Level5-0:それぞれの祝日 序章
※この小説は『デュエル・マスターズ』を題材にした小説です。
※あくまでもフィクションです。
実在する地名、氏名年齢住所電番などとはまったく関係がありません。
6月。それは学生にとって憂鬱な月。
全国の学生はこの月になると、溜息をつき落胆する。
他の月と違い、この月にだけ無いものがあるからである。それは何か?
答えは祝日である。
1月は元旦や成人の日。2月は建国記念日。3月は春分の日、4月は昭和の日、5月は憲法記念日を始めとするゴールデンウィーク、7月は海の日、8月には祝日自体は無いが、多くの場合は夏休み中なので関係ない。9月は敬老の日、春分の日、10月は体育の日、11月は文化の日、勤労感謝の日、12月は天皇誕生日と言った具合に、6月を除く全ての月に祝日(休み)が存在している。
だから学生は6月になると肩を落とすのだ。
しかし、彼らには関係の無いことのようだ。
Next Level~輝ける切り札~
教室には光が差し込んでいた。それは中にいる生徒を暖かく包み込んでいる。
明日は彼らだけの祝日だ。いわゆる“創立記念日”というやつだ。
憂鬱になりがちな6月に創立してくれるなんて、まったくこの学校の創設者には感謝しなければならない。
飛鳥は、クラスの女子の一人と何か話していた。どうやら、明日は彼女と遊ぶようだ。
彼女―――黒埼 楓は生徒会役員である。飛鳥も人気がある女子の一人だが、彼女はそれ以上の人気がある。
日本人形のような黒く長い髪に細い手と足。それにルックスも良ければ、誰でもすれ違うたび二度見してしまうのは間違いないだろう。しかも彼女は優等生で誰にでも優しい。
まさに、生徒会役員にふさわしい人物である。
どうやら飛鳥と楓は小さい頃からの幼馴染のようだ。しかし、彼女達の会話を聞いていると、薄くだけ楓の“裏”の性格が出ているような気がする。
優也は読書をしていた。数学の参考書だ。彼は以前「数学的な思考がデュエマにも生かされるんだよ!」と翔に話していた。
しかし、彼の数学の成績はいつまでたっても伸びない。いつも“3”だ。努力は必ず報われるわけではないことを指し示す良い例だろう。
彼が明日どうするのか、まったく翔は知らない。と言うよりも知らなくていい。
たいていの場合、彼は『トランプ』にいる。特に理由も無くただいるのだ。
その理由を彼に聞くと、「う~ん、…………デュエマが好きだから?」と答えた。わけが分からない。
翔は暖かな光景を静かに眺めていた。その表情には少し柔らかさが見える。
彼は明日、一日中『トランプ』に居るつもりだ。専ら店長か優也とデュエマしていることになるだろう。
ちなみに、彼は店長にほとんど勝てたことがない。別にそれは彼が弱いわけではない(それは今までの活躍を見れば簡単に分かるだろう)。
店長が強すぎるのである。全国大会レベルのデュエリストで互角の戦いが出来るほどだ。
もし現役のプレイヤーだったなら、かなり上位であっただろう。
教室のドアが勢いよく開き、担任が姿を現す。
「おーい、学活始めるぞー。学級委員号令宜しくー」
「起立!」こうして、祝日の前日は幕を下ろした。
お久しぶりです!W-swordです。
約一ヶ月ぶりの投稿ですが、今回の文字数はかなり少ないものになっています。
タイトルの「5-0」からも分かるように分岐する話の序章になっています。
本当は一括してまとめる予定だったのですが、話の内容が濃すぎて纏めきれなくなりましてね(笑)
今作品を楽しみにしている方には申し訳ないのですが、もうしばらくお待ちくださいね。
※重大なミスが発覚し修正しました。楽しみにして読んで下さる皆様方、大変申し訳ございませんでした。