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Level1:『トランプ』

※この小説は『デュエル・マスターズ』を題材にした小説です。


※あくまでもフィクションです。

実在する地名、氏名年齢住所電番などとはまったく関係がありません。


※なおカードの効果などはココ(http://www27.atwiki.jp/duel_masters/)で調べるといいと思います。

土曜日の午後。休日の静寂に包まれたその場所は、静かな情熱を胸に戦う男達の戦場と化した―――。



Next Level ~輝ける切札~



町の外れにある小さなカードショップ『トランプ』ではその日あるカードの大会が行われていた。

「デュエル・マスターズ」。今、日本で人気のあるカードゲームである。

ルールが簡単で尚且つ奥が深いというそのゲーム性により、発売開始から爆発的な勢いでそのプレイ人口が増えていき、昨年行われた全国大会では100万人以上の参加者が頂点を目指した。

全国大会の頂点―――「デュエルマスター」はすべてのデュエリスト(「デュエル・マスターズ」をプレイしている人の総称)が目指す場所であり、そこを目指してデュエリストは日々その青い炎を纏ったカードを使い戦っているのである。



『トランプ』の大会―――デュエルロード(DR)ではほぼすべての試合が終わり、今決勝戦が行われている。

そのテーブルにはギャラリーが集まり、静かにその戦いを見守っている。

盤面は、多少赤いYシャツに身を包んだ少年の方が有利に進んでいた。

彼のYシャツの第一ボタンはきっちりと閉められ、その上に羽織った黒いベストは彼の瞳の色に見事にリンクしている。

対して、彼の対戦相手である青年は、もう気温が20度を越す春だというのに長い厚手の黄色いパーカーを着ていた。その上に着ているダウンも加わりさらにこの季節に不釣合いの格好に見える。

もうすでに青年のシールドは2枚削られている。少年のバトルゾーンにある《ドスコイ・イチバンボシ》の能力を、攻撃しタップされている《アクア・ドッペル》に与えたからだ。

彼のバトルゾーンには、他にも《幻緑の双月》《シビレアシダケ》の小型クリーチャー2体がいたが攻撃できずにいた。青年のバトルゾーンに《白騎士の絶対防御マッコル》や《白騎士の預言者ティリオス》《白騎士の精霊アスティノス》の3体のブロッカーが並んでいたからだ。

デュエルはすでに終盤。先に手札の“切札”を使い切った方が負ける。

先に動いたのは少年の方だ。

「俺のターン。《アクア・ドッペル》を進化!《爆裂大河シルヴェスタ・V・ソード》に!」

彼の召喚した《シルヴェスタ・V・ソード》の能力により、青年の《マッコル》と《ティリオス》が吹き飛び、少年の手札がその分増える。

青年は苦渋の表情を浮かべた。しかし、少年の攻撃の手はまだまだ止まらない。

「さらに《斬込隊長マサト》召喚!M(マーシャル)T(タッチ)で《ドスコイ・イチバンボシ》を手札に!」

M・Tにより《マサト》がスピードアタッカーを得、パワーが3000プラスされる。

「そして《ドスコイ・イチバンボシ》がバトルゾーンを離れたので、能力発動!俺の《シルヴェスタ・V・ソード》に与える!」

《ドスコイ・イチバンボシ》はバトルゾーンに出たときだけではない、離れたときもその力を与えることが出来る。それにより、このターン少年のバトルゾーンには、ブロックされない怪物T・ブレイカーがいることになる。おもわずギャラリーの一人が、

「すごいコンボだ!」

と、叫んでしまったほどだ。

「《シルヴェスタ・V・ソード》でシールドに攻撃(アタック)T(トリプル)・ブレイク!」

青年のシールドが1枚1枚捲れていく。青年に、これを止める術はない。

周りのギャラリーが息を呑む。

「《マサト》でトド――」「S(シールド)・トリガー発動」「!!」

青年が不敵な笑みを浮かべる。少年には分かっていた。この状況を吹き飛ばせる青年のデッキに入っているだろうS(シールド)・トリガーの存在に。

「まずは《白騎士ゲート》を発動。手札から《白騎士の精霊アルドラ》をバトルゾーンに」

青年の手札から大型ブロッカーである《アルドラ》がバトルゾーンにでる。

しかし、これだけでは少年の動きは止められない。

青年は、もう1枚のシールドを表向きにした。ギャラリーのすべての視線がそのカードに注がれる。

「《白騎士・スパーク》発動。あなたのクリーチャーをすべてタップします!」

少年のクリーチャーは、すべて動きを止めた。



青年は心の奥底で笑っていた。もしかしたら顔に出ているかもしれない。昔から、相手を騙すことは出来ても、自分の表情をコントロールするのは苦手だった。

誰も気付いてはいない。周りのギャラリーもジャッジも対戦相手である赤いYシャツの少年も。青年の仕掛けたイカサマに。

青年は自分のデッキの中のカードの順番をすべて把握していた。シールドの中のカードはもちろん次に引くカードさえも。

何故、青年はデッキの中のカードをすべて把握できたのだろうか?

それは彼が一流カードマジシャンだったからだ。

彼は天才マジシャンだった。特にカードマジックの分野に関しては期待の新星と言われるほどだ。

しかし、カードマジックを練習していくにつれて彼はだんだんマジック自体に飽きてきた。

確かに彼には才能があったが、所詮は見世物。貪欲な彼の性にはあっていないのは一目瞭然だった。

そんな時に彼はカードゲームと出会った。

トランプとは違いカードゲームのカードには1枚1枚違う役割がある。

その組み合わせにより無限大の力を発揮できる。彼はすぐにカードゲームに嵌った。

そして、彼は自分の力を最大限発揮できるカードゲーム―――「デュエル・マスターズ」を手に取った。



大会では、基本的に相手がシャッフルしたデッキで決闘(デュエル)する。

イカサマ防止のためだ。

しかし、青年はカードの配置をすべて覚えている。

少年がシャッフルした所さえ覚えれば、あとは順番を入れ替えれば良いだけ。

さらに青年はシールドを並べるときに特殊なテクニックで好きなカードをシールドと手札に入れることも出来た。

S(シールド)・トリガーによる逆転劇がウリの「デュエル・マスターズ」は、まさに彼にピッタリのカードゲームだったのだ。

「僕のターン。ドロー・・・・」

引くカードは分かっている。《白騎士城ピラー・オブ・フェザー》だ。

青年はチラリと横目でそのカードを見る。予想的中、《ピラー・オブ・フェザー》だった。

しかし、もうシールドはないためマナに埋める。これで8マナになった。

このタイミングを待っていた。相手がビートダウンで大量展開が得意なのは2、3ターン目で分かっていた。だったら、そのクリーチャーが一瞬で消えたらどんな表情をするのだろうか?

青年は卑劣な男だ。彼には「白騎士」は似合わないと、本性を知っている人はそう言うはずだろう。

「進化、《アスティノス》を《白騎士の聖霊王HEVEN》に!」

少年のバトルゾーンのクリーチャーは、一瞬でシールドになった。



「ターンエンド。君のターンだ」

青年は笑みを浮かべながらターンを終了した。彼のバトルゾーンには《アルドラ》と《HEVEN》の2体。対して少年のバトルゾーンには何もない。形勢は逆転した。

たくさんある少年のシールドもこの2体の大型クリーチャーによってすべて吹き飛んでしまうだろう。

ギャラリーの全てが、少年が絶望の淵に立たされていると思った。しかし、少年の目は逆に輝いている。

「お前、勝利を確信しているだろ?」

少年が静かに、淡々と話し始める。確かにまだ青年の勝利が決まっているわけではない。

「確かに切札である《HEVEN》と《アルドラ》が出せているし、俺のクリーチャーは0だからな」

《アルドラ》の「ブロッカー」という能力に守られているだけなのだ。

「でも物事には――――――」

それさえ崩せれば、勝機はまだある。

「100%なんて存在しない!」

そう、彼の切札によって―――。

「俺のターン!《爆竜GENJI(ゲンジ)XX(ダブルクロス)》召喚!」

少年の最後の切札、《爆竜GENJI・XX》。攻撃時にブロッカーを破壊する能力を持つスピードアタッカーのW・ブレイカー。

「《GENJI・XX》で相手プレイヤーに攻撃。攻撃能力(アタックトリガー)で《アルドラ》を破壊!」

崩れ落ちる青年の防御。顔が青ざめていく。

「チェックメイト!トドメだ―――。」

少年の直接攻撃(ダイレクトアタック)が決まる。勝負は決した。

周りのギャラリーが一気に沸く。このような大逆転は滅多に見られないのだ。

それを見たジャッジは、優勝商品のプロモカード少年に渡す。

「火渡 翔君。5月8日のDR優勝おめでとう!」


赤いYシャツの少年―――火渡 翔。彼の物語が動き出す。


初めまして!W-swordと申します。

僕の趣味である「デュエル・マスターズ」を題材にした小説を書いてみました。

まだまだ小説家としては未熟なのでなにかと不自然な点はあるかと思いますが、どうか暖かい目で見守ってください。

また、小説内で変な言い回しや、使い方が間違っているところがあれば、どんどん指摘して下さい!よろしくお願いします。

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