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11「ラフとかカジュアルってなんなの?」

「さあやってまいりました第一回描写力コンテスト」


 さて、前回はストーリーの途中で終わってしまったが。


「読者の皆様には申し訳ないと思っています。ルールですので、後、責任は全て神であるアダムが請け負っていますので、苦情はそちらに」


 おい、俺を身代わりにするな。


「では続きを」


 続きって言ってももうそろそろ終わりだったけどな。

 まあ最後まで描写してみるよ。






 ――アダム視点。


 イブが猫を抱き抱えて戻ってきた。

 猫は私を見た瞬間。威嚇しだした。


「どうしたの? 猫ちゃん」


 猫が人間の言葉を話せなくて良かった。

 もし、イブがこの事実を知ったら、私は猫だけじゃなくイブにまで嫌われてしまう。


 イブの喜んでる表情も見れたし。

 私はもう満足だ。


 神様、本当に感謝します。





 おう、感謝しとけ。


「ひとまず、猫殺しの件は一件落着ってところですね」


 さて、次はどう進めるかなんだよなあ。


「ですねえ」


 とりあえず、現状を確認しよう。

 一応、当たり前のようにストーリーを進めてるわけだが、アダムもイブも二人とも一応全裸で非常識な格好なわけだ。


「ですね」


 一から作るなら徐々にその心を常識に近づける必要があるかもしれんが、生憎、俺にそれを描写する力はない。


「おおっとアダム選手! 描写力コンテストにあるまじき発言」


 久しぶりに実況者口調になったな。

 まあ、そういうことでこの二人に俺の常識を植え付けていいか?


「まあ、どんな描写をするのも作者の自由なのでいいのではないでしょうか?」


 オーケー、それで話を進めてみるわ。

 今、二人は寝室にいる。そして全裸。常識を植えつけたらどうなるか。

 楽しみだ。





 ――アダム視点。


 さて、これでイブと普通の生活が出来る。

 正直、今でもイブが可愛がってる猫を恨めしいと思っているが、もう殺すわけにはいかない。

 イブの悲しむ顔は見たくないしな。


「おい」


 急に声が聞こえてきた。

 その声はもしや、神!?


「その通りだ」


 猫の件、本当にありがとうございます!!


「それはいいとして」


 はい?


「今から面白いことが起きる」


 面白いこととは?


「3秒後に起きる。数えるぞ」


 面白いこととは何だろうか?

 まあ3秒後に分かるらしいが。


「1」

 

 神がカウントを始める。


「2」


 あと1秒


「3」


 さあ、何が起こる?

 ん? 何も起きる様子は無いが。


「きゃああああああああ」


 急にイブが叫びだした。

 どうした!? 何があった!?


「アダムのエッチ!!」


 へ?

 私は自分の姿をよくよく見つめてみた。


「な!?」


 何と私は全裸だったのだ。

 なぜ、今まで気付かなかったのだろう?


「服なら二階に置いてあるからね」


 もしかして、神が言っていた面白いってこのことか。

 冗談じゃない。私にとってはアクシデントだ。


 私は急いで、服が置いてある二階へと向かった。





 ギャハハハハ。やべえ、おもしれえ。アダムが股間隠してちょこちょこ走ってるよ。


「貴方、本当に神ですか?」


 神レベルの描写だったろ、今のは。


「紙レベルとしか」


 まあいい。今日の俺は機嫌がいいんだ。面白いものを見れたしな。


「さて、続きを」


 分かってんよ。ったく、せっかちだなあ。





 ――アダム視点。


 二階へとたどり着いた。

 そこには神が言ったとおり服が置いてあった。


 よくよく、見れば服は二人分ある。

 一つはイブのだろう。彼女も裸だったし。


 私はまず自分の服を着て、イブにも服を持っていった。





 ふう。疲れたぜ。


「あのう」


 何だ?


「描写足りなくないですか?」


 足りない? どこがだ?


「服を着たのは分かるんですけど」


 足りてるじゃねえか。服を着たのは分かるんだろ。


「どんな服でしょうか?」


 どんな服?


「ええ」


 そりゃあ、あれだよ。貴族みたいな服だよ。


「それだけだと描写不足としか」


 なるほど。言いたいことは分かった。俺には服装や容姿に関しての描写が全く無いと言いたいんだな。


「ええ、その通りです」


 一つだけ言わせてくれ、想像力豊かで頭が良い読者様は鮮明で確実に想像が出来る描写を望む。

 でも、俺はな。人と人との掛け合いが見たいんだ。


「つまり?」


 いちいち、人の容姿とか想像する気はないってことだよ。

 重要なのは中身、精神的な描写だ。


「本当にそれでいいんですか?」


 まあ、テンポを考えると多少、そういった描写も必要かもしれんが、あまりそういうのばっかり書かれると読む気が失せるんだよなあ。


「ですが、やはり読者の皆様の大半は鮮明に想像出来る描写を望んでるかと」


 まず、俺は服の種類がどんなのとか全く知らねえんだ。

 ラフとかカジュアルとかジャージとか、何が違うん?


「……もう何も言うことが御座いません」


 すまんな。馬鹿で。今後もこんな感じの描写で10万文字突破してみせるからよろしくう!


「では、お好きなように続けてください」


 おうよ。





 ――アダム視点。


 私は急いで、イブの服をイブがいる寝室まで持っていった。

 おっと危ない。いきなりドアを開けるのはまずい。


 今、イブは裸なんだった。

 想像しただけで股間が。

 おっといけない。そんなこと考えるな。


 私は寝室のドアを軽く二回叩いた。



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