7 四日目。福島・山形(8)
『ピポッ』
『神さまは、フツーはお空の上が、定位置よね?』
「いきなりですね。まあ……通常はそうでしょうけど、今回はどうしても、地表にいて頂きたいと、個人的に願っています」
『なおかつ、辿り着くのが困難な所』
「そう。憶えていてくれて嬉しいです」
『お空にいるな、地表にいろ。でもすぐに会える場所にいては、有り難みがない?』
「こちらが苦労するのは、神さまと対等に交渉するための代償ですから」
『しかも、これを旅のテーマにしてしまったものだから、お父様の手前、この異世界で神さまを見つけださなくてはならない』
「ぐう……」
『いくら文太郎さんのためとは言え、コオくんも難儀な子よねぇ』
「……我ながら、そうなんですよねぇ」
『この平面世界で、辿りつくことが困難な場所って、どこだと思う?』
「ブラジル」
『そのネタはもういいから!』
「いや、真面目に」
『だとしたら、二つの問題が発生します。一つは、この日本国土から海の外へは行けない』
「もう一つは?」
『わたしたちは、ポルトガル語が話せない』
「ぐう……!」
『あきらめる?』
「……神さまには、この日本国内に御座って頂くことにします。言語は当然、日本語です」
『どんどん、ご都合主義ね』
「現実、この異世界は日本国内限定だし、さらにその中でも、細い狭い、“まっすぐゾーン”内しか動けませんから、ごく自然なコトの運びかと」
『ならば、“まっすぐゾーン”内で、神さまが居そうな場所とは、どこよ?』
「ぐう……」
『さっきからグウグウ、おなか空いてんの!?』
「少し。ちょっと早いけど、昼食にしますか? ――それにしても、難問です」
『どっちもイエス。おソバにする?』
「いいですね。――視点を変えないとならないようです。ランも考えてみてよ?」
『オッケー! 今日のディナー、デザートはコオの奢りだからね!』
「……フルーツで、いいですよね?」
『果物王国、ヤングアゥタですものね。ラ・フランスとか興味あるわ!』
「了解。楽しみです」
(ぷつん……)




