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街に繰り出すのだ! その1!

 さーて、男子のくっだらない話を聞いたところで――


「午後はなんだっけ?」

「午後は特に何も予定入れていないはずです。薫さんも特別成績が悪いわけでもないので、補講とかもありませんし」

「じゃあ休みってこと? やった!」


 こっちに来てから一階も息をつく暇がなかったし、今度こそのびのびとした休み時間を過ごせる!


「どうしますか? いつものごとく図書室にこもって自主勉強もいいですが、それにしても時間が有り余りまっていますから」

「じゃあ、外に出ようよ!」

「校外にでるのですか?」

「うん! あの一件からルヴィの追手は来ないみたいだし。多分アレク先生がなんとかしてくれていると思うけど、せっかくだから外でぶらぶらするのもアリかなって」


 今はすることも特にないし、街をぶらついても大丈夫でしょ!


「じゃあ、いこっか!」

「ええ」


 あたしはこの時、軽い気持ちで外に出て行っただけだった。

 そう、外に出て行っただけだった。



          ◆◆◆



「――うっひょー、箒の専門店とかあるんだー」

「薫さん、箒店を見るのは初めてなのですか?」


 あたしは今、前代未聞の箒専門店の前に立っている。

 看板には二つの箒が×印につけられていて、なんとなくおしゃれな気がしなくもない。


「初めて見る……」


 あたしの世界じゃ箒なんて、ただ床のゴミを掃き出すための道具でしかないからね。まさかこれで飛ぶなんて、おとぎ話の出来事が眼前で事実としてあるんだから面白いんだよにゃー。


「中に入ってみませんか?」

「うん、そうしよう!」


 はてさて、どんな感じなのやら……。

 店の重たいドアを開けるとカランコロンと軽快な鈴が鳴り響き、お客が入ってきたことを見せの奥に座っているおばあさんに伝える。


「おやおや、お客さんかね。こんな時期に来るってことは学生さんかな?」


 店に入ると、本棚の様に幾つも箒をたてかける棚が並んでいて、棚には様々な種類の箒がところ狭く並んでいる。

 そしてその棚の奥、椅子からよっこらせと立ち上がるおばあさんが、曲がった腰をトントンとたたきながらこちらへとよろよろ近づいてくる。


「おばあちゃん、そんな無理しなくてもあたし達の方からいくってば!」


 お客さんの方に気を使わせるくらいならお店辞めたら? と言いたいけど、おばあちゃんは気にせずにあたし達の方へと向かって歩いてくる。

 丁度店の入り口と奥の椅子との真ん中くらいの距離で、あたしとおばあちゃんが相対する。


「で、どんな目的で箒を使うんだい?」

「えぇーと、そこまで考えてなかった」

「あら、どういうことだい」

「薫さんは異国の方ですから、箒の事をまだ知らないんです」

「そういうことかい。だったらこっちにおいで」


 あたしはおばあちゃんに連れられるがまま、店の裏庭へと通じる扉の前に立つ。


「箒の合う合わないを、調べてあげるから」

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