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1「神の誕生」

「さあ、やってまいりました第一回描写力コンテスト!」


 誰だお前?


「司会はこの私、ラビットが務めさせていただきます」


 ラビット?


「はい、私の名前です」


 ってか、急に描写力とか言ってなんだ?


「このコンテストは描写力強さを競うコンテストとなっております。貴方はそのコンテストの第一人者に選ばれました」


 ふうん。


「もっと喜んでいいんですよ! 一人目ですから」


 いや、急に描写がどうのこうの言われてもな


「これからこのコンテストの概要を説明します」


 ラビットと名乗る司会者? はコンテストの内容について語った。

 何とも、俺が神となり、世界を創り、その隅々まできちんと描写出来るのかといった内容だった。


「貴方は神です」

 

 そうか、俺は神か。


「まず、貴方の名前から決めましょう」


 俺の名前?


「ええ、名前がないと誰が描写するのか分かりませんから」


 そうだなあ。じゃあアダムってのはどうだ。


「いいですねえ。それじゃあ早速スタート!!」


 何か受け流された気がする。


「このコンテストの目的としては一話2000文字は行かないといけません」


 どうして?


「一話1000文字以下の小説だと、それを小説と認めてくれない人がいるんですよ」


 別にいいじゃん、そんなの書く側の自由じゃん。


「読者としては一話1000文字だと物足りないみたいなんですね」


 まじでか。


「安心してください。その代わり2000文字行けば強制的に終わることが出来ますから」


 強制的にとは?

 

「それは、後から説明するとして今は描写しなきゃ」


 描写って言われてもなあ。


「この無駄な会話で600文字は取られてますよ!」


 分かったよ。描写するよ。


「では、お願いします」


 って言ってもどこから描写すればいいんだろうなあ。

 まあ一から描写するとしたら正方形の四角い箱みたいな白い部屋があって。


「アダム選手、正攻法といったところでしょうか。しかし、素人並の描写力です」


 うるせいやい。

 とりあえず人間が入れるスペースとして高さ2m、横の長さ2mぐらいは確保しとくとして


「そして?」


 まあ、そこに人間が一人いるわけだわな。


「さて、ここからが描写力の見せ所、どういった展開になるというのでしょうか?」


 この人間の身長は160cmだとして


「アダム選手順調に描写を進めています。もしここで2m以上の人間を作ると矛盾が生じるのを分かっていたようです。ここで矛盾してたら描写力としては終わってると言っても過言ではないでしょう」


 おい。


「どうしました?」


 この人間動かねえぞ。


「それでしたら念じてみてください」


 念じる?


「はい、貴方は神ですから」


 俺はラビットという謎の司会者に言われた通りに念じてみた。

 すると人間は動き出した。

 やばい。面白すぎる。


「現在1000文字突破! まだまだ描写が必要だあ」


 おもしれえ、おもしれえぞこれ。


「おおっとアダム選手! そんなに人間を動かす単純作業が面白いのか全然描写する気が見られない!」


 うるせえよ。

 とりあえず。俺は飽きるまでその人間を動かしてみた。

 普通に歩かせたり、もしくは逆立ちさせてみたりなど。様々なやり方で人間を動かしてみた。


「楽しんでるところ申し訳ないですが、そろそろ先へ進んで欲しいところ」


 いいじゃねえか。


「よくありません。同じ描写を何回も見せ付けられると読者の皆さんに呆れられてしまいます」


 読者とかどうでもいいし。


「おおっとアダム選手、爆弾発言。読者のことを考えず好き勝手に描写をし続ける」


 分かった。分かったよ。次に進めばいいんだろ。


「お願いします」


 そうだなあ。次は階段辺りを作ってみるのもいいだろうな。


「それでは描写お願いします」


 お前、いちいちうるせえな。そこまでしつこいのも読者に嫌われる原因なんじゃねえのか?


「大丈夫です。私のウザさも全て神である貴方に責任があります」


 何という責任転嫁。

 まあいい。描写を続けるとするか。


 とりあえず高さ2m横幅2mある正方形の部屋があるとして、その部屋の右斜め端に階段を設けてみる。

 これで殺風景な白い部屋に階段という新しい要素が加わった。


 そして、創造した人間を階段に登らせてみる。

 やべえ、おもしれえ。


「おおっとアダム選手。ただ面白いというだけで2時間半も人間に階段の上り下りをさせているう」


 もう、そんなに経ったのか。


「しかし、階段の上り下りだけでそこまで時間を潰すとは何という無駄な描写力」


 うるせえ、いいだろ! 俺の勝手なんだし。


「読者としては次に進んでもらいたいところ」


 分かってるよお! そうだなあ。階段があるってことは、次はこの部屋を二階建てにする必要があるな。

 俺は、階段の上に部屋を設け、2階に人間を登らせてみた。


 やべえ、おもしれえ!


「何が面白いのかさっぱり分かりません。ただ同じ部屋を二つ作っただけとしかいいようがありません」


 うるせえな。俺の描写だとこれぐらいで精一杯なんだよ。


「読者は面白い展開を期待している。それを描写しなくちゃいけません」


 なこと言われてもなあ。

 そうだな

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