表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/116

9 六日目。秋田(9)

 折角の温泉でしたが入ることもせず。

 着衣の上から寝間着のガウンを着て。

 消灯。

 就寝したのでした。


 夜半。水飲みに出て行った蘭が何事もなく部屋に戻ってきて、こちらが密かにホッと息するなか、寝ぼけたのでしょうか、ぼくのベッドの中に潜り込み、しがみつき、やがてスウスウと寝息を立て始めたのでした。

 こんな状況で、なによりもです。ぼくは、真っ先に、チャンスだと捉えたのでした。

 不謹慎です。自分の計算高さに嫌になります。でも――

 翌朝、わざとでも大慌てしてみせ、蘭に元気を出してもらえれば、どんなにいいことでしょう。

 ビンタの十発二十発でも、喜んで食らってやる――

 そんな心だったのです。


「……」

 目が冴えています。

 自分に(すが)り付いて穏やかに寝息を立てる蘭でした。

 そして――


 アイデアは、どんなに呻吟(しんぎん)しても出ないときは一カケラも出ず、生まれるときは無意識に、するすると出てくるものです。

 このとき、その奇跡のひらめきが訪れたのでした。


 自分は今、ピンチです。どこに出しても恥ずかしくない、正々堂々たる正真正銘のピンチです。だったら――


 ()()()()()()()()()()――()()()()()()()()()()()()――?


 行はこの着想に興奮して、それから朝まで思索に没入したのでありました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ