2 一日目。神奈川・東京(2)
1号を横切ってからはずっと北進を続けます。JR相模線の踏切りを越え、“まっすぐライン”にほぼ沿った県道404号へ。
湘南バイパスの高架をくぐり抜けた所で県道を脱し、左方向、市道に進路を変えます。
とたんに道幅が狭くなります。生活道路ですね。
ルートラインを引いたのは昨日。そして今、その場所にいて。本当にこの地に人が住んでいるのだな、営んでいるのだな、見る人一人ひとりにそれぞれのドラマがあるのだな、と実感し感動するのでした。
MTBならではですが、ちょっとした緑の自然が残る区域を通り抜けました。林の中に、いくつかのお寺と、神社の、いつもと違うアングルから見る静かな佇まいがあります。
見慣れたものも、訪問角度(?)を変えて行ってみると、新鮮な思いを味わえるかもしれません、よ。(笑)
緑地を出て一時停車です。ここら辺から、少しなじみの薄い道路になります。慎重に、パムホのマップを確かめます。現在位置はここ。便利ですね。これがないたったの数十年前って、まったく想像できません。またしても新鮮な感覚、感動でした。
で、そのナビ音声は左を促しています。この、昨日ナビで自動探索させたルートですが、細かすぎる道はフォローされてません。目の前の分かれ道がそれでして、右の細道から、どうやらショートカットできそうな“匂い”がするのです。勘です。旅人の勘(おお!? 笑)です。
試しにマップを市街モードにまで拡大させると、思ったとおり、道の先でルートに接続していることが確認できたのでした。
一つ、頷きます。当然、GOでした。「発進!」ペダルを踏み込み、その細道に突撃します。わ、ここはこんな風景だったのですか、と楽しく思いました。少し恥ずかしいけど、誰もいないし、イヤッホー……と、叫びたいくらいでした。だってこの道は――ああ、この道は!? 普通ならば、まず、縁のない目立たない小道だったからです。生まれて初めての道なのです。これは驚きです。ここは生まれて初めて通る道。そう思うと不思議でした。ここをこうして走ってることが不思議でした。そして、これから、今から、たくさんの初めての不思議の道を走るのです。
直線的ルートにこだわることで、普段なら利用しない細道、旧道といった不便な道をあえて通ることになる。結果、それまで気づかなかっためずらかな光景に出会える。これは、ひょっとして、面白いことかもしれない――
まっすぐ走ろうとテーマを定めたからこそ、得られた感慨でした。
パムホにはGPSログ機能があるので、あとで思い出して楽しむことができます。ああそうだ、ぼくはここを確かに走ったのだ、と。そして――
目出度く、こんなふうにスタートからゴールまで直線的に走り切れたら――
それは、一巻の巻物、『冒険の書』の完成と言えるのではないでしょうか?
(図はイメージ)
人には「つまらない」「ひとりよがり」と貶されるかもしれません。
ですが、自分にとってはお金に換算できないアルバム。一つの仕事をやり遂げたという自信の拠り所。そのあとの人生の礎になるかもしれない宝物になるはずです。
「――ハハ!」
いえいえ……ちょっと先走りすぎましたね。今は今に集中すべきでしょう。楽しめ!
ぼくはいっそう力強くペダルを踏み込み、そして迎えた県道47号。正しくルート本道に復帰したのでありました。これで勲章二つ目、かな? イェイ!!!