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侵略!エコ娘  作者: こまだ
第一章 ~邂逅~
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3

 

 なんて、頼もしいお方……。

「じゃなくて! なんてことしてんだよ!」

 その時、遠くからパトカーのサイレン音が聞こえてきた。

 見ると、さっきまで倒れていた警官はパトカーの助手席まで移動していた。無線で応援を呼んだようだ。

「なるほど、応援を呼んでいたか。連携はとれている。っと」

「そんなメモとってる場合じゃねぇよ! 捕まっちゃうよ! 大変だ!」

「逃げればよかろう?」

「警察の捜査力舐めちゃいけねぇ! 顔も見られてるし、今逃げてもどうせ後日逮捕だぞ!」

「ふむ……」

 ミラは腕を組み考えるそぶりを見せる。

「殺るか」

 なんて短絡的思考なんだっ!!!

「殺したらだめだろ! なんかないのかよ! 記憶消すすべとかもってねぇえのか!?」

 そんなご都合主義……まかり通るわけねぇよなぁ、おれ、変なストーカー女のせいで人生終わっちゃうかもしんない。ごめんよ、父ちゃん、母ちゃん。

「記憶を消せばよいのだな? よし」

 あぁ……思えば、なにもしてねぇ16年だった。

 あの変態ストーカーのせいで人生閉ざされちまった。まだ警官になにかしようとしてるし。

「お、おい、や、やめてくれ! くるなぁ、くるな! うわぁぁあぁぁあああああぁ」

 ひぃっ! なんか変な音聞こえた!

 何をしたかはわからない。けど、警官二人がぐったりとしている。

「これで大丈夫だ。多分」

「多分がすごく不安なんだよ! なんであんな思考停止した感じになってんだよ!」

「そりゃあ、慎治が目を逸らしてる間に……なっ」

「なっ。じゃねぇよ! 殺してねぇんだろうな!? 本当に!」

「だから、何度も言わせるな!!! 多分と言ってるだろう!」

「なんで逆切れ!? こっちがキレたいんだけど!!!」

「いいから、いくぞ」

 俺はミラの肩に身を任された。

 担がれているのだ。俺は。

 サイレンが近づき、パトカーが目に入る。

「いくぞ」

 ミラは走り始める。

 だんだんと景色が移り変わってゆく、まるで、電車に乗っているかのように。

「うぉっうぉぉぉ? うぉぉおおおお! はえええええええええええ!!!!」

 なんだよ、この足の回転速度! アニメか! こいつの体はアニメの代物か!!!

 パトカーとの距離はどんどんと離れていく。

「慎治、口を閉じてしっかりとつかまれ」

「ふぉっ?」

 瞬間、一気に地面からかけ離れる。

 みるみると地面とサヨナラしていく。

「おまえ……飛べるのかよ……」

「しつこいからジャンプした」

 ジャンプとかそんな生ぬるい表現じゃねぇ。これ完全に飛んでるわ。

 その後も川を越えたり車の上を飛んだりと、未知の体験に心を持っていかれて、ふと気づけば見知らぬ場所に居た。

「ここまでくれば大丈夫か?」

「どこだここ」

「慎治がわからないのに、私がわかるわけないだろ?」

「そりゃ、そうだな」

「では、改めて言うが、私は地球人ではない」

「でしょうね!!! もう納得してたわ!!!」

「しかし、地球人とは貧弱な生き物なのだな」

「いや、ミラが強靭すぎるんだと思う」

「ふむ。立ち話もなんだ、あそこの岩にでも腰を下ろそうではないか」

「へい」

 もう主導権握られっぱなしで、なんでもできるような気がしてきた。

 ゴツゴツとした岩に腰かける。お尻が痛い。

「まず、私の話をしようか」

「おう」

「まず、私がこの惑星に来た理由だが、私の住んでいる惑星は深刻なエネルギー問題が発生している。その為、住民が移住できる惑星を探してたどりついたのがこの地球だ」

「なるほど、で、どうやって俺の部屋に」

「あぁ。なんだ? 本来は一目の点かない場所に着陸しようとしたんだが、ちょっとしたエンジントラブルが起きてだな、宇宙船から飛び降りて、着地した場所が慎治の家だ」

「すげーさらっとしてんなぁ。んでこの地球に移住するとなればお前みたいなのがわんさかくるのか?」

「そうだな、ざっと10万人くらいか。私も聞きたいんだが」

「ん?」

「先ほどの奴ら見たく何度も掴みかかろうとする野蛮な者の集まりなのか?」

「いやいや、仲間が倒されたから反撃しただけだろ」

「もし、我々が10万人で移住してきたら争いごとになるのか?」

「んーどうだろな、仲良くしようとする奴も居れば、反対の奴もいるだろうから一概には言えねぇな」

「……そうか」

 ミラは神妙な表情を浮かべる。

「では、再び質問にはいる」

「もうなんでもこいや」


「単刀直入に言う。この世界のリーダーに合わせてくれ」


「会えねぇよ!!!」

「どうしてだ!」

「この地球を総べてる人がいねぇんだ!」

「どういうことだ?」

「ここは地球の中でも日本という国であって、他にもいろんな国が居てその国に一人ずつリーダーがいるんだよ!」

「だったら、日本のリーダーに会わせてくれ」

「無理だ! 俺でもあったことねぇのに!」

「ふむ……ならば、どうすれば会える?」

「んー……」

 やっぱえらくないと会えないんだろうな。

「偉くなれば会えるんじゃね?」

「そうか、えらくなるにはどうすればいいのだ?」

「そりゃぁ、勉強しかないだろ」

「ほぉ、その勉強とやらはどこでできるのだ?」

「学校っていうところだ」

「あぁ! 慎治が昨晩言っていた中学とやらか。慎治も学校とやらに行っているのか?」

「一応今日から学校の予定だったんだけどな」

「どうして行かない?」

「変な女から追いかけまわされた上に、警察のお世話になりかけたからだ」

「それはひょっとして、私のせいなのか!」

「ひょっとしなくてもミラのせいだ!!! ……ところで宇宙船ってどこにあるんだ? 回収しないとまずいだろ」

「あぁ、確かこの近くに着陸しているはずなんだが……見るか?」

 どうせ、今から行ったところで学校終わってるし……

「見たい!! 見たい!」

「よし、探すか」

 やべぇ! 宇宙船見るなんて人類初なんじゃねぇかな!? 俺って偉人クラスになれるんじゃぁ!!!

「よし、行くぞ」

 腹に手を回され肩に担がれる。なんて不格好なんだ。


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