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とうとう強硬手段に!?

「それにしても凄いとしかいいようがないな。あれから三十分以上十二階層の魔導方程式を展開しているけど、息一つ切らしていないとは……」


 あたしはあれからも先生から言われた通りに箒を動かし、空を飛び続けている。もう手足のように、箒を自由自在に動かせるようにもなってしまった。


「結構簡単だねこれ!」

「これなら鍛えれば、トラベル・ブルームレースで優勝できるかもしれないわね」

「あの超長距離レースにですか?」

「ああ。踏破するのに一ヶ月以上かかると言われる名物レースに」


 にゃーんか凄く厳しいレースに駆り出されそうな雰囲気。


「……ちょっと力をセーブしておこう」


 あたしは地上まで高度を下げ素直に箒から降りると、わざとらしく疲れた様子でその場に足を広げて座り込む。


「おや? まだ授業中だぞ」

「すいません先生、魔素の調整が難しくて……少し休んでもいいですか?」

「全く……あれだけ十二階層の式を継続できるのは何かおかしいと思ったが、流石に燃費が悪くなるか」


 先生は少し呆れ多っぽいけど、そんなレースに駆り出される方があたしにとっては大変な事なんだよね。

 そう思いながらあたしが上の方を見やると、流石はエリート校というべきか、あたしより遅れて飛んでいるとはいえまだ箒にまたがっている生徒がちらほらと見える。


「……あっ、ルヴィだ」


 高貴な出自のお嬢様は箒にまたがる姿も優雅だにゃー。

 ルヴィもあたしに気がついたのか手をひらひらと振ってきたから、あたしもそれに対して手を振り返した。

 その時だった。

「――あ」

 っという間の出来事だった。どこから伸びてきたのか、黒く大きな手がルヴィの身体を掴み上げた。

 そしてそのままその黒い手は学校の防護膜を抜け出し、どこかへと飛び立っていく。


「【光速ソニック】=【消失バニシング】!!」


 あたしは先生から許可も得ずにその場から消失し、黒い手の後を追う。防護膜なんてあたししにとって、光になって透過すれば意味をもたない。


「――ルヴィ!」

「薫さん!」


 連続の【光速ソニック】=【消失バニシング】で何とか空を飛ぶ黒い手の上に乗ることはできたけど、握る手をほどこうにもあたしの力じゃとてもじゃないけど外せない。


「どうしよう……」

「薫さん、敵は私目的です。貴方は戻ってこの事を――」

「それはやだ! だってルヴィを見捨てることになっちゃうもん!」

「薫さん! 敵はあの十二階層すら防ぐ防護膜を突き破ってきたのですよ!? 現時点でどれだけの実力を持っているのか……」


 あれー? ルヴィ、一つ忘れてない?


「……でもそれって、あたしの実力を見た上でそう言っているの?」

「え? ……あっ」


 あたしは黒い手の隙間から出ているルヴィの手を取る。ルヴィはそれでも自分ではなく、あたしの方を心配そうに見つめているけど、あたしはそれでも一緒について行くことを決意する。


「大丈夫だって。あたしがついているから!」


 だってここまで来てあたしの方を心配してくれるルヴィを置いてはいけないもん! それにあたしの方が強いってことを、ルヴィにはものすごく強い味方がいるって敵に徹底的に示しとかないと!


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