生徒会室に連行ー!!
ヴィンセントに連れられたあたしは、そのまま生徒会室の方へと連れて行かれることになった。
先輩達の雰囲気から、状況の把握とあたし個人に何か心当たりがないかを聞きだしたいように思える。
あたしは一瞬本当のことを話そうかと思ったが、他の者に勝手に話していいのかルヴィの考えもなしにあたし独りで決められないと思い、この場はしらを切ることにした。
「本当に何も知らないのか?」
「あたしのほうこそ、なんで向こうが襲ってきたのか聞きたいくらいですよ」
生徒会室にしては、随分と魔導方程式に関する本が多々並べられているけど……これ全部読んでもいいのかな?
あたしはまるで尋問のでもうけるかのように生徒会長のイスとテーブルの前に立たされながらも、周りをちらりと見まわして思った。
「……だ、そうだが。ロキ、男の方は何も話す様子ではないと」
そして会長の席に座っているのは、当たり前だがヴィンセント先輩。先輩はあたしの方を一瞥した後、生徒会室内にあるもう一つの部屋へと続くドア――《取調室》と掲げられたドアから入ってきたロキ先輩へと問いかけを繋げた。
「ああ……チッ、反対側の腕ももいで吐かせてやるか――」
「阿呆が。俺たちゃ拷問クラブじゃねぇんだよ…………そこのところ、ミクムもよく理解しておけ」
「……ヴィンセントが言うなら、そうする。ごめんなさい……」
ヴィンセントに怒られるなりミクムは先ほどまでやっていた風を使っての手遊びをやめ、しゅん下を向いて反省する。
「……フン、所詮は平民で愚民の女。やり方が安直で短絡的だな」
「てめぇも人のことを言えた口かよ」
「……クソッ……」
恐らく普段外に見せるのはあの爽やかな姿で、本来のロキの性格はこれなのだろう。ヴィンセントに嫉妬しながらも、やるべきことや最低限度のことは一応にこなす。
女性というものに対し特異的な考えを持っているっていうのが、一番問題だと思うけどね。
「そういや、確かトウジョーとか言ったか? 目的はどうであれ、このような事はこの学校ではよくあることだ」
ヴィンセントは首を掻きながらあたしの名前を確認しつつ、まるで世間話でもするかのようにこの学校についての話を始めた。
「どうしてです?」
「お前も多分知っての通り、この七曜魔導学院はマギカでも優秀な学校であり、国家直属の魔導軍の息がかかっている学校でもある。そんな学校に厄介ごとを持ち込みに来る輩なんざ、大体が想像できるだろ?」
軍部の息がかかっているとは、なんとなくあのアレクさんがいる時点で予想はついていたけど――
「まあ、なんとなく察しがつくかなー……」
もしかしなくても恐らく、他の国からのスパイとかもいるかもしれない。この学校、なんてったって身元を問わないらしいからねー。
「だからこそ入学の際には高度な魔導方程式が解けて、ある程度の自衛ができる学生を求めている。そしてそんな学生を呼び寄せるために、合格すれば身元を問わず無償でこの学校に在籍ができて、最高峰の教育を受けることが出来るようにしている……まあ、引き換えにこの国の軍部を選ぶか、国家魔導師を選ぶかだが」
「……ちなみにヴィンセント先輩は、卒業後にどっちの進路に進むつもりですか?」
この時にあたしがすぐに思ったのが、先輩は将来どうしようと思っているのかだった。
「俺か? 俺は……あの魔導軍最高指揮官には軍に入らないかと言われているが……国家魔導師だろうな。その方が、自由に魔導方程式の研究ができる」
なるほどー。魔導方程式を知るためには、そっちに行った方がいいのか。
「……じゃああたしも、国家魔導師になろうかなー」
あたしは単純に魔導方程式の興味からそういったつもりだったが、ミクム先輩には別の意味に聞こえたらしい。
「……ミクムも国家魔導師になるもん」
「ああ、お前は確かに国家魔導師になった方が、家族への手当もいいからな」
「……違うもん、そういう意味じゃないもん……」
……うん、これは女同士だから分かる問題だわ。明らかにミクム先輩はあたしをヴィンセント先輩によりつく虫だって思い込んでいる。
――あたしにそういうつもりはないけどにゃー。
「……ヴィンセントの分からず屋」
「……意味が分からん」
だぁーっ!! 漫画とかによくある鈍い主人公を間近で見るのってこういう気持ちかー!!
「……ヴィンセント先輩、少しは女性の気持ちを汲み取ろうとした方がいいですよ」
「ん? どういう意味だ?」
「……もういいです。言ったあたしがバカでした」
眼鏡をかけなおしながら、あたしはこんな男が会長で大丈夫なのかと疑問を持たざるを得なかった。




