吸血鬼退治に行くのだ!
ロキ先輩の許可も得たところだし、あたしも吸血鬼退治にやる気が出てきた!
「じゃあ早速退治しに――」
「無駄だ。奴等は昼間に眠っている」
「だったら余計ぶっ飛ばすの簡単じゃないですか」
「……どこにいるのか分かっているのか?」
それは考えていませんでした。
ロキ先輩によれば、吸血鬼は昼間には表に出てこないらしく、蝙蝠にでも擬態してどこか影のある所へと潜んでいるらしい。
「流石に現時点では学校に乗り込んでは来ないだろう。しばらくは街で人を襲い続ける」
「しかしそれは、街の人が犠牲になるということでは――」
「犠牲を出さないために、俺とクロウン、そしてミクムで今夜見回りを行う」
ロキ先輩はそれまで腰を下ろしていたベンチから立ち上がると、昼間の見回りの続きをすると言って、その場を去っていく。
「……やる気が本当にあるなら、今夜八時に校門前に集合。死にたくなかったら寮で布団被ってガタガタ震えてろ」
「言ってくれるじゃないですか先輩……!」
あたしが絶対に倒してやるんだから!
◆◆◆
「――本当に今日の夜、行くのですか?」
「あったりまえじゃん。ロキ先輩からあれだけ挑発されて行かないわけないでしょ!」
「だとしても、どうして僕が……」
月夜の晩。あたしはルヴィと嫌がるアリスを引きずり出して校門前に立っている。
現在時刻は七時五十分をまわったところ。まだロキ先輩たちの姿は見えていないようで、校門前はあたし達三人しかたっていない。
で、どうしてアリスが呼ばれたかっていうと――
「ほら、吸血鬼と人狼って何かよくある話じゃん」
「えぇー……」
「ぼ、ぼく吸血鬼とか苦手で……」
「大丈夫! あたしが守るから!」
「ちっ、お荷物を増やすとは馬鹿かてめぇは」
声のする方を振り返ると、そこにはロキ先輩とクロウン先輩、そしてけだるそうに佇むミクム先輩の姿があった。
「あら、貴方達も吸血鬼退治に?」
「手伝います!」
「ぼ、ぼくは別に……」
ここに来てアリスはまだごねている様子で、それを見たロキ先輩はため息をついている。
「全く、トウジョーはともかく女性二人は戻った方が――」
「アリスは男ですよ」
「……えっ?」
「……そうなんだ。ミクムは興味ないけど」
ミクム先輩は興味無さそうに欠伸をしているけど、ロキ先輩はアリスを見て固まっている。
「冗談……だよな?」
「あたしも最初はそういう反応しました」
ロキ先輩の固まりっぷりから相当なショックだったんだろうなぁ。
「……とにかく! 今から二つの班に分けて捜索を開始する! 既に軍の方も警戒態勢に入っているが、吸血鬼に実際に効くのは心臓の串刺しか、火曜もしくは日曜の魔導方程式のみだ」
「だったら、あたしの出番ってことか!」
あたしは腕をぶんぶんと振りまわすと、早速ルヴィとアリスを連れて町へと一歩踏み出そうとした。
しかし腕をクロウン先輩に捕まれ、あたしはその場で足踏みをしてしまう。
「ちょっと待ちなさい。まだチーム分けができていないでしょう?」
「へ? あたしとルヴィとアリスで――」
「一年生だけで行かせられる訳無いじゃないの。まずは、アタシは火曜の魔導方程式が得意だから、薫ちゃんとはチームを別れるわ。そして薫ちゃんチームにはミクムちゃんとアリスくん、アタシのチームにロキくんとルヴィちゃんで行くわよ」
「えぇー!? ルヴィと離れるのー!?」
「文句言わないの! 貴方は実力はあるけど経験が少ないから、今回はミクムちゃんに色々と教えてもらいなさい!」
ちぇー。まあいいけど。
「……大人しくついてきてね。ミクムを怒らせないでね」
ということで、あたしとアリスはミクム先輩に連れられて西側から南下していくルートで見回りをすることに。
「ルヴィ! 危なくなったらこの前教えた魔導方程式を使うんだよー!」
「ええ! 薫さんこそ気をつけて!」




