嵐の夜に
容赦のない風
横から刺すような雨
夜だからみえない
おぞましさの広がりが
みえない空に
亀裂が走った
街はぼやけて沈んでゆく
傘は何も守ってくれない
一歩一歩ふみしめて
濡れることなど忘れてしまって
容赦のない風
横から刺すような雨
晒されながら
灯りがともった所へ
戻るために
自分が自分でいられる
唯一の所へ帰るために
通りすぎた車
盛大な水しぶきを
浴びせてきた
惨めを噛み潰し
ずぶ濡れになっても
前へ前へ進んでいく
いつか聞いた歌が
同じところを繰り返し
頭の中で回転する
帰る場所がある
他に何が必要なんだ
俺には
帰る場所があるんだ