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3 一日目。東京・埼玉・群馬・栃木(1)

 町田市から稲城市(いなぎし)へ。そこから、ビシャビシャと幅広く、垂れ流し状態になってしまった多摩川を渡って府中市へと、かたくなに元道路の上を進みます。

 交通混雑がない分、順調と言ってもいいくらいです。

 都道15号で小金井市では、プレスされたJR中央本線跡を踏み越えて先に進むのでした。

 その後も順調に小平市、東久留米市、そして清瀬市に至り、ここで日本を代表する()のエリアが終わったのでした。

 そこから先は県に変わります。例によって青看板が立てられていて、


『ここはサティーマ(埼玉)県、ニーザ(新座)市』


 と表示されていたのでした。命名に少し心苦しさを感じるのは気のせいでしょう。(笑)

 少し進み、元JR新座駅前で、元国道254号に乗ります。この旅で初めての国道の利用(?)でした。

 考えてみればどこもかしこもペッタンコなのです。国道と言わず、この際だから高速道(跡)を走ったって文句言われないだろうし、なんなら直線(ライン)に忠実に、まっすぐガレキ(平面)を踏み越えて行くことも可能だったかもしれません。

 苦い笑いです。そうする人もいるかもしれませんが、行には無理。とくに後者、さすがに心理的抵抗が大きすぎたのでした。

 想像するに、同じ踏みつけるにしても、災害のない平常時のときの方が、抵抗感が薄まるように思えます。文太郎さんだって、被災跡の家屋を、更に自分で踏みつけて歩くなんて、きっとやれないだろうな、と思うのでした。

「うん……」

 広い国道は走りやすく、すぐに富士見市に到着です。

 そこから、今度は荒川の水でびしょ濡れになった県道113号、そして河川道へと、ルート跡を辿るのでした。

 がんばれコン吉――!


 荒川の具合から、これじゃこの先の、『坂東太郎』こと利根川はどうなっているのだろうと危ぶまれましたが、その荒川を越した辺りから、周囲がまともなものに変わってきていることに気づいたのでした。ここより北側は、潰された感じがありません。例えば地平線の足尾山地の姿などです。まともです。正常を正常と正常に感覚する感覚が戻ってきています。

 ほっとしました。時間を確認、正午です。ちょうどいい。


 ラインにして約77km。ここで休憩します。


 鞍に跨ったまま(地面は熱せられている)、朝食とも昼食ともとれずの、母のおにぎりを頂くことにしました。美味しいです。ありがとうございます。真実、味が身に染み込む思いでした。

 じっと、自分の黒々とした影に目を向けます。そうしないと目が痛いのでした。

 空気すら焦げそうな猛暑です。日陰のない、それどころか地面からの照り返しが尋常でない中、汗が出ずっぱり。さすがに体力が消耗していたのでした。こんなだったら、氾濫した荒川の水を(すく)ってもよかったかもしれません。(ダメです)

 幸いにしてここから先は、災害の影響もそんなに及んでいない様子――

「行こう」

 日差しが辛く、屋根のある場所、涼める場所を求めて、行はコン吉を促したのでした。

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