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裏に怯える僕と自殺志願者な君

作者: 黒薔薇ノ姫


「…おきてよ」

何時の間にか彼女は僕の部屋に居た。

扉を開ける音とかそういうのはまったく聞こえなかったが居た。

どうやって入ってきたのかというのはスルーしようか。

彼女は僕の上に馬乗りになっていて、上手い具合に僕の腹を押している。

苦しい。重苦しい。早く降りてくれないだろか。


「殺してよ」


彼女は僕に囁いた。

嗚呼、君の口癖はどうやったら直るのだろうか?

「アタシを殺して、翔も一緒に死ぬの!どう?素敵でしょう?」

全然、素敵じゃない。 というよりヤバイだろ。



彼女は、自殺志願者だ。

何で死にたいのか、と聞くと何時もこう答える。


"だって、かみさまの居ない世界なんて最悪でしょう?"


僕にはよく解らないけど、絶望しているようだ。

かみさま、なんて僕は信じていない。

彼女は信じているが故そうなってしまったのだろう。

でも、1つ僕が言えること。僕はそんな君が好きなんだ。

恥ずかしくなるような台詞だ、だとか厨2乙だとか、そんな言葉は要らない。

僕が何時か息絶えるまで君を愛し続ける。願うなら君の死ぬ姿を見たくなんて無い。

だから君にその口癖を直して欲しい。

「殺して」と言うその口を塞いでしまいたい。



妄想の中で僕は君を愛し、犯し、殺した。

命の灯火が消える寸前君は笑った。勿論妄想の中で。

嬉しそうに、嬉しそうに。

僕の見たことの無いような綺麗な笑顔で。

僕はまたその笑顔が見たくなって妄想の中で君を愛し犯し殺す。


時々怖くなる。

僕が"妄想"だと思っているのは"現実"なのかも知れない。

そんな筈は無いのだけど、余りにも君の笑顔、殺した時に手に残る紅、生々しい鉄の匂い。

全てがリアルすぎて怖いのだ。

でも君は何時もの口癖を吐いて、僕に寄り添う。

この温もりが妄想な訳、無い。

勿論僕は現実で君を愛しても殺したりする事は無いだろう。其処まで狂っては居ない。

きっと君にこの話をしたら「現実で実現させてよ」って言うのだろう。

君は死にたがりだから。



「おきてる?」

「…起きてるし」

馬乗りの状態で僕を見下ろす君。

「翔はさ、アタシの事如何思う?」

「花音の事?」

勿論、愛してる。

でも、君はそんな答えを求めちゃいないだろう?

少し考えて見る。君が喜ぶ答えは…

「ねーぇー」

軽く僕の胸板を叩きながら君は唇を尖らせる。

「待てって」

「解ったー。あと2分ね!」

こうしていると自殺志願者になんか見えないのにな。

そんなくだらない事を考えてから、思いつく。

「花音」

「何?」


「花音の事、殺したい位愛してるよ」


僕なりの答え。

案の定君は満面の笑みで僕の首に抱きつく。

「翔!大好き!」

「こんなんでかよ?」

「だってさ、アタシの事殺したい位愛してるって事は、独占欲でしょう?それだけアタシを欲してくれてるのが嬉しいの」

その言葉には答えず、僕は君を抱き締め返した。






(此れが僕らの愛の形)(誰が何と言おうとも)

2人は幸せに成れるのでしょうか。


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