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問題提起!? & 問題発生!

「どうよ? ちょっとは弱体化しておいた方がいいんじゃないか?」

「……はぁ?」


 意味が解らなかった。あたしは目の前にいる自分が言っていることの一パーセントすら理解することができない。

 弱体化? なんであたしが?


「いきなり現れて、意味分からないんですけどー?」

「ったく、少しは自分の前世を見て考えられるかと思ったが。意外と相当にこの世界に、そししてその身体に馴染んじまったみたいだな」

「貴方、そこそこにカッコいいけど誰? 薫ちゃんにいきなり馴れ馴れしく話しかけてくるし」


 あたしと目の前にいる俺との会話の間に最初に割って入ったのはクロウン先輩だった。


「俺か? 俺はー……ってか、ここにいるメンツに話したらかなりの混乱を招くと思うが、お前はどう思う? 西条薫」

「一体何を言っているのかしら? 薫ちゃんのファミリーネームはトウジョーのはず――」

「だから! ったく……もういいか! 面倒だし話しちまうか!」


 そう言って目の前の自分は、この場を揺るがす大きな問題発言を始める。


「実はこの俺の姿、そこにいるトウジョーの転生前の姿だ」

「えっ……ち、ちょっとどういう意味ですか!?」

「分からないのも無理はない。ルヴィ=ロッド、事実今のそいつの性別はれっきとした女性だからな」


 ルヴィはその言葉を聞いて、あたしの方を信じられないという感情が込められた目で見つめている。


「薫さんが、男性……?」

「いやいやいや! 今のあたしは女の子だから!」

「ま、今は男だ女だはどうでもいい。問題は、そこにいる東条薫が持つ才能と、魔導器官メディアオルガンの方が問題だ!」


 そう言って男の自分は両腕を組んでため息をつきながら、改めてこの場で自己紹介をした。


「胡散臭いと思うかもしれないが、俺はこの世界を管轄している神だ。一部では“システム”と呼ばれて崇め奉られているようだが」

「システムだと!?」


 あたし達はとうとう、巷で問題のシステムと相対することとなった。

 って、まさか神様だったとはにゃー。


「ハッキリ言おう。そこにいる東条薫の魔導器官の容量、そして彼女自身が持つ才能は、この世界を破滅へと向かわせると」

「だから、夢でも言ってたけどどうしてあたしがこの世界を破滅させるのさ!」


 システムはあたしの質問に呆れた様子で頭を掻きながら、できる限りこの場にいる者が理解できる言葉で説明を始めた。


「破滅といってもいくつもパターンがある。一つ目は彼女の魔導器官の容量の大きさから、この世界を破滅させることができる第二十六階層の魔導方程式を、彼女の性格からしてパッとした拍子に放ってしまうという点。二つ目は、彼女自身の知識量から軍部が欲を出して他国との戦争に投入、世界大戦という名の破滅のシナリオが開始されるか。他にもいくらでもある」

「で、でも気を付ければ――」

「気を付けたら気を付けたで、その底なしの容量を持つ魔導器官がいずれ全世界の魔素を取り込み、この世界から魔法そのものが消えてしまうぞ? まあ、お前自身が独裁国家を敷くつもりなら何も言わないが」

「……うぅ……」


 何も言い返せない。だったらあたしはどうすればいいの!?


「おい、システム」

「なんだ、ロキ=セナ。お前は神に対して随分と生意気だな」


 ロキ先輩はアタシの身の上話よりも、自分が今抱いている疑問をシステムにぶつける。


「一つだけ答えろ。ルナ先輩が吸血鬼化したのはてめぇのせいか」

「それは違う。もともとアルスが血を吸った時点で吸血鬼化していたため、今回アルスを復活させたついでにけしかけただけだ」

「……ふざけやがって――」

「おっと」


 一歩前へと踏み出そうとしたロキ先輩の足元近くを、光のレーザーが透過する。


「【電磁ガンマ】=【直行レイ】は何も東条薫だけの専売特許じゃないぞ」

「ちっ……」


 あたしはどうしようもない現実を突きつけられ、その場に立ちつくすだけ。


「随分と悩んでいるようだが、簡単な話だ。この世界に適応できる様、少々弱体化してもらうだけだ」

「……でも……」

「今すぐここで――でもいいが、三日待ってやる。その間に考えておくことだな」


 システムは言いたいことだけ言い残すと、【光速ソニック】=【消失バニシング】でその場から立ち去って行った。


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