夜道の訪問者
前の続きです。
都合により投稿が遅れました。申し訳ありません。
シヴァンは自分が今置かれている状況を呑み込めずにいた。
今目の前にいるのは確かに悪魔だ。解っていても解せずにいた。
青年は彼に構わず燃え広がる火を見つめていた。
『来た。』
青年はそう言うと腰から剣を抜いた。
その瞬間、彼と同じようなフードのついた黒衣を着たものが5人降り立った。
『やっぱり来たな。』
青年は囲まれた。集団の一人がフードを脱いだ。
『シリウス=メイデイ。ついて来てもらおうか。』
シヴァンよりも少しばかり背が高く、小太りのその男は、青年の腕をつかもうとした。
『連行は嫌いなもんでね。』
彼はそう言うと、いつしか鞘から抜いた剣を男に向かって降り下ろした。男は青年から喰らった一撃に図太い刀で持ちこたえた。
『進歩が無いな。』
青年はそう言い、人間離れした速さでまた男を斬りつけた。
今度ばかりは男も不覚だったらしく、まともに受けた一太刀に吹き飛ばされた。
『ついて来て。シヴァン君』
いつしか名前を呼ばれ、シヴァンはいつの間か青年に手を引かれて、ある赤い屋根の家の家瓦に足を降ろした。
一段落したかと一息つく間もなく青年は異常な脚力でシヴァンと共に家々を跳び移った。
そして、やっと止まって言った。
『悪かったね。さて、これで終わりだ。ーーーーと言いたいところだけど。』
青年は改めてシヴァンの瞳を見た。
『僕はシリウス=メイデイ。某国から追放されたんだ。、、、まあ、色々あってあの奴等とは顔見知りだ。』
シヴァンはやっと青年の顔を間近に見た。
碧色の淡い瞳に、漆黒の髪。
いわゆる《大人の男性》だった。
『君は、シヴァン君だよね。知っているよ。』
そう、それだ。
シヴァンが聞きたい一番の謎。
「何で俺の名前を知ってるんだ?」
シリウスは目を伏せた。
時計台の針は12時を指したままだった。
さてさて、やっと青年の名前が現れました。
どこかでシヴァンに会ったことがあるのか?
そしてあの子は無事なのか?
それは次回まで。