皆の答え その2!
「――なるほどな。てめぇが異世界人だというのはいまだに信用ならねぇが、今は信じる他はない、か」
「随分と、大仰な問題になってきたようだ……」
「…………」
ひとまず吸血鬼を片付けることが出来たあたし達は、システムのことも含めて生徒会に説明しようとクロウン先輩から言われるがまま、生徒会室へと向かった。
部屋で待っていたのはヴィンセント先輩にキリュウ先輩、そしてアレクサンドロ=ドゥルガー魔導軍最高指揮官……アレク先生だった。
「……先生」
「ん? おお、すまない。考え事にふけっていただけだ」
アレク先生はそう言ってごまかすように言っているけど、あたしはとっさにある事が脳裏をよぎってしまう。
――“二つ目は、彼女自身の知識量から軍部が欲を出して他国との戦争に投入、世界大戦という名の破滅のシナリオが開始されるか。”
「……ッ!」
あたしは首を横にぶんぶんと振りながら、あって欲しくない空想を打ち消していく。
「薫さん……」
今となっては不安定なあたしの手を握ってくれたのは、いつも隣にいてくれたルヴィだった。
「大丈夫です。私が守ります」
「うん、ありがとう」
「しかし、てめぇのその魔導器官を整えりゃ世界の崩壊は止まるんだろ? だったらさっさとしてもらえば、今まで通りで済むんじゃねぇか」
ヴィンセント先輩は、あくまで生徒会長としてまともな答えをあたしに提案した。そしてクロウン先輩もミクム先輩もそれに同意している。
「確かに、その方がいいかもね。アタシはそんな魔導器官とか関係なしに貴方達とお友達でいたいもの」
「ミクムはよく分からないけど、ヴィンセントの言う通りにすればいいと思う」
「やっぱり、そうかな……」
あたし自身にもどうしようもない事だから、薄々そんな気はしていたけど――
「――少し考えが早計すぎやしないか?」
「ん? 何だジジイ? まさかてめぇ、せっかくの力が勿体ねぇとでも言いたいのか?」
「それこそまさに、システムの思うがままじゃないの?」
この場で異を唱えたのは、アレク先生だった。
「ヴィンセント君にクロウン君、確かに一番穏便に済むのはその方法かもしれない。だがそこにトウジョー君の意思がない」
「ちっ、意思だなんだは関係ねぇ。今は世界が――」
「そう、世界が崩壊する。そんな力を持つ彼女だからこそ、システムの描くシナリオを覆せるのではないかと思うのだがね」
「えっ……?」
あたしがアレク先生の方を向くと、アレク先生はヴィンセント先輩を相手に真剣なまなざしで自らの考えを訴えている。
「恐らく、敵はトウジョーくんの持つ無限の魔素をどうにかしたいというのだろう? 確かに強大な容量を持つ魔導器官を捨てるのはもったいないという軍人的考えを持っていないとは言えない。だが、トウジョー君の努力を、こんな形で奪われるのもおかしいとは思わないかね? それに……」
アレク先生は最後にあたしの方を向いて、にっこりと笑ってこう言った。
「生徒が困った時に見捨てず助けるのが、生徒会というものではないのかね?」
「……ちっ、真面そうなこと言いやがって」
アレク先生は軍人だけど、確かにあたしのことを考えてくれていた。そしてルヴィも、アレク先生の考えに同調している。
「私も薫さんと一緒にもっと魔導方程式の勉強がしたい。もっと素晴らしい式を発見したいです!」
「それが世界の崩壊に繋がるかもしれないとしてもか?」
いつも真面目なルヴィが、この時ヴィンセント先輩を相手に、学校を相手に初めて反抗をする。
「……薫さんがそんな事をする前に、私が止めます」
ルヴィの真っ直ぐな瞳を前に、ヴィンセント先輩は頭を掻く。
「ッ……ったく、そろいもそろって反抗期か」
ヴィンセント先輩は仕方がないといった様子で会長の席を立つと、この場にいる全員に向けてこう言う。
「――対システムへの対策を練る! 全員知恵を振り絞れ!」




