛抱だ。きっとこの先には神が用意してくれた楽園があるんだよ」
私は萎え気味のイブを促し、さらに壁の奥へと進んだ。
はい、終了。
「いいとこでしたのにぃ」
こうやっていいとこで終わらせるのも読者を惹きつける手法だ。
「確かにその通りなのかもしれませんが」
続きが気になるだろう?
「気になりますね」
さて、実はこの先なんだが、考え中だ。
「え?」
安心しろ、俺はプロット無しで書き続けてるから、すぐ何か思いつくだろう。
「そう都合よく進みますかね」
もう2000文字だ。
「ですね。それでは皆さん。また次回」
また




