表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/19

12話「ダンジョンへ」

 

 冒険者登録と同じように、一人ずつ水晶玉に手を当てる。それだけでクラスが決定するようだ。では、運命のクラス発表をしていこう。まずは俺から。

 

 キクタ(LV1)

 

 体力:7/10

 魔力:7/7

 攻撃力:4

 耐久力:4

 想像力:1

 精神力:1

 敏捷力:3

 技術力:3

 元気力:1

 

 ステータス異常:ロリコン 慢性疲労

 

 クラス:失笑ハンマー士(LV1)

 

 チーム:プリティキクタくんズ

 

 装備

 頭:なし

 右手:なし

 左手:なし

 胴:学生服(耐久+1)

 足:ローファー(敏捷+1)

 その他Ⅰ:奴隷の首輪・改

 その他Ⅱ:なし

 

 個別スキル

 ・おいしい血(LV1)

 吸血鬼系種族とのエンカウント確立アップ。

 ・ハンマー装備補正増(LV1)

 ハンマータイプの武器を装備すると補正強化。

 

 武器スキル

 なし

 

 ごめん、これクレームはどこにつければいいのかな。

 ハンマー使いおかしいよ!俺はマリオか!漫画とかで巨大なハンマー振り回す奴はいるけどさ、実際ハンマーなんて武器としての機能性皆無じゃねえか。ただの鈍器だよ。それならまだバールのようなものの方がましだ。俺、怪力キャラじゃないし。でも、この異世界もいわば漫画の世界と言えなくもないからな。

 個別スキルが増えたけど、あんまりうれしくない。いや、ちょっとだけうれしいかも。ほんのちょっとね。

 では、次にオヤツのステータス。

 

 カソレケテニツモオヤツハール(LV1)

 

 体力:16/16

 魔力:2/2

 攻撃力:13

 耐久力:253

 想像力:1

 精神力:2

 敏捷力:10

 技術力:1

 元気力:3

 

 ステータス異常:空腹

 

 クラス:へっぽこカポエイリスト(LV1)

 

 チーム:プリティキクタくんズ

 

 装備

 頭:なし

 右手:なし

 左手:なし

 胴:スク水(耐久+250)

 足:木のサンダル(補正なし)

 その他Ⅰ:なし

 その他Ⅱ:なし

 

 個別スキル

 ・リフューザル(LV3)

 サイコキネシス。四肢にエネルギーフィールドを形成でき、パンチ力、キック力が異常に上昇する。ステータス異常『狂戦士』になる。

 ・徒手空拳(LV1)

 両手スロット無装備時、攻撃力1%増。軽装備時、敏捷力1%増。

 

 武器スキル

 なし

 

 カポエイラこの世界にもあるのか。受付嬢に聞いたところそんな格闘技は知らないとか。それよりなんでカポエイラなんだ。もっとメジャーどころではだめだったのか。

 戦士系の中でも無手格闘型と呼ばれる職業に入るらしい。一応、レア職。極めれば強いが、育てるのが難しい職種のようだ。

 次はヤコのステータス。

 

 ヤコレダッテッパノトネーロッポ(LV1)

 

 体力:8/8

 魔力:9/9

 攻撃力:1

 耐久力:251

 想像力:6

 精神力:4

 敏捷力:2

 技術力:7

 元気力:1

 

 ステータス異常:なし

 

 クラス:ひよっこ火魔術士(LV1)

 

 チーム:プリティキクタくんズ

 

 装備

 頭:なし

 右手:なし

 左手:なし

 胴:スク水(耐久+250)

 足:なし

 その他Ⅰ:なし

 その他Ⅱ:なし

 

 個別スキル

 ・ワームホール(LV14)

 小規模な疑似次元断層を構築し、時空間に高度環境管理下におかれた超限定多元宇宙へと通じるゲートを作成する。

 ・魔道書装備補正増(LV1)

 魔道書タイプの武器を装備すると補正強化。

 

 武器スキル

 なし

 

 魔術士のオーソドックスなタイプである四属性型の一つだ。火属性の魔法を使える。魔術士を選ぶ冒険者はほとんどが四属性型になるので特記することもない。有象無象の職種だ。ヤコは不満がっていたが、俺に比べればはるかにまし。俺なんかハンマー士だぞ。代わってくれ。

 最後にレナのステータス。

 

 レナイトマヤメラパエラナイカッビセン(LV1)

 

 体力:22/22

 魔力:13/13

 攻撃力:5

 耐久力:261

 想像力:741

 精神力:812

 敏捷力:1

 技術力:658

 元気力:30

 

 ステータス異常:なし

 

 クラス:まあまあ祈祷士(LV1)

 

 チーム:プリティキクタくんズ

 

 装備

 頭:なし

 右手:なし

 左手:なし

 胴:スク水(耐久+250)

 足:木のサンダル(補正なし)

 その他Ⅰ:なし

 その他Ⅱ:なし

 

 個別スキル

 ・テレパシー(LV99)

 精神感応電磁波を障害物に関係なく半径500メートル圏内に発信できる。テレパシーで意思疎通できる。

 ・祈祷具装備補正増(LV1)

 祈祷具タイプの武器を装備すると補正強化。

 

 武器スキル

 なし

 

 祈祷士はステータス補助魔法が得意な職種なんだと。なにげに「まあまあ」な祈祷士らしい。この爆発的な想像力にものを言わせて俺らのステータスをうなぎ登りにしてくれればいいのだが、もし強化値がスキルによって固定されていたらという一抹の不安もある。

 以上が俺たちのクラスの詳細である。

 

 「次にクラスレベルについて説明します。クラスレベルはクラス名の横に表記されている数字です。これはバイタルレベルの上昇に伴って上がります。バイタルレベルが1上がることにクラスレベルも1上がります」

 

 クラスレベルが上がったときに個別スキルを覚えるそうだ。つまり経験値をためてレベルを上げれば技も魔法も覚えていくということだ。

 

 「クラスレベルを上げていきますと、クラスアップが起こります。たとえば、『剣士』のクラスがアップすると『剣豪』になったりします。どれだけレベルをあげればクラスアップするかは、個人の素質によります。低いランクのクラスは比較的上げやすいですが、上級ランクになるとかなりのクラスレベルがないとアップしません」

 

 クラスアップすると以前のクラスレベルはリセットされるようだ。俺たちのクラス名に「失笑」とか「へっぽこ」とか「ひよっこ」とか「まあまあ」とかついているのはランクが低いためだろう。クラスアップすればこの接頭語がとれるはずだ。

 レベルの上限が99である以上、クラスアップには限界がある。そもそも99まで上げられる冒険者なんてほんの一握りしかいないそうだ。どこまでクラスアップできるかはその人の才能にかかっている。剣の扱いがうまい人なら他の冒険者より早くランクアップできるという。

 

 「最後にクラスチェンジについて説明します。クラスチェンジは今の自分のクラスからまったく別の職種を選びなおすことです。これはバイタルレベルを10上げるごとに一回だけ行うことができます。これによって以前のクラスに加えて新しく別のクラスを得ることができます。ただし、以前のクラスのレベルはそれ以降、上がらなくなります」

 

 自分のクラスが気に入らなかったときや、他のクラスのスキルが覚えたいときなどに使う。それまでに覚えた個別スキルはなくならないが、今まで育ててきたクラスはそれ以上成長しなくなってしまう。クラスチェンジ以降は新しいクラスのレベルが上がっていくということだ。

 

 「また、クラスチェンジによってクラスの融合という現象が起こることがあります。以前のクラスとチェンジ後のクラスが特定の組み合わせだった場合、融合して一つのクラスになります。よくある例だと、『魔法剣士』などですね。これは魔術士系のクラスと剣士のクラスの二つがそろうと融合します」

 

 どの組み合わせでどのクラスに融合するのかは、まだわかっていない部分が多いらしい。また、二つのクラスが一定のレベルに達していないと融合しないこともあるようだ。珍しいケースだと四つのクラスが融合したなんてこともあるという。例えば、『火魔術士』と『土魔術士』が融合すると、『火土魔術士』になる。その調子で四属性すべてをマスターすると『四元素マスター』というクラスになる。そのため、魔術士系の冒険者はクラスチェンジする者が多い。

 だが、クラスチェンジはある種の賭けである。なにしろ、こちらで好きなクラスを選ぶことができないのだ。やっと10レベル上げたのに、チェンジしたあげくわけのわからんクラスになったという悲劇になる方が多い。一応レベルの上限から言って、クラスチェンジの機会は最大で9回あるが、融合によるレア職を追い求めすぎない方がよいと言われた。

 バイタルレベルだってそう簡単にあげられるわけではない。また、単一のクラスだって極めればレベル上限の範囲でだが、どこまででも伸びる。確かに複数のクラスのスキルが使えることで得られるメリットもあるが、器用貧乏になる可能性もある。奥が深いな。

 でも、ハンマー士はクラスチェンジしたい。

 

 「クラスに関する説明は以上です。何かわからないことがありましたらいつでも質問してください」

 

 「はい、ありがとうございました」

 

 ギルドでの用事はこれで済ませただろう。俺たちはギルドを後にした。

 

 * * *

 

 そして、いよいよダンジョン攻略である。

 とにかく金を稼がなくてはならない。モンスターを狩りまくってお金を稼いで飯を食うのだ!

 ダンジョンの入り口にはまたもや検問所のようなところがある。チェックを受けずにダンジョンに入ることはできないようだ。検問所はいくつもあって、外門のように行列ができることはなかった。今は人通りが少ない時間帯なのか、封鎖されている検問所もある。ラッシュ時にはフル稼働するのだろう。

 時刻は昼過ぎ、おなかが空く頃合いだ。さっきは触れなかったが、オヤツのステータス異常欄に「空腹」と出ている。昼を食べていないのでそれもしかたがない。俺のかわいい妹たちに早くごはんを食べさせてやりたいところだ。

 さっそく検問所の一つに入った。

 

 「冒険者カードを提示して……は?」

 

 検問所にいた男性の事務員らしき人が俺たちを見てぽかんと口を開けている。まあ、そういう反応をするだろうな。幼稚園児とその引率の兄がピクニックにきたかのように思われたのだろう。

 

 「あんたら初心者か?それにしたってその格好はひどすぎるぞ」

 

 「す、すみません、装備をそろえるお金がなくて……」

 

 学生服とスク水姿じゃあ、そりゃ呆れられるのも当然だ。ダンジョンの中にはモンスターがいる。武器なしで倒せるとは思えない。それに体力やステータス異常の回復薬も持っていない。

 それは俺もわかっているので今日はあくまで下見のつもりで来た。やばくなったらすぐ逃げよう。それに宇宙人の超能力もあるので、死ぬことはあるまい。

 

 「冒険者にとって装備は必要不可欠だ。はっきりいって自殺する気にしか思えない。なにを考えているんだ」

 

 「おっしゃるとおりでございます!でも、スキルがあるので何とかなるかと思って」

 

 「スキルを過信してはいけない。ダンジョンは危険であふれている。常に万全の状態でなければ、不測の事態に直面してからでは遅いのだ。それに初心者ならレベルもそう高くないだろう。戦闘に使えるようなスキルをもう覚えているのか?」

 

 今のところ一番有効そうなのは、オヤツの超能力だな。しかし、これは使用すると暴走してしまうため諸刃の刃でもある。レナのテレパシーは戦闘には向かない能力だし、ヤコの能力もちょっと違うな。ワームホールを自由に開けられるってのは汎用性が高く、攻撃にも使えそうな気がするが、ヤコ自身の性格が戦闘に向いていない。

 

 「余計なお世話よ。あんたに迷惑かけるわけじゃないんだし、別にいいでしょ」

 

 「私たちはこう見えても強いよ!大丈夫だよ、おじさん」

 

 「瞬殺ですなのー」

 

 「大丈夫には思えないんだが……まあいい。死ぬのも自由。すべては自己責任だからな。そこまで言うなら止めはしない。まずは冒険者カードを見せてもらおう」

 

 俺たちは冒険者カードを提示する。そうそう、さっきギルドで聞いたのだが、このカードは任意でステータス欄、装備欄、スキル欄を隠すことができる。宇宙人のスキルはちょっと異質かもしれないし、レナのステータスがどうみてもおかしいので、不審にならないように隠すことにした。ギルド職員が必要と判断したときは開示しなければならないが、基本的にはプライバシーが守られている。冒険者にとって、自分のステータスは大切な情報なのだそうだ。

 隠せない項目は名前、バイタルレベルの二つだ。ちなみに犯罪歴についての表示があるときは、それも隠すことができない。場合によっては審査の段階で登録を拒否される。ギルド登録中に犯罪に手を染めれば強制脱退させられ、責任が追及されている間は登録できない。

 

 「全員レベル1か……ますます不安だが。よし、通っていいぞ。ああ、そうだ。知っているだろうが、ダンジョンには一日に二回しか入れない。だからと言っていつまでもぐずぐずと粘り続けるなよ。無理だと思う前にいつでも退避できるようにしておけ」

 

 「え、二回しか入れないんですか?」

 

 また呆れられた顔をされた。どうやら、個人につき午前と午後の二回しかダンジョンへ入れないのだそうだ。出るのは自由だ。転移機の過度な使用を緩和するためらしい。ギルドに特別に申請すれば回数制限を越えて入れるようだが、そういうのは緊急クエストとかの非常時に限るので普通は二回しか入れない。

 さあ、いよいよダンジョン突入だ!

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ