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9 六日目。秋田(1)

 (いきどお)りで寝られないかと危惧したのですが、疲労は偉大なまでに現実的です。本人の意思とは関係なく、やがては行を、深い眠りの底へと(いざな)ったのでありました――


 翌朝。

 目が覚めると横に――

 どことは言わずメリハリのある美少女が、昔ながらの浴衣一枚を、申し訳ていどに身にまとわせた危ない姿で、同様に肌をほとんど全部露わにした自分に、抱きつくように、絡み付くように、空前絶後に、世紀末的に、魔人的に、絶世に愛らしく、眠りこけていたのでございます。眠気が一気に――

「――!」――吹っ飛び!


「~~~!!!」


 その、その肉の熱さよ、弾力よ――!

 甘い匂いよクラクラと――!

 クラクラとして、してるってしてるって、してるんだァ――!

 ここは右側だよな? 右側だよな!?! でなかったらボク! 死ね!

 身の潔白を証すため死すべしイイイッ!

 もう決死の覚悟で回りを確認し、心から安堵の息を吐いた所で、蘭がパッチリと碧の目を開けて――

「……」

「……」


「……キャーーーーッ」


 バッチーーーーン!


 ――と、お約束の定食を朝っぱらから頂戴した行くんなのでありました。

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