皆の答え その一
「――それにしても、まさか貴方が異世界人だなんて……」
「そもそも薫さんが男だったなんて……」
ルヴィはいまだに事態に対応できずに混乱している。そりゃあたしだって、いきなり現れて身元バラされて混乱せざるを得ないけど。
「でも、“元”男性でしょ? 今は立派な女の子よ? アタシはむしろうらやましいけど」
そしてクロウン先輩は通常運転というか、何というか……。
クロウン先輩とルヴィが話している中、ロキ先輩はあたしの方をじっと睨みつけている。
「…………」
「あ、あのー……」
「てめぇを恨むのは筋違いだと分かっている。だが先輩が現に目の前に現れたのは、てめぇのせいだ」
ロキ先輩はそれだけを言い残すと、その場を立ち去っていく。あたしはロキ先輩に対し、何も言い返すことはできなかった。
「……ミクムはよく分からないけど、トウジョーは良い子だってことは分かるよ」
ミクム先輩はそう言って、後ろからあたしを励ましてくれるのかよく分からない言葉をかけてくれた。今の不安定なあたしにとって、その言葉は嬉しかった。
「本気でロキがああ言っているとは思えないけど、アタシは薫ちゃんの味方だから、それだけは信じてね?」
クロウン先輩はあたしが異世界から来たと言われても、あたしの方を味方してくれるみたい。
「いきなりシステムだなんて名乗って来て、世界の破滅だーっていわれるよりも、薫ちゃんの可愛さの方を信頼するわよ、アタシなら」
そう言ってクロウン先輩は、いまだに事態を飲み込めずにいるルヴィとおろおろしているだけのアリスの方を振り向く。
「……ぼ、ぼくもトウジョーさんを信じるよ! だ、だって、人狼だったぼくでも、優しくしてくれたもん!」
くーっ! アリス可愛いんだけど! って何時もなら抱きついてるところなんだけど、今日はアリスのことがとても頼もしく見えた。
「……私は……」
そして最後に、あたしはルヴィと目を合わせる。
「……私は……薫さんに、とても多くのことを学びました」
「……うん……」
「そして、助けてもらったこともあります」
あたしはただひたすらに、ルヴィが答えを出すのをじっと待つ。
「……だから! 私は薫さんの事が好きです!」
「……ん?」
「あら?」
す、好きってどういう意味かにゃー!?
「あっ、あっ、好きといっても友達という意味です!」
ルヴィは顔を真っ赤にしてそういうけど、本当にそうなのかー?
「でも好きってことは、ルヴィはあたしの味方ってこと?」
「私は以前に薫さんに助けられました。だから今回は、私が助けます!」
ルヴィはそう言って、あたしの両手をぎゅっと握りしめる。
「システムが言う事なんて関係ありません! 薫さんの近くに、私もずっと一緒にいます!」
「……ありがとう、ルヴィ」
あたしはルヴィを抱きしめ、ルヴィもあたしをしっかりと抱きしめ返す。
「これが、女性の友情……素晴らしいわ! アタシ感動で泣いちゃう!」
「クロウン、うるさいよ……」
そろそろ終盤に差し掛かってきましたが、東条薫が出す答えはどうなるでしょうか。できるだけ納得のいく形の答えが出ればいいなと思います。




