ロリ吸血鬼とは……
蝙蝠になって逃げる吸血鬼を追って行く中、あたしは街中を見回していた。
「ったく、なんでこういう時に兵士がいないのさ!」
「先に殺されたかもね」
「ひぃっ!」
ミクム先輩結構ズバリとそこ言っちゃうんですね。そのせいでアリスがビビりっぱなしですよ。
「ぼ、ぼく帰りたぁい!」
「大丈夫! アリスはあたしが守るから!」
怖がるアリスの手を引きつつ、あたしはミクム先輩と共に蝙蝠の後を追う。
すると――
「ありゃ!? ロキ先輩大丈夫ですか!?」
「カッ……この姿で大丈夫に思えるテメェの脳みそが大丈夫かよ……げはぁっ!」
「結構困ったことになったわぁ……」
ロキ先輩と合流したあたしは、まずまっさきに気絶しているルヴィの近くへと向かう。
「ルヴィ! 大丈夫!?」
「安心しろ……そいつは自分でかけた魔導方程式の魔素不足でぶっ倒れているだけだ」
「今はアタシがこの子を守っているってワケよ」
「そ、そうなんですか……」
もしかしてルヴィ、あの魔導方程式を使ったのかな? それにしても、クロウン先輩が守ってくれていたんだ。
「まあ、そのせいでぼくちゃんも本気を出さなくちゃいけなくなったんだけどね」
そう言ってあたし達の会話に割って入ってきたのは、二人目の吸血鬼だった。それにしてもぼくちゃんって……ゴスロリ幼女が使う言葉じゃないでしょ。男の娘じゃあるまいし……ってアリスがいたんだった。
「……あんたも吸血鬼ってワケ?」
「そうよ。まあ、真祖ではないけどねー」
ゴスロリ幼女の近くに立っているのは、あの変態吸血鬼。
「やっぱあんた変態の上にロリコンじゃん! サイッテー! 気持ち悪!」
「黙れ! 我とて想定外だったのだ! 噛み殺したつもりの小娘が生きていたということに!」
「でも、今となっては貴重な戦力と言っても過言じゃないよねぇ?」
そういってロリ吸血鬼はアルスの肩に腰をおろし、ロキ先輩を見下してケラケラと笑っている。
「ねぇロキ、貴方にも吸血鬼側の良さを教えてあげるわ。そうすれば、もう泣く事など無いわ」
「黙れ……ッ、ルナ先輩の皮を被ったバケモノ風情が……!」
ルナと呼ばれたロリ吸血鬼。これってもしかして、ロキ先輩の先輩が吸血鬼になったってこと?
「クスクス……今の貴方には愛想は尽きているわ。まっ、吸血鬼になったらまた面倒を見てあげてもいいのだけれど」
「その口で糞みてぇな言葉を並べるんじゃねぇよクソ吸血鬼がぁ!!」
ロキ先輩は自らの怒りに任せて立ち上がり、ありったけの魔素で魔導方程式を構築し始める。
「【豪雪】――」
「ハイハイ馬鹿の一つ覚え。――【血塊針衝】」
「がっ!?」
ロキ先輩が完全な氷塊を構築しきる前に、ルナの血に染まった爪が伸び、ロキ先輩の身体を貫く。
「無駄だってば。ぼくちゃんには元々七曜魔導学院にいた時の魔導器官がそのまま備わっているんだよ? そう考えると無理だと思うわよ?」
このロリ吸血鬼、随分と喋り方がごちゃごちゃしているけど――
「あんたもろ共ぶっとばして終わりかな!」
さっきと同じ無言で【電磁】=【直行】!!
「あら、それは想定外」
ルナはそれまで座ってたアルスを蹴飛ばして自分だけ悠々とあたしの魔法の回避をする。アルスはというとルナに蹴飛ばされたことで体勢を崩してしまい、【電磁】=【直行】と真っ直ぐ向き合う事に。
「そんな馬鹿なぁあああああああ!?」
アルスは丁度体の中心に巨大な穴を空けると、その場に力なく今度こそ倒れ伏した。
「あら? ぼくちゃんをこんなふうにした割りには役立たずね」
「くっ……そういえば、あんたは昔っからそうだったな。人を食って掛かるような真似をしやがる……!」
「ケラケラケラ……そんな元人間に惚れたのが、ロキ=セナという男では無かったかな?」




