こんなところで意外な人物!?
いやー、テイクアウトのあんみつ屋があるとは思わなかったにゃー。
ルヴィの皿にはあたしのと比べてとんでもないレベルでトッピングが盛り合わせてあるんだけど、気にしないでおこう。
「ルヴィはさっきのお店の常連なの?」
「常連、というよりはあんみつだけを家に持ってきていただくことが度々ありましたから……」
ああー、ロッド家に直接ってことね。にゃるほどね。
「しかし家で食べるよりも、こうして薫さんと食べたほうがおいしいです」
「それは嬉しいねー」
あたしだって、ボッチ飯よりこうやって食べたほうがおいしいんだよね。
そんなこんなで適当な通りのベンチで座っていると、唐突にあたしの上に人影が差す。
「お嬢さん、随分と美味しそうなものを食べていますね」
あーでたでた。ナンパ野郎ってかー?
「悪いけど、そういうのには付き合えな――ってロキ先輩何やってんですか」
「ちっ、てめぇかよ。遠目に見ておさげの可愛い奴かと思ったから声をかけたらまさか身内を引き当てるとはな」
あたしだって好きで美少女やってないんですけどね。
どうやら本当にナンパしていたみたいで、連れも引き連れていなかったロキ先輩は一人であたしの隣に腰を下ろしてきた。
「あの、もしかして副会長の方ですか?」
「あっ、えっ!? もう一人いたの!?」
「あたしの友達のルヴィですけど? 手を出したらぶっ飛ばしますよ」
「ちっ……お察しの通り、僕は生徒会副会長のロキ=セナです。どうぞ以後よろしく」
この先輩あたしには本性を見せるけど、ルヴィにはまだ猫を被った状態を見せ続けたいみたい。
ロキ先輩の満面の営業スマイルを見せつけられたルヴィは対応に困りながらも、何とかごまかすように返事を返す。
「よ、よろしくお願いします」
「ところでロキ先輩はナンパするためだけに街を歩いていたんですか?」
「違ぇよバァカ。ヴィンセントの野郎に魔法将棋で負けちまったから、今日の外回りは俺がさせられてんだ」
「ロキ先輩って魔法将棋が弱いんですか?」
あたしの無神経な言葉にロキ先輩はルヴィがいることも無視して本気で怒りの声を挙げる。
「はぁ!? 俺はな、これでも魔法将棋では青少年の部で優勝ぶんどってきた実力を持ってんだよ! それをあいつは、生徒会のハンコ片手に俺を負かしてきやがったんだ!」
ヴィンセント先輩すげー。今の話だとヴィンセント先輩の方が凄いってことしか伝わってこないんだけど。
「ところで魔法将棋ってどんなの?」
「魔法将棋とは基本はチェスと同じなのですが、三手打つごとに盤面と駒が少しずつ増える競技であり、確か最多記録で五十七万八千手、期間にして五十八年かかった試合もあったとか」
「正しくは五十七万八千二百十一手、だ。試合の決着は対決相手の老衰で死んじまったことが決着だ」
うへー、なんじゃそりゃ。
「じゃあ先輩たちの試合もそれなりにかかるんじゃ――」
「俺達は五十手ごとに中断しながら試合をしている。中断するときに持ち駒が多かった方が勝ちという特殊ルールでな」
なるほど、それならまあ何とかいけるのかにゃ?
「それはそうと、お前達もその食い物を食い次第学園に戻れ」
「どうして?」
そこから先、ロキ先輩はいつになく真面目な声色であたし達に話しを始める。
「……どうやらこの街に、“吸血鬼”がでたとの噂だ」
「――吸血鬼?」




