3 一日目。東京・埼玉・群馬・栃木(3)
県道12号で上越新幹線をくぐって行きます。お隣の加須市エリアへ。ここでいよいよ埼玉県も端っこです。
道路は途中から県道149号に乗り換えです。国道122号バイパスを横切り、加須市市内へと入って行くのでした。
紙コップのアイスコーヒー(旅なんだからブラックで飲んでみる。苦い)を片手に、嬉しくも屋根のあるバス停で休憩を取りながら、これからの行程に思いを馳せます。
まず、宿のことです。――苦がっ。
現在、ラインにして約92km。ここまで順調に来れたのは、まったくもってナビの力です。
さらに言えば、大地がまっ平らで道にアップダウンがなかったこと。他の車がなかったこと。信号機がなかったこと。お祭りがなかったことなどが、あげられるでしょう。(笑)
お陰でまだ2時にもなっておらず、昼の長い夏だということも考えれば、まだまだ先へ進めそうでした。
ただし、出発がそうとう朝早くだったので、時間的には長く、そろそろ身体の疲労も感じられます。コン吉の顔をなでながら、さあどうしようかな、と一人旅の自由を満喫するのでした。
これから先――
“関東大災害平野”の影響は、もうないと言ってもいいでしょう。
これまで見て、接してきた住民の平和度、気質から推し量っても、以降は通常の、それこそワープイン直前まで普通に期待してた、“まともな旅”ができるはずです。この点に関しては素直によかった、と安堵しています。
気持ちの上からもここを仕切り直しの宿泊地点とし、明日以降、心あらたに旅をリスタートさせてみてはどうでしょう。
「うーん……」
この世界にはこの世界の摂理があります。これまでの平穏な様相は救いでした。
今後もいい意味で、何事もなく旅を楽しめれば、それは、どれほど幸いなことでございましょう。
そう思い、気持ちが決しかけたとたん、でした。
『キュルッ・キュルッ・キュルッ――』
いきなりパムホが警告音を発したのでした。




